文:小松信夫
アルコール燃料もOKなブラジル・ホンダのミニ・アドベンチャー
以前、この連載でブラジル・ホンダのXRE300という、ブラジルで独自の進化を遂げた、空冷DOHCエンジンを積んだアドベンチャー的オフロードモデルを紹介しましたが。
実はブラジルではこの手のアドベンチャー的オフロードモデルが人気のようで、ホンダも排気量の異なるモデルを揃えてます。今回はそんなXRE300の弟分的な存在である、NXR160というモデルを紹介しましょう。あと1台、XRE190ってのもあるんですが、NXR160は今年モデルチェンジされた(まあ、変更点は主にスタイリングなんだけど)ってこともあって、今回はこっちを…。
スタイリングは見ての通り、XRE300をスケールダウンした感じ…XREよりはオフ寄りな造りだけど。でも段付きのシートとか、大型のヘッドライトとか、ロードスポーツっぽいディテールを合体。CRFラリーとも、アフリカツインとも違う独特な雰囲気のアドベンチャーが完成するわけです。デザインとしては結構モダンなんだけど、灯火類がLEDじゃなく通常のバルブ使ってるあたり、広大でパーツの入手が困難だったりする南米でのメンテナンスに配慮してるような。
エンジンは排気量162.7cc、シンプルな構造の空冷OHC2バルブ単気筒にPGM-FIを組み合わせる。このエンジン、世界各地でさまざまなカテゴリーのモデルに使用されてる汎用性の高いユニット。なので、斬新でスポーティなスーパーネイキッドスタイルのXBLADEにも搭載されてるかと思えば。
NXRを売ってるブラジルでも、ベーシックなスタンダードスポーツとして人気で、使い勝手の良さを活かした大型キャリア付のビジネス仕様まで用意されてるCG160シリーズがこのエンジンを採用。要するに、扱いやすくて丈夫で、そこそこスポーティという、昔のCB125JX系みたいな万能エンジンなのね。
最新のNXR160に搭載されているもののスペックは最高出力14.5HP。この手のブラジル向けモデルのお約束として、ガソリンだけじゃなくアルコール燃料にも対応してて、アルコール燃料使用時は14.7HP。XRE300でもそうだったけど、僅かにアルコールの方がパワーが出るのはなんでだろう。
NXR160はそんな汎用エンジンを積んだ単なる廉価なオフロード風モデルなのか? と思えばそうでもないんだな。フロント19インチ・リア17インチのホイールを活かしたコンパクトなボディは車重122kg、まあまあ軽量。サスペンションは正立フォーク、リアは直押しモノサスだけど、ストロークが長くてちゃんとオフロード向き、ブレーキも前後ディスクブレーキと車体の造りも手抜きはなし。
シートはボディサイズの割には大きくて、クッションも厚めで快適性重視。シート高は836mm、車重を考慮すれば扱いやすさ、取り回しやすさも良さそう。フレキシブルな特性のエンジンもあって、結構誰でもオフで楽しめるんじゃなかろうか。一般的日本人ライダーには、体格的にXRE300よりもNXR160の方が合うだろうなぁ。ま、ブラジルの方々はそんなこと1ミリも考えてないわけですが。
メーターもモダンで視認性の良い液晶デジタルメーター。意外に立派な雰囲気で、純オフロードモデルではない感じがする。燃料タンクも12Lというから、車格を考えると大きくて航続距離長そう。まあ、その辺は狙ってるんだろうなぁ、ブラジルのユーザーがそういうの求めてるんでしょう。
ボディカラーはレッド、ブラック、ホワイトの3タイプを用意しております。ちなみに厳密には車名は「NXR160BROS ESDD」となってるんですけどね。「BROS」はブラザーズだから、多分CG160シリーズの兄弟モデル、とかいう意味のようなんだろうけど。公式ホームページとかに、そこんとこの明確な解説は見つからないんだよねぇ。
文:小松信夫
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