なにはなくともリリース&公式サイト
さて、まずはホンダのリリースがこちら。
で、これが公式サイトね。
まずは形式名をチェック
今回の新型スーパーカブ110の形式名はJA59。ちなみに新型C125はJA58。
なんせカブは種類が多いので社外パーツとかも形式名で表記されるのよね。
あと、形式でいうと、通っぽくて良いじゃん。なので、自分的な最初のチェックポイント。
なお、先代スーパーカブ110はJA44。その前がJA10でさらにその前がJA07。
形式名だけじゃわかりにくいので、画像ものせとくね。
スーパーカブは名車しかないのよ。
で、これより前はスーパーカブ90がHA02だったり、スーパーカブ50がAA01だったり、さらに過去はC50だったりC90だったりややこしくなってくるのよね。ちなみに筆者のカブはHA02。
で、これが最新のJA59。
JA44とJA59の違い
基本的にはキャストホイール、ABS、エンジンが大きな違い。
そのほかにも過去に考察した記事で細かいポイントをいくつか見つけたけど、あくまで写真から推測できる部分だけだったのよね。
さて今回の詳細発表で、写真だけではわからなかった部分が明確になったわけ。発表されたスペックは以下の通り。
通称名 | スーパーカブ110(JA59) | スーパーカブ110(JA44) | |
車名・型式 | ホンダ・8BJ-JA59 | ホンダ・2BJ-JA44 | |
全長×全幅×全高(mm) | 1,860×705×1,040 | 1,860×695×1,040 | |
軸距(mm) | 1,205 | 1,205 | |
最低地上高(mm)★ | 138 | 135 | |
シート高(mm)★ | 738 | 735 | |
車両重量(kg) | 101 | 99 | |
乗車定員(人) | 2 | 2 | |
最小回転半径(m) | 1.9 | 1.9 | |
エンジン型式・種類 | JA59E 空冷 4ストローク OHC単気筒 | JA10E 空冷4ストロークOHC単気筒 | |
総排気量(cm3 ) | 109 | 109 | |
内径×行程(mm) | 47.0×63.1 | 50.0×55.6 | |
圧縮比★ | 10 | 9 | |
最高出力(kW[PS]/rpm) | 5.9[8.0]/7,500 | 5.9[8.0]/7,500 | |
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) | 8.8[0.90]/5,500 | 8.5[0.87]/5,500 | |
燃料消費率※3 (km/L) | 国土交通省届出値 | 68.0(60) | 62.0(60) |
定地燃費値※4 (km/h) | <2名乗車時> | 〈2名乗車時〉 | |
WMTCモード値★ | 67.9(クラス1) | 67.0(クラス 1) | |
(クラス)※5 | <1名乗車時> | 〈1名乗車時〉 | |
燃料供給装置形式 | 電子式 <電子制御燃料噴射装置(PGM-FI)> | 電子式 〈電子制御燃料噴射装置(PGM-FI)〉 | |
始動方式★ | セルフ式(キック式併設) | セルフ式(キック式併設) | |
点火装置形式★ | フルトランジスタ式バッテリー点火 | フルトランジスタ式バッテリー点火 | |
潤滑方式★ | 圧送飛沫併用式 | 圧送飛沫併用式 | |
燃料タンク容量(L) | 4.1 | 4.3 | |
クラッチ形式★ | 湿式多板ダイヤフラムスプリング式 | 湿式多板ダイヤフラムスプリング式 | |
変速機形式 | 常時噛合式4段リターン※6 | 常時噛合式4段リターン※ | |
変速比 | 1 速 | 3.142 | 2.615 |
2 速 | 1.833 | 2 | |
3 速 | 1.333 | 1.136 | |
4 速 | 1.071 | 0.916 | |
減速比(1次★/2次) | 3.421/2.500 | 4.058/2.500 | |
キャスター角(度)★ /トレール量(mm)★ | 26°30´/73 | 26°30´/73 | |
タイヤ | 前 | 70/90-17M/C 38P | 70/90-17M/C 38P |
後 | 80/90-17M/C 50P | 80/90-17M/C 44P | |
ブレーキ形式 | 前 | 油圧式ディスク(ABS) | 機械式リーディング・トレーリング |
