文・写真:石神邦比古
「F.Bモンディアル」とは?
実に3年ぶりの開催となった東京モーターサイクルショー。ようやく人の集まる大きなイベントでの車両展示が解禁され、ここぞとばかり国内外のオートバイメーカーが自慢の新型車を展示していました。
モーターサイクルショー初参加の私が興味をひかれたのは「F.Bモンディアル」。
1948年に創業し、1979年に経営不振で一度撤退。2015年に復活を果たしたイタリアのオートバイメーカーです。
日本での正規販売は2018年からされていたそうなのですが、折悪く新型コロナウイルスの蔓延が重なってしまい、今回が初の東京モーターサイクルショー出展だったそう。
今回展示されていた車両は5台。いずれも125cc・250ccと小排気量のモデル。
ネイキッドモデルの展示が多い中で存在感を放っていたのが、白と赤のフルカウルを纏った「スポーツクラシック300」。公式にパガーニとも呼ばれているロードスポーツモデルです。
20世紀半ばのレーサーレプリカのようなクラシカルなイメージを演出しつつも、巧みにモダナイズされた外装からは、ネオレトロでスポーティな印象をを受けます。
車名には「300」とありますが、249ccSOHC4バルブ単気筒エンジンを搭載し、普通自動二輪免許で乗ることができます。
倒立フォークや、フロントブレーキにラジアルマウントキャリパーを採用するなど、装備も本格的。リアサスペンションはツインショック式ですがリザーバータンク付きで走行性能に対する抜かりのなさを感じさせます。
展示場では車体が固定されていたため確かな重量感は掴めませんでしたが、カタログスペックで153kgなので、250ccクラスとしては標準的な部類に入るでしょう。
シート高は804mmと低くはありませんが身長175cmの私で踵まで接地します。ライディングポジションは多少前傾ぎみですが、セパレートハンドルを採用するモデルとしては自由度の高い部類で、街乗りからスポーツツーリングまで幅広く対応してくれそうです。
ちなみに、別称やサイドカウルに刻まれた「パガーニ」とは1949年に最初に開催された125cc世界選手権で、旧F.Bモンディアルのマシンを駆り初代チャンピオンに輝いた「ネッロ・パガーニ」選手の名からとられているのだとか。
このスポーツクラシック300は同時に展示されていた「Hps300」にカウルを取り付けたモデルで、Hps300とは基本のメカニズムを共有する兄弟車となっています。
しかし、Hps300はフロントフェンダーやブレーキディスクの形状が異なり、タイヤもフロントが18インチでブロックパターンのものを装着。車体サイドから飛び出る2本出しアップマフラーと相まってスクランブラーのようなスタイリングとなっています。
ですが、Hpsのハンドルはポジションの低いテーパーハンドルとなっていて、ステージとしてはストリートを意識したモデルのようです。
シート高は790mmで、スポーツクラシック300よりも足つきは良好。
スポーツクラシック300、Hps300はともに250ccクラスが人気な日本での限定モデル。両車とも「スポーツクラシック125」、「Hps125」の排気量アップバージョンで、F.Bモンディアルのラインナップは125ccクラスがメインとなっています。
現在日本では上記のスポーツクラシック125、Hps125に加え「フラットトラック」、「SMXエンデューロ」と限定モデルである「Hps ウビアリ エディション」を含め、5モデルの125ccモデルをラインナップしていて、クランクケースの形状に違いがありますがすべて共通のエンジンを搭載しています。
今回展示車はありませんでしたが、Hps125は限定モデル「Hps ウビアリ エディション」は、歴史に名を残すレーサー「カルロ・ウビアリ」選手が1951年に最初の世界タイトルを獲得してから70周年を記念したモデル。
スタンダードのHpsはブロックタイヤを装着しているのに対し、ウビアリエディションはロードタイヤを選択。ハンドルもアップライトなバーハンドルに変更されています。
どのモデルも125ccとしては大柄な車格で、装備も本格的。ユーロ5をクリアするDOHC4バルブ単気筒エンジンのパフォーマンスも気になるところです。
また、125ccではより現代的なネイキッドモデル「PIEGA」の国内取り扱いも検討中とのこと。
30年の時を超え再び旗揚げした新生F.Bモンディアル。東京モーターサイクルショーへの出展は今回が初めてとなるので、ここからが日本のバイク市場への本格参戦といえるかもしれません。
125・250ccクラスの人気が高まる日本市場でのこれからの動向に注目したいです。