では、寿命を迎えた原付からはどのようなサインが送られてくるのだろうか。また、原付の寿命を少しでも長くするには、どのような使い方、メンテナンスを施すべきなのだろうか。
この記事では、原付が寿命を迎えているか見極める方法と、寿命を少しでも長くするためのコツについてお伝えする。
文:小泉嘉史 / 伊藤フミヒト
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原付の寿命を知らせる4つのサイン
かなり走り込んだ原付バイクに乗っていて、普段と走りに違和感を感じたら、それは寿命を知らせるサインかもしれない。もちろん、フィーリングだけでは寿命とは言い切れないが、普段から使用している方なら、原付バイクの些細な変化に気が付くことも多いだろう。
もし原付から以下のようなサインが送られてきたら、そろそろ寿命を疑った方が良いかもしれない。
- 走行距離が4万kmを超えた
- 普段のメンテナンス部品と違う部分に故障が目立ってきた
- 走行性能が著しく落ちたと感じる
- 修理の部品が手に入らない
1.走行距離が4万kmを超えた
そもそも原付は長距離走行を想定した乗り物ではない。普段のちょっとした足として想定されているので、1日10キロも走ればかなり多い部類だろう。
1日10キロ走れば1年で3,650km、10年で3万6,500キロになる。
そして、寿命となる走行距離の目安は2万キロから3万キロと言われているため、走行距離4万キロというのは、そろそろ寿命を迎えてもおかしくない走行距離だ(昔は原付の寿命目安は1万キロと言われる時代もあった)。
ちなみに、2万キロから3万キロが寿命と言われる由来は、実はバッテリーの寿命が関わっていると言われている。最近のバッテリーは4年、5年程度もつが、仮に1日10キロ走った場合、5年で1万8,250キロ走る計算になる。つまり、バッテリーの寿命(4〜5年)を走行距離換算すると、2万キロから3万キロになるということだ。
また、10年も経てば部品供給も厳しくなる頃に差し掛かるため、大切に乗っていても10年4万キロが寿命の目安となりそうだ。
この計算は、それほど突飛なものではない。片道5kmの通勤や通学なら往復で10kmだ。この程度の走行距離なら毎日という方も多いのではないか。
この使用期間と走行距離の関係を考えると、4万kmという走行距離は、寿命の目安として捉えられる。それが5年という半分の期間で4万kmに達しても、そろそろ寿命と思ってよいということだ。逆に10年経っても1万kmしか走っていなくても寿命といえる。
ただし、機関をメンテナンスしていれば2万kmや3万kmで寿命になるとは考えにくく、中には5万kmを優に超えている個体も少なくない。ようはメンテナンス一つと原付バイクへの思い入れで、寿命は変えられるということだ。
2.普段と異なる故障が目立ってきた
日頃からメンテナンスをきっちり行っているオーナーであれば、不具合やその予兆も感じ取りやすいと思うが、普段と異なる不具合が頻発する場合は、そろそろ寿命が近い場合もある。
また、通常のメンテナンスで交換する部品とは違う部品の交換頻度が増えてきたら、寿命が近いと言えるだろう。
オイル交換やエアクリーナー交換、またタイヤの空気圧や灯火類、バッテリーの状態をチェックし、さらにブレーキの利き具合までメンテナンスしている方もいるだろう。
これらの基本的なメンテナンスをしていても、今まで聞こえたことがない走行中の異音の発生や、振動などが発生することがある。そして、これらは一般には修理できないことからバイクショップにメンテナンスを依頼することになると思うが、そこで数カ所の故障を指摘されたら、そろそろ寿命と考えていいかもしれない。
当然ながら、原付の各パーツは時間と共に劣化するものだが、同じ年月を共にした各パーツは同じように劣化している。指摘された部分を修理しても、違う部分に故障が連鎖し、かなりの修理費用になってしまうことも考えられるため、そろそろ買い替え等を考えるべきかもしれない。
3.走行性能が著しく落ちたと感じる
原付バイクを使用している中で、いつもより加速が悪くなったとか、上り坂で力がなくなったと感じたら、そろそろ寿命かもしれない。
エンジンに力がないということは、エンジンをまず疑う。そして、点検してエンジン内部に大きなダメージがあれば、寿命と考えて良いだろう。
また、走行装置に問題がある場合もあり、特に変速機にトラブルがあると、加速性能が悪くなる。
これらの症状は、その気になれば修理も可能だが、内容によっては買い替えたほうがお得となる修理費になる場合も少なくない。
4.修理の部品が手に入らない
長く使用していれば、修理したくても部品が手に入らない場合も出てくる。つまり部品供給がメーカーからストップするという事態だ。
このように、修理したくても部品が手に入らなければ、これも寿命と考えていいだろう。
また、あまりに高い修理費用になる場合も、やはり買い替えた方が良い場合が多い。
例えば、エンジン修理で4万円と言われたら、4万円で乗り替えできる原付バイクは中古でもなかなか見つからないだろうから、修理依頼を考えるのが普通だ。しかし、4万円で修理してもその後どこも壊れない保証は一つもない。つまり、エンジンが故障するような原付バイクは、その後多くの部分に不具合を発生させる可能性が高い。
なので、原付バイクで大掛かりな修理が必要と言われたら、一度隅々までチェックしてもらい、悪い部分すべての修理見積を出してもらうことがポイントだ。もしその修理費用が10万円だったら乗り替えの決断ができるはずだ。
もし原付が寿命を迎えた場合のお得な処分方法は?