後 | 機械式リーディング・トレーリング | 機械式リーディング・トレーリング | |
懸架方式 | 前 | テレスコピック式 | テレスコピック式 |
後 | スイングアーム式 | スイングアーム式 | |
フレーム形式 | バックボーン | バックボーン |
この中で変更されたポイントまとめるとこんな感じ。
通称名 | スーパーカブ110(JA59) | スーパーカブ110(JA44) | |
車名・型式 | ホンダ・8BJ-JA59 | ホンダ・2BJ-JA44 | |
全長×全幅×全高(mm) | 1,860×705×1,040 | 1,860×695×1,040 | |
最低地上高(mm)★ | 138 | 135 | |
シート高(mm)★ | 738 | 735 | |
車両重量(kg) | 101 | 99 | |
エンジン型式・種類 | JA59E 空冷 4ストローク OHC単気筒 | JA10E 空冷4ストロークOHC単気筒 | |
内径×行程(mm) | 47.0×63.1 | 50.0×55.6 | |
圧縮比★ | 10 | 9 | |
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) | 8.8[0.90] /5,500 | 8.5[0.87] /5,500 | |
燃料消費率※3 (km/L) | 国土交通省届出値 | 68.0 (60) | 62.0 (60) |
定地燃費値※4 (km/h) | <2名乗車時> | 〈2名乗車時〉 | |
WMTCモード値★ | 67.9 (クラス1) | 67.0 (クラス 1) | |
(クラス)※5 | <1名乗車時> | 〈1名乗車時〉 | |
燃料タンク容量(L) | 4.1 | 4.3 | |
変速比 | 1 速 | 3.142 | 2.615 |
2 速 | 1.833 | 2 | |
3 速 | 1.333 | 1.136 | |
4 速 | 1.071 | 0.916 | |
減速比(1次★/2次) | 3.421/2.500 | 4.058/2.500 | |
タイヤ | 後 | 80/90-17M/C 50P | 80/90-17M/C 44P |
ブレーキ形式 | 前 | 油圧式ディスク(ABS) | 機械式リーディング・トレーリング |
で、一番気になるのは新エンジンになってのボア&ストローク。ゆうて125だったらいろいろ想像も付いたけど、110は完全新規エンジンだからね。わくわくするよね。
でほかにもいくつか気になるポイントがある。でも、自分には難しいことはわからない。
というわけで、カブのプロであるところのM&Fカビィ影山さんに聞いてみたよ。
いつもありがとうございます。
M&Fカビィはカブを愛する店主による、カブ専門店。オリジナルパーツをはじめとする各種パーツや、カスタムやチューニングも得意なカブのスペシャリストによるカブ好きのためのショップですよ。
今回の発表でわかったことをプロに聞いてみる
全幅
まず気になったのは横幅なんですが、全幅が10mmほど大きくなってるんですよ。
横幅ということは、バーエンドが変更されたのかも知れないですね。
ちょいとモーターサイクルショーで実車見ときます!
ボア&ストローク
では、本題。エンジンまわり。
これまでのボア50.0mm×ストローク55.6mmからボア47.0mm×ストローク63.1mmと、ロングストローク化してますね。
C125が新型に変わったときもそうなんですが、傾向としてロングストローク化しているようですね。
で、C125の時も言いましたが、ロングストローク化するということは、ピストンの最大速度が上がってクランクなどへの負担も増えるので、高精度で高耐久性なエンジンに仕上げられてるはずです。
そうでしたね。エンジンフィールとしては、ドコドコ系が強まるんでしたよね。
単純にそうとも言い切れないんですが。
鼓動感については、車両のキャラクターであえて出す場合もありますから。
ボアストロークの一般論として、ロングストロークになれば低回転でのトルク発生が大きくて、燃費の良いエンジンという傾向なのは間違いないでしょうね。
なるほど、確かに最大トルクが増えて燃費も向上してますね。
あと、もうひとつ。新型C125のボアストロークがボア50.0mm×ストローク63.1mmだったじゃないですか。で、JA59もストロークが63.1mmですよね。
なんで同じ63.1mmなんですか? 偶然? それとも大いなるメッセージ?
