2022年2月に発売されたヤマハ新型「YZF-R7」。扱いやすさを特長のひとつとしている2気筒スーパースポーツは、公道でのツーリングを主な用途として使うユーザーが多いことだろう。今回は、ワインディングや高速道路でテストを行った。
文:宮崎敬一郎、オートバイ編集部/写真:南 孝幸

ヤマハ「YZF-R7」インプレ(宮崎敬一郎)

画像: YAMAHA YZF-R7 総排気量:688cc エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列2気筒 シート高:835mm 車両重量:188kg 税込価格:99万9900円 発売日:2022年2月14日(月)

YAMAHA YZF-R7

総排気量:688cc
エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列2気筒
シート高:835mm
車両重量:188kg

税込価格:99万9900円
発売日:2022年2月14日(月)

絶妙なバランスの良さで安心してスポーツ走行ができる

YZF-R7は、MT-07のプラットフォームから生まれたスーパースポーツ。前後の足回りをリセッティングして動的なジオメトリーを変更し、フレームもピボット周辺を補強してバランスを取っている。

ライディングポジションは極めて戦闘的な強前傾だが、エンジンセッティングなどはMT-07と同じ。このどこからでも使いやすいパワードライバビリティがいい仕事をしている。初試乗したサーキットでもとにかくフレンドリーで、難しいことを考えなくて自在に曲がり、意外なほどハイレベルな走りまでやってのけた。

そのYZF-R7がストリートだとどうなるか? というのが今回のインプレのテーマだ。

画像1: ヤマハ「YZF-R7」インプレ(宮崎敬一郎)

結論から言うと、YZF-R7は公道でも見事に乗りやすい。車体が軽くかなりスリムで、街乗りでの取り回しもこのクラスのバイクとしては非常に優秀。シート高もスペックの数字以下に感じる。街中でネックになるのは、その好戦的な強前傾ライポジくらい。MT-07の優れたDNAはしっかり受け継いでいる。

それと、サーキット試乗で快適と感じた乗り味は錯覚ではなかった。やっぱり乗り心地がいい。前後の足回りは、スタンダードスポーツと変わらない柔軟さで、しなやかに路面からの衝撃を吸収してくれる。

だが快適な乗り心地とはいえ、やはりロングランでは強前傾のライポジがストレスを溜める。ライポジ以外はストリートバイクに近い特性を持っているだけに、これだけが引っかかってしまうのだ。まぁ、これに対応するには、昔ながらの肘をタンクに……といった「レプリカ乗り」をするしかなさそうだ。

しかしながら、峠道ではそのライポジが光り、スポーティな走りに誘う。

画像2: ヤマハ「YZF-R7」インプレ(宮崎敬一郎)

まず、振動が少なく滑らかエンジンの出力特性は、どこからがパワーバンドが解らないほどフラットであり、リニアにパワーが増していく。10000回転強まで引っ張ってフルパワーを駆使することも容易だ。

パワースペックこそ強力ではないが、充実したトルクと素直な特性のおかげで、そのパワーをフルに、そして簡単に扱え、走りに活かすことができる。そんな操作をしやすくしているキモが、バランスのいい車体や足回りとの相性。この絶妙な「サジ加減」こそがYZF-R7のストリートスーパースポーツとしての魅力。確実に操れるという信頼感に支えられた走りが愉しさを生んでくれる。

スーパースポーツの機敏さに加えて万能さも備えるのが魅力

しかも、そのシャシーとのバランスの良さから、高回転域を維持してタイヤに荷重をかけていないとすぐに滑り出す…なんてこともない。この足回りは荒れた路面にもそこそこ強く、そのスタビリティを流すようなペースの走りでも維持してくれる。

これは戦闘的な本格スーパースポーツでは難しく、ハイペースを維持して車体を安定させるスキルが必要になることがあるが、YZF-R7ならおおむね6000回転も回しておけばかなりスポーティな機動ができるし、フルバンクさせてもタイヤを路面にしっかり押し付けられる。