ここからは、原付が寿命を迎えた場合のお得な処分方法について紹介する。
原付バイクの処分方法には、主に以下のような方法がある。
方法 | かかる費用 | 廃車手続き |
---|---|---|
買取に出す(売却する) | 無料 | 任せられる |
指定引取り場所への持ち込み | 無料 | 自分で行う |
バイクショップへの依頼 | 2〜3万円程度 | 任せられる |
廃車二輪取扱店への依頼 | 2,000〜1万円程度 | 自分で行う |
不用品回収業者への依頼 | 1万〜2万円程度 | 自分で行う |
基本的には有料の処分業者を探す前に、買取してもらえるかどうか一度はチャレンジしたいところだ。寿命を迎えているので、買取先がなかなか見つからないこともあるかと思うが、安く修理できる場合や、海外販路を持つ買取店の場合は、寿命を迎えた原付も買い取ることがある。
また、原付を資源の塊として目をつけている業者であれば、これも買い取ってくれる可能性があるだろう。真っ当な業者であれば廃車手続き代行まで行ってくれるが、もし不安なようであれば自分で市区町村役場で廃車手続きを行ってから買取に出せば良い。
買取は処分費用もかからず、廃車手続きも全て込みで任せられるので、一番お得で楽な方法だ。
その他の方法は費用がかかったり、自分で廃車手続きを行う必要があるなど、何らかのデメリットがあるため、買取が無理とわかった場合に利用するのが良いだろう。
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原付バイクの寿命を少しでも伸ばすコツは?
最後に、原付バイクの寿命を延ばすコツについてお伝えする。少しでも長く乗りたい方は、以下の4つを頭に入れておくと良い。
- 定期的にメンテナンスをする
- 毎日適度に乗る
- 保管は雨に濡れない場所でする
- 全開走行を繰り返さない
1.定期的にメンテナンスをする
原付バイクの寿命を延ばすために効果的なことは、定期的なメンテナンスだ。メンテナンスと言っても難しいことはない。自分でできる簡単なことから初めて、道具が必要なメンテナンスはバイクショップに任せるだけでいい。
原付バイクにも、数多くの定期交換部品がある。その中でもかなり重要なのがエンジンオイルだ。原付バイクのエンジンコンディションはエンジンオイルの管理にかかっていると言ってもよいだろう。
そして、灯火類のチェックも忘れてはならない。ウィンカー、ヘッドライト、テールランプがきちんと点灯しているか確認する。これらの灯火は、安全走行に欠かせない灯火であり、特にヘッドライトが点灯しないとかなり危険だ。
このほか、タイヤのチェックも行う。特にタイヤの空気圧チェックをおろそかにしている方も多いが、タイヤの空気圧は、1度入れたら一生同じ空気圧ではない。少しずつ抜けているので、定期的なチェックと調整が必要だ。そこで、最低1カ月に1度チェックしていれば問題ないだろう。
例えば、タイヤの空気圧が低すぎるとタイヤが抵抗となり、エンジンに負荷がかる。このほか、タイヤの劣化が速まり、操作性も落ちる。逆に多すぎると、バイクが小刻みに跳ねるようになり、かなり乗り心地が悪くなる。もちろん、振動による各部へのダメ―ジも蓄積される。
ほんの少しのメンテナンスで、原付バイクは寿命を大きく伸ばせることを理解しておくとよい。
オイル交換は大事
原付バイクのメンテナンスの基本は、エンジンオイルの定期交換だ。エンジンオイルは、走行距離により交換時期が異なるが、空気中にさらされた瞬間から酸化が始まり劣化する。つまり、一度封を切ったオイルは、使用していなくても劣化が始まり、保管方法にもよるが2年程度しか持たない。
