RC390、YZF-R3の出場が可能に!
暦も4月に入り、いよいよ2022全日本ロードレースが開幕しました。
開幕戦の舞台となったのは、ツインリンクもてぎから名称をあらため「モビリティリゾートもてぎ」。開幕戦ということで木曜からフリー走行が始まりましたが、朝のうち雨が降ったり、まだまだ気温もひとケタ台というコンディションのなか、きょう土曜日から天候も安定。少し風が冷たかったものの、カラッとドライのコンディションとなりました。
サテ本誌が一方的におネツを上げているJP250クラスですが、2022年レギュレーションに大きな変更がありました。
これまでの公認車両(=ホンダCBR250RR/ヤマハYZF-R25/カワサキNinja250・Ninja ZX-25R)に加え、KTM RC390が新たに出走OKとなり、YZFはR25だけでなくR3も参加できることになりました。
これは、言うまでもなく2021年までの「CBR250RR一強」って現状に合わせたレギュレーション変更で、参加車両も増え、バリエーションが出ることで、もっとJP250を