画像3: ヤマハ「YZF-R7」インプレ(宮崎敬一郎)

こういった機動を、ベースモデルのMT-07や他のスポーツネイキッドでは厳しいペースでも平然とやってのける。つまり、けっこう速いのだ。また、こうした基本性能の高さはゆとりも生み、街乗りから峠道まで、攻めようが、のんびり流そうが、常に気楽に操作できる。

YZF-R7が持つ、乗り手の心を高揚させるスタイリングやライポジ、スポーティな走りをしたときの従順さはまさにスーパースポーツ。無理に背伸びしていない分、安心して使えるイージーさが特徴であり魅力。しかも、YZF-R7はスタンダードスポーツとしての万能性もMT-07から受け継いでいる。使い方次第でストリートでもファンバイクになれる「扱いやすいSS」なのだ。

画像: ▲YZF-Rシリーズの特徴であるM字ダクト内にLEDバイファンクションヘッドライトを配置、スポーティなマスクに仕立てている。

▲YZF-Rシリーズの特徴であるM字ダクト内にLEDバイファンクションヘッドライトを配置、スポーティなマスクに仕立てている。

画像: ▲独特の鼓動感とシャープで力強い走りを味わえる、270度クランク採用の688㏄エンジンは基本的にベースのMT-07と同じ仕様。

▲独特の鼓動感とシャープで力強い走りを味わえる、270度クランク採用の688㏄エンジンは基本的にベースのMT-07と同じ仕様。

画像: ▲フロントフォークはMT-07の正立からYZF-R7専用の倒立フォークに変更。ブレーキキャリパーはラジアルマウントになり、マスターシリンダーはブレンボ製。

▲フロントフォークはMT-07の正立からYZF-R7専用の倒立フォークに変更。ブレーキキャリパーはラジアルマウントになり、マスターシリンダーはブレンボ製。

画像: ▲左右非対称形状のスチール製スイングアームはMT-07と同じものを採用。リアサスのジオメトリーなどのセッティングはYZF-R7専用となっている。

▲左右非対称形状のスチール製スイングアームはMT-07と同じものを採用。リアサスのジオメトリーなどのセッティングはYZF-R7専用となっている。

画像: 欧州の公式動画(走行映像)Yamaha R7 - Where R/World Meets Yours www.youtube.com

欧州の公式動画(走行映像)Yamaha R7 - Where R/World Meets Yours

www.youtube.com

ヤマハ「YZF-R7」ライディングポジション・足つき性

YZF-R7のシート高:835mm
ライダーの身長・体重:176cm・68kg

画像1: ヤマハ「YZF-R7」ライディングポジション・足つき性

前傾は強めだが、車体はスリムでホールドしやすい。上半身を支えやすくスポーティなライポジだが、欲を言えばもう少しシートが高い方が、フルバンク時に感じる足首まわりの窮屈感が少なくなる気がする。

画像2: ヤマハ「YZF-R7」ライディングポジション・足つき性

ヤマハ「YZF-R7」主なスペック・価格

全長×全幅×全高2070×705×1160mm
ホイールベース1395mm
シート高835mm
車両重量188kg
エンジン形式水冷4ストDOHC4バルブ並列2気筒
総排気量688cc
ボア×ストローク80.0×68.5mm
圧縮比11.5
最高出力54kW(73PS)/8750rpm
最大トルク67N・m(6.8kgf・m)/6500rpm
燃料タンク容量13L
変速機形式6速リターン
キャスター角23°40′
トレール90mm
タイヤサイズ(前・後)120/70ZR17M/C (58W)・180/55ZR17M/C (73W)
ブレーキ形式(前・後)ダブルディスク・シングルディスク
メーカー希望小売価格99万9900円(消費税10%込み)

文:宮崎敬一郎、オートバイ編集部/写真:南 孝幸

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