未使用のオイルも2年程度で劣化することからも、エンジンに入れて使用するオイルはそれより早く劣化することは理解できるだろう。そして、原付バイクのオイル交換は、5,000km毎とされるが、原付バイクで5,000kmというと、1年ちょっとかかる。しかし、使用中のエンジンオイルは半年ごとに交換が良いとされているため、乗らなくても半年に1回はオイル交換をすすめる。
しかし本来、エンジンオイル交換は早いほど良いと言われる。個人的には1,000kmごとのオイル交換をお勧めしたい。というのも、古めの原付バイクは意外にオイルが減る。交換時期を長くしすぎるとエンジン内にオイルが何もないなんてことになりかねない。
また、1日10km程度走行していれば、3カ月ちょっとで1,000kmに到達する。そう考えれば、特に早すぎるわけではない。むしろこのくらいの期間でメンテナンスしていた方が安心だ。
細かい部分はバイクショップで見てもらうことも重要
原付バイクのオイル交換は、少し頑張れば自分でもできるだろう。しかし、原付バイクには様々な部品で構成されており、その全てを自分で点検修理するのは難しい。そこで、自分でできる点検以外は、バイクショップでの点検をおすすめする。
バイクショップでの点検時期は、1年に1回がひとつの目安だ。もちろん、乗り方によっては6カ月に1回など、頻度を高めた方がいい。内容もバイクショップにより多少異なるが、費用は8,000円程度が相場だ。
原付バイクに定期点検などと思う方もいるだろう。確かに、車検制度がない原付バイクに定期点検はいらないと思うのもわかる。しかし、長く大切に乗り続けるには、機械の集合体である原付バイクを細かく点検しなければいつ故障するかわからない。また、走行中に故障すれば、身動きが取れないばかりか、事故の原因にもなる繋がるため、事故防止の観点からも定期点検を利用して欲しい。
2.毎日適度に乗ろう
原付バイクは、乗れば消耗するので傷むのは当然だが、傷む部品は通常の消耗部品なので問題ない。しかし、乗らなくても様々な問題が起きてくるため、それならできるだけ走らせた方が良い。また、エンジンを始動してしばらくして切るという方法も劣化を促進させる。
原付バイクの理想の走行距離は、エンジン内部が温まり、スパークプラグがセルフクリーニングできる温度まで上昇させるまで走ることだ。それには1日5km程度走行させるのが望ましい。
もしそれが難しい場合も、3日に1回はエンジンを始動させよう。走らせるのが無理ならアイドリングを30分程度続けるだけでも良い。
また、エンジン内部には、始動後すぐにエンジンを止めると結露が発生する。この結露が発生しないレベルまでエンジン内部をしっかり暖機することがポイントだ。そして、バッテリーへの充電は、アイドリングではできない。そこでアクセルを開けてエンジン回転を上げる。これで、バッテリーへの負荷も減らせる。
3.保管は雨に濡れない場所に
原付バイクを駐輪場に停め置きする場合、風雨にさらされないよう対策をしなければ、劣化が促進する。また、いつも同じ位置に停めていると、日光が同じ位置に当たり、樹脂パーツの劣化を早めるだろう。
それぞれの対策としては、駐輪場に停めておく場合は、面倒でもバイクカバーをかける習慣をつける。こうすることで急な雨でも原付バイクを濡らす心配がない。また、同じ位置に停めているなら、方向を変えて停めるなど工夫をすることだ。
雨に濡れると何故良くないのかといえば、鉄の部分がサビるからだ。酸性雨だから良くないといった意見もあるが、水に濡れた状態を放置することが問題ということだ。よって、濡れないようにするに越したことはないので、バイクカバーは原付バイクの保管に必須アイテムだろう。
また、樹脂部分で未塗装樹脂は白化と呼ばれる現象が起きる。これは、紫外線により小さなクラックが樹脂に入る。このクラックに光が乱反射して白く見える。
