文:宮崎敬一郎、オートバイ編集部/写真:南 孝幸、赤松 孝
カワサキ「Z900 50th Anniversary」インプレ(宮崎敬一郎)
機敏なファイターながら街乗りでも十分実用的
Z900はそれまでのZ800世代から、フレーム、エンジンを一新して2018年に登場したモデル。Z900RSのベースとなったスポーツネイキッドで、リッタークラスとしてはコンパクトな車体を活かしたクイックなフットワークが光る。
今回試乗したのはZの50周年記念モデルで、スタンダードとの違いは1980年代のZ-GPやGPzを彷彿とさせる鮮やかなレッドカラーとシボ入りシートなど。このカラーリングはZ900の迫力あるデザインと相性がよく、インパクトはスタンダードより格段に強力だ。
RSの100km/h 6速が約3900回転なのに対して、こちらの減速比は少しショートで4200回転強。回っている分、比べると少しせわしいが、イヤな振動などが一切ないのは嬉しい。
エンジンはRSより10馬力以上強力な125PSなのに加え、減速比の違いもあり、瞬発力は強烈で別物。兄貴分のZ1000ほどの猛ダッシュではないが、ちょっと回し気味にすれば「暴れん坊の走り」をどこでも実現する。先代のZ800シリーズと同等の、程よい節度を保った非常に身軽なハンドリングを持っているのも素晴らしい。
パワーモード切り換えやトラコンなどといった電制ライディングアシストも装備するが、嬉しいことに、エンジンにはスポーツモードでも街中で普通に使える扱いやすさがある。トラコンも優秀で、峠道で路面の荒れなどから不意に起こるスライドのセーブなども安心してまかせられる。
Z900はストリートでは機敏なストリートファイターになり、峠道ではイージーに曲がる、かなり元気のいいスポーツバイクなのだ。サイズ、パフォーマンス、そしてプライスも手頃な高性能スタンダードスポーツと見ていいと思う。