文:河野正士/写真:松川 忍
ロアーズオリジナル 取材レポート
バイクも革ジャンも街で暮らすための大切な道具
仙台でカスタムバイクショップ兼ファッションブランドとしてスタートした「ロアーズ・オリジナル(以下ロアーズ)」。その4年後、東京・青山にショップを移し、そしていまもショップを構える東京・西麻布に来てから早10年。ロアーズは2021年、ブランド創立18年を迎えた。
この西麻布をベースに日本全国にある取扱店に商品を展開しているほかフランス・パリに取扱店を持ち、また欧州にくわえて北米や東南アジアからもオーダーを受け、商品を展開している。いまでは、その個性的なデザインをフォローした商品が世界各国で販売されるほどの知名度と人気を誇っている。
そのロアーズの始まりは革ジャンにあったと、代表でありデザイナーである高橋氏は言う。
「東京の展示会で仲良くなったパンク系人気ブランドの方からの提案で、色を変更した別注品を造れることになったんです。それまでプリントTシャツやパーカーだけを展開していた自分たちにとって大きなチャンスでした。そしてそれが大ヒット。それを元手にフルオリジナルの革ジャンやその他のアイテムを造れるようになったんです」
そのヨーロッパスタイルのダブルライダースをアレンジした最初の革ジャンは、〝06〟という名前でいまもロアーズの製品としてラインナップされ続けているが、世界中のファンがロアーズを、東京を代表するブランドと認識するようになったのは、デザインやシルエット、素材やカラーをオリジナルで構築した、その後に造り上げた〝東京〟スタイルの革ジャンたちだ。
「とくに東京を意識したデザインをしているわけではありません。ただロアーズの革ジャンが東京ぽいって感じるのは、僕が東京に住んでいて、僕が乗るバイクが東京にあるからかもしれませんね。僕にとってバイクは、どちらかと言えば街の中にあるアイテムですから。それに僕はバイクに乗ることは音楽を聴いたり、ファッションを楽しんだり、食事をしたりすることと同じ。だから僕たちが造る革ジャンは、バイクに乗ることもライブに行くことも考えて造っています」
もちろん、ファッションアイテムとライディングギアを両立する革ジャンを造るのは簡単ではない。日々ディテールを修正し、サンプルはもちろん革製品を造る自社工場も、最近になって用意した。
「好きなことを続けるために、洋服の造り方を変えました。ロアーズらしいフルプロテクター入りの革ジャンも造りました。新しいことを考えてチャレンジする。僕はそれが好きなんです」
ロアーズオリジナル おすすめレザージャケット
ロアーズ人気を不動のものにした定番モデル。ビンテージの革ジャンではプロテクターとして使用されていた外付けパッドを現代的な解釈で素材や形状を変えてデザイン。バイクに乗るときも普段着として使うときも成立するギリギリの丈やラインを構築している。シボが際立つレザーも美しい。
大好きなミュージシャンがライブで着ていたダブルライダースとベストの重ね着にヒントを得てデザインしたジャケット。重ねたベストはフロント側だけをカバーし、簡単に取り外しが可能だ。この重ね着の延長線にある、素材やカラーが違う両袖に取り替えられるカスタムスタイルの革ジャンも製作した。
牛革とボアを使い、フライトジャケット/B-3のようなライディングジャケットを製作。本来使用されるシープスキンより厚く丈夫な牛革ながら、ボマージャケットらしい柔らかさを表現している。B-3の特徴である生地が重なり合う部分を縫い止めるために採用されるレザーテープも再現。
文:河野正士/写真:松川 忍
※この記事は月刊『オートバイ』2021年12月号の特別付録「RIDE」に収録した内容を一部再編集して掲載しています。