文:太田安治、オートバイ編集部/写真:鶴見 健、南 孝幸
カワサキ「Z1000R」解説

Kawasaki Z1000R
総排気量:998cc
エンジン形式:空冷4ストDOHC2バルブ並列4気筒
車両重量:222kg
初めてライムグリーンを前面に出した市販モデル
1980年からAMAスーパーバイクレースにカワサキから参戦していたE・ローソンは、W・クーリーやF・スペンサーといった強敵たちと激戦を繰り広げ、1981年にZ1000Jで見事タイトルを獲得。これを記念して、北米カワサキの要望で誕生したのがZ1000R。
今でこそカワサキと言えばライムグリーンだが、レースシーンのイメージカラーを前面に出した初めての「レプリカ」モデルは、実はこのZ1000Rだったのである。
ビキニカウルや段つきシート、リザーバータンク付きリアショック、KERKERの集合マフラーを装備し、ワークスカラーに塗られたこの特別なマシンは、北米、カナダ、南アフリカなどで約900台が販売され、後にその希少性から大変なプレミアがつくことになる。
この後ローソンは翌1982年にもタイトルを獲得。これを記念してZ1000R2が登場する。

新世代空冷Zの筆頭であるZ1000Jをベースに、ライムグリーンのボディカラーやビキニカウル、KERKER製集合マフラーでワークスレーサー風に変身。北米をメインに販売され「ローソン・レプリカ」のペットネームが付いていた。
1981年にタイトル獲得!

これは当時のKZ1000Rのカタログ。ライダーはE・ローソンだ。AMAにZ1000MK.Ⅱで参戦した1980年はランク2位だったが、翌1981年、1982年はZ1000Jベースのレーサーでタイトル獲得。ちなみに、レースによっては風圧を嫌ってビキニカウルを外していたらしい。
カワサキ「Z1000R」ライディングポジション・足つき性
シート高:775mm
ライダーの身長・体重:176cm・62kg

長いタンクのため着座位置は後ろ寄り。段付きシートで着座位置が低く、タンクにピタリと伏せるポジションも取りやすいことが特徴。

カワサキ「Z1000R」各部装備・ディテール解説

エンジンはZ1000Jと共通の排気量998.6cc、DOHC2バルブの空冷直4で最高出力は102HP。エキパイの上にオイルクーラーを追加。

フロント19インチ、リア18インチのキャストホイールもZ1000Jと同じ。ハブやスポークをゴールド、リムをシルバーとして高級感を演出。

リアサスペンションはリザーバータンク付きのショーワ製ツインショック。スイングアームはスチール製だ。

Z1000Rのスタイルを象徴する、コンパクトなビキニカウル。Z1-Rのビキニカウルとは全く形状が異なり、サイズもにコンパクトだ。

メーターは初期型Z1000Jと共通。丸形の速度計を左、回転計を右に配置。中央は燃料計、下部のボックスには距離計が設けられる。

タンク上面には、Z1000Jを駆って1981年のAMAスーパーバイクチャンピオンとなったE・ローソンのサイン入りステッカーが。

レーシーな形状の段付きシートはこのZ1000R専用アイテム。座面にはメッシュ仕上げの滑りにくい表皮が採用されている。
カワサキ「Z1000R」主なスペック
全長×全幅×全高 | 2240×820×1230mm |
ホイールベース | 1525mm |
最低地上高 | NA |
シート高 | 775mm |
車両重量 | 222kg |
エンジン形式 | 空冷4ストDOHC2バルブ並列4気筒 |
総排気量 | 998cc |
ボア×ストローク | 69.4×66mm |
圧縮比 | 9.2 |
最高出力 | 102HP/8500rpm |
最大トルク | 9.3kgf・m/7000rpm |
燃料供給方式 | BS34キャブレター |
燃料タンク容量 | 21.4L |
変速機形式 | 5速リターン |
キャスター角 | 29.0゜ |
トレール量 | 115mm |
タイヤサイズ(前・後) | 100/90V19・120/90V18 |
ブレーキ形式(前・後) | Φ280mmダブルディスク・Φ270mmディスク |
文:太田安治、オートバイ編集部/写真:鶴見 健、南 孝幸