欧州で先行発表された独創のDCTスポーツツアラー「NT1100」が日本でも2022年3月17日に発売された。DCTや最新の電子制御テクノロジーを満載し、快適なツーリング性能を重視したというこのバイクの真価やいかに?
文:宮崎敬一郎、オートバイ編集部/写真:南 孝幸

ホンダ「NT1100」開発者インタビュー

NT1100の開発者の皆さんに開発時の想いについて伺ってみた。ライダーがいかに気負うことなく走りを楽しめるか、ということにフォーカスした、彼らの「おもてなし」の気持ちの結晶、それがNTなのだ。

画像: 清野浩司 氏  LPL(開発リーダー)

清野浩司 氏  LPL(開発リーダー)

画像: 大山 翼 氏 LPL代行

大山 翼 氏 LPL代行

画像: 林 敬済 氏 車体設計PL

林 敬済 氏 車体設計PL

画像: 野々山祐也 氏 操安研究PL

野々山祐也 氏 操安研究PL

画像: 飯干慎也 氏 燃料吸排気系研究PL

飯干慎也 氏 燃料吸排気系研究PL

上質なフィーリングを徹底した大人の1台

「次世代のスポーツツアラー、という企画が立ち上がったのはコロナ禍が広がる前くらいの時期でした。ユーザーの方への調査などを行ないながら、こんなツアラーがあったらいいね、というのをカタチにしていきました」

そう語るのはNT1100のLPL、清野さん。日本ではあまり馴染みがないかもしれないが、実はこのNT1100は、ドゥービルという愛称で親しまれたNT650V/700Vの流れを汲むモデルなのだ。

「NTシリーズは、快適性が非常に高く、使い勝手に優れていて、欧州で高い評価をいただいていました。そうした魅力を引き継いで、幅広いシーンで快適に楽しんでいただけるバイクを目指しました」

NT1100を語る上で重要なキーワードが「快適」と「上質」。開発チームの中でも、この2つのテーマは徹底して意識されていたようだ。林さんはこう語ってくれた。

「快適性にこだわって、ライディングポジションはシートやステップの位置を一から考えました。アフリカツインより若干前傾ですが、お尻が痛くならないよう、ステップ位置を若干後退させています」

さまざまな条件の道を踏破し、時にはタンデムや積載もこなすNT1100のサスセッティングについて、野々山さんに聞いてみた。

「ひとつの目的に特化するのではなく、幅広い用途に対応できるセッティングを目指しました。フロントにはトリプルレート、リアにはダブルレートのスプリングを採用し、サスストロークも長く取ることで上質なフィーリングを実現しています」

快適で上質、というとエンジンのセッティングも重要になる。飯干さんに聞いた。
「ギクシャクしてしまうと車体の姿勢変化が大きくなってしまうので、ピックアップのきつくない、スムーズな特性を目指しました。ツイン特有のパルス感も、あまり強調しすぎると疲れてしまうので、適度に抑えました」

エンジン同様、DCTもスムーズな変速を目指したそうだ。大山さんが語る。
「目指したのは気持ちのいいつながりです。より自然に、ストレスなく変速できるようなセッティングを目指しました」

パニアケースをつけた姿もよく似合う、大人のライダーが旅を楽しむための上質な相棒。NT1100の醍醐味は、より遠くに、より長く乗ることで堪能できるのだ。

「目線を上げて、周りの景色を味わいながら、楽に移動を楽しんでいただけたら嬉しいです」(大山さん)

ホンダ「NT1100」主なスペック・価格

全長×全幅×全高2240×865×1360mm(スクリーン最上位置・1525mm)
ホイールベース1535mm
シート高820mm
車両重量248kg
エンジン形式水冷4ストOHC(ユニカム)4バルブ並列2気筒
総排気量1082cc
ボア×ストローク92×81.4mm
圧縮比10.1
最高出力102PS/7500rpm
最大トルク10.6kgf・m/6250rpm
燃料タンク容量20L
変速機形式6速DCT
キャスター角26゜30′
トレール量108mm
タイヤサイズ(前・後)120/70ZR17・180/55ZR17
ブレーキ形式(前・後)ダブルディスク・シングルディスク
メーカー希望小売価格168万3000円(消費税10%込み)

ホンダ「NT1100」おすすめYouTube動画

画像: 【公式動画】New 2022 NT1100 Launch Film www.youtube.com

【公式動画】New 2022 NT1100 Launch Film

www.youtube.com
画像: 【webオートバイ動画】タンデムしたら別キャラに! RurikoのNT1100試乗レビュー www.youtube.com

【webオートバイ動画】タンデムしたら別キャラに! RurikoのNT1100試乗レビュー

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文:宮崎敬一郎、オートバイ編集部/写真:南 孝幸

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