エンジンの狙いとしてはロングストロークのトルク型エンジンにして、爆発回数を減らして燃費を良くするということなんでしょうけど、なんで63.1mmと同じ数値なんでしょうね。
クランクあたりの部品共通化の都合かもしれませんね。部品の品番の確認と、実車が来たらバラしてみたいですね。
なるほど、メッセージとかじゃないんですね。
ギア比
変速比、つまりギア比ですが、なんか全然違うんですけど。
通称名 | スーパーカブ110(JA59) | スーパーカブ110(JA44) | |
変速比 | 1 速 | 3.142 | 2.615 |
2 速 | 1.833 | 2 | |
3 速 | 1.333 | 1.136 | |
4 速 | 1.071 | 0.916 | |
減速比(1次★/2次) | 3.421/2.500 | 4.058/2.500 |
二次減速比が2.5ということは、スプロケットの丁数(フロント14丁、リア35丁)の組み合わせになるので、JA44と同じですね。
JA59の場合、一次減速比がかなりハイギヤになってる。
具体的には大体15%くらいハイギヤードになってますね。
一次減速比ってのは、クランクの回転数を落とすため「クランクからミッションに行くときに減速する」んですが、その減速比率のことです。
よくわかんないけど、はい。
一次減速比がハイギヤになっている分、ミッションのギア比が是正されてて、一速がかなりローギヤードになってますね。
印象としては、昔のカブに近い感じ。古いカブは一速が登坂力のあるスーパーローみたいな感じだったじゃないですか、ああいう雰囲気に思われますね。
逆に、JA44なんかは「普通のバイクっぽい」走りでしたよね。それと比較すると一速がローギヤードになったという印象に見えます。
全然やりたくないけど、文字ばっかりだからエクセルで計算してグラフにしてみた。
間違ってたらすいません。
ネットを参考に作ってみたけど、全然わからん。
縦軸をrpmにしたいけどなおらないつらい吐きそう。
いや、なんとなくわかるんじゃないですか。回転数を縦軸にした方がわかりやすいですが。
次にレシオギャップを見てみましょう。
レシオギャップってのは「各ギアがどれくらい離れてるか」ということです。図で示すとこういう感じです。
ほうほう。
JA59、つまり新型スーパーカブ110では、一速から二速の間がすごくワイドになってるのがわかりますよね。
それに対して、二速〜三速はかなり近づいてて、三速〜四速は若干ワイドになってます。
この感じ、具体的には角目の四速スーパーカブカスタムに近いですね。
その例え、めちゃめちゃわかりにくいですね。
総じて見ると、一速は出だしが強く、二速以降はスムーズで乗りやすい、という印象ですね。
特に遠心クラッチは一速で負担が掛かりやすいんですが、このセッティングによりクラッチへの負担が減ってますね。
じゃあ、キャンプで大荷物積んでる時とかに、より乗りやすくなってるって感じ?
というより、スタートしやすい。登坂能力が上がってるという方が正確ですね。
ただ、一速と二速が離れてるので一速をちょっと引っ張った方が良い場面があるかもしれない。
今までのJA44の一速に対して、0.8速になったみたいな感じかな。
燃料タンク容量&燃費
タンク容量が200ml減ってますね。
確かに。ABSユニットとかが圧迫してるのかな。
ということは、タンクの内部形状も変わってたりするのかもですね。
底部分の形状が微妙に違う可能性はありますね。
タンク容量は微妙に減ってますが、燃費は62.0km/lから68.0km/lに向上※しているので、単純計算すると航続距離は10km以上伸びてますね。
※国土交通省届出値定地燃費値(60km/h)
JA44/62.0km/l×4.3l=航続距離266.6km
JA59/68.0km/l×4.1l=航続距離278.8km
航続距離が伸びるのは単純に嬉しいですね。ガソリン価格も高いですし。
ブレーキ&ABS形式
フロントに搭載されるのは、1チャンネルABSとのことです。この写真を見ると1ピストンのキャリパーなんでしょうか?