身近にある例として、洗濯バサミが白くなり、もろくなるのを見たことがあるだろう。これは紫外線による劣化が進んだ状態。このような状態に原付バイクが陥るには相当時間がかかるが、プロセスは同じなので、樹脂パーツを直射日光にさらし続けるのは良くない。そこで、余裕があれば、樹脂コーティングを施工すれば劣化を遅らせられる。
保管方法が良いと10年は持つ
原付バイクを野晒しにしている状況をよく目にするが、そのような状況では、寿命は短命と言えるだろう。しかし、保管方法に気を配れば10年は問題なく維持できる。
保管方法と聞いて、屋根付き車庫や屋内駐輪場を想像する方もいるだろう。別にそこまでする必要はない。日ごろからキレイなボディを保つよう洗車を行い、ワックスがけをしておくだけで十分だ。
特に、雨や水たまりなどを走行した後は、すぐにキレイに洗車することだ。また、シートも意外に傷みやすいので、メンテナンス剤を使用するのもよいだろう。
長く乗った原付バイクは処分より買取業者に相談しよう。買取業者は国内外に流通ルートを持っており、寿命と感じた原付バイクも思わぬ価格で買取するので今すぐチェックしよう。
4..全開走行を繰り返さない
原付一種は、法定速度が30km/hであり、排気量が50ccなのでそれほどスピードは出ない。しかし、出そうと思えば50km/hぐらい出る。全開走行をする原付バイクを誰しも見かけたことはあるだろう。
もともと原付は、法定速度内での走行を前提に開発されており、それ以上の負荷をかけ続けると劣化が激しくなる。つまり、原付バイクのエンジンは耐久性がそれほど高くないということだ。
原付バイクもたまに元気よく走行させることも重要だ。というのもエンジンは、エンジンの回し方で個々のエンジンの特徴も変わってくる。良く回すエンジンは、高回転まで気持ちよく回るが、あまり回さないエンジンは高回転まで伸びない。これは全開にしろということではなく、エンジンをよく動かせということだ。
とくに、ストップ&ゴーを繰り返す都市部をよく乗る原付バイクは、1カ月に1回は郊外まで乗り出し、一定の速度で走り続けると効果が高い。エンジンは、一定の回転数で回り続けたほうが調子良くなる性質を持っているためだ。だからといって、全開で走る必要はない。ソフトに穏やかに走らせてやるとよい。
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原付バイクの寿命でよくある質問
Q.原付バイクのエンジンがかかりません。寿命でしょうか?
A.まず確認として、ガソリンが入っているか、バッテリーは十分あるか確認します。ガソリンタンク内にガソリンがあれば問題ありません。次にウインカーとブレーキランプを点灯させてみます。点かなければバッテリーが弱いのでキック(付いていれば)でエンジン始動します。もしキックがスカスカなら圧縮漏れなので修理が必要です。
Q.原付の寿命は2年や3年で終わってしまうのですか?
A.2年~3年はあくまでも一般的な目安です。メンテナンスや走行の仕方でもっと長く使えます。ということは大切に扱えば非常に長く使えます。またスクーターより、ギア付きの原付のほうが長持ちする場合が多いでしょう。
まとめ
原付バイクの寿命は、使用方法とメンテナンス量で大きく変わるが、だいたい2万kmから3万km程度が寿命の目安と言われている。ただ、メンテナンスが行き届いていると5万km以上問題なく走行できる原付バイクも多い。
もともと1回の走行距離がそれほど多くない原付バイクなので、5万kmも走れば、10年近く経つ。これだけ古くなるとメンテナンスの部品調達も難しいため、長くても10年が寿命の目安だろう。
そして、寿命がきたら、処分するのではなく廃車買取業者に相談すれば、現金化できる可能性がある。もし買取が無理でも無料で処分できるため、寿命のバイクは廃車買取に相談するとよいだろう。