対抗はさすがに使わないと思うので、片押しの1ピストンだと思います。
あと、タイヤサイズがほぼ一緒なんですが、リアだけ44Pから50Pに変わってますね。
そもそも、この44とかPってなんですか?
44とか50というのはロードインデックス、つまりタイヤの最大負荷能力を表しています。44の場合は負荷能力160kg、50の場合は負荷能力190kgですね。
Pというのは速度記号ですね。速度記号Pのタイヤは、150km/hまで許容できるということですね。
なるほど。
そもそも、これまでのチューブタイヤからチューブレスタイヤに変わっているので、タイヤ選びは自ずと変わってくるでしょうね。
ではズバリ、新型スーパーカブ110にオススメのタイヤは?
それはもう、ミシュランから新しく登場したシティエクストラですね。
シティプロの後継として完全新型で登場したビジネス用チューブレスタイヤです。
ウェットグリップ、耐摩耗性、耐パンク性能が向上した、オールラウンドに使えるタイヤで、スーパーカブにはもってこいですね。
シティプロも良いタイヤだったんですが、チューブタイヤなので、新型スーパーカブ110には使えないんですよ。
いいじゃん最新ミシュラン。これって僕のカブ90にも使えますか?
シティエクストラは、古いカブやJA44でもチューブを入れれば普通に使用できますよ。
ミシュランでいうところのTL(チューブレス)というカテゴリなんですが、チューブを使えばチューブタイヤとしても使っても良いそうです。
シート高
なんとシート高が3mm上がって738mmになったんですよね。これ、自分的にはかなり衝撃を受けたんですが。
確かシート高735mmは、C100からの伝統的シート高で、スーパーカブの名を冠するモデルは基本的に735mmを守ってきてたじゃないですか。それがついに変更されたっt
シート高でそこまで興奮するのは若林さんくらいだと思いますよ。
確かに735mmはスーパーカブの伝統でしたが、これが3mmあがってるということは、サスペンションかスイングアーム回りが変更されてるかもしれません。
そうですよね、前に考察記事を作っていたときも「なんとなくリアが上がってる気がするな」とは思ってました。
逆にいえば、伝統的なシート高を変更しての3mmなので、完成度などにこだわったホンダの意欲の表れに思えますね。
JA44とはサスが違うかも知れないので、品番をチェックしてみたいですね。
メーターインジケ-ター
JA59では、メーター内に待望のシフトインジケーターと時計が装着されたんですよね。
これまではメーター左上にガソリン残量計がついていたんですが、それも液晶内になりましたね。
距離計もおそらく液晶内表示になってるんでしょう。
あれっ、スピードメーターが140km/h表示ですが、これって前からでしたっけ?
以前は120km/h表示だったはずですよ。
ウィンカーインジケーターが点いてないのが気になります。
それは実車でチェックですね。
価格と発売日について
新型スーパーカブ110の価格は、30万2500円(税込)ということですね。確かJA44が28万くらいだったはずなので、およそ2万円の価格上昇ですね。
価格上昇したとはいえ、キャストホイールやABS、フロント油圧ブレーキを搭載してるので、むしろお買い得になったと言えるんじゃないでしょうか。
そもそもJA44をシフトインジケーター付メーターパネルに交換すると、部品代だけで1万7000円近くかかりますからね。
しかも時計もついてますからね。お買い得。
むしろ気になるのは、販売台数ですね。
魅力的なニューモデルなので、相当な人気が見込まれますが、どれくらい供給されるんでしょう。
リリースサイトによると7,000台らしいですよ。
カブの人気は凄いので、7,000台を多いとみるか少ないとみるか難しいですね。
ただ、欲しい人はなるべく早めに入手に動いた方が良いかも知れませんね。
そうですね、なんといっても空前のカブブームですから。
ちなみに発売日は2022年4月14日だそうです。あと10日くらいですね。
まとめ
ついに詳細発表された新型スーパーカブ。自分の印象としては、まさにカブの正常進化、という感じ。今年の夏には、新型カブでのカブキャンパーも見ることが出来そう。楽しみだな。
レポート:若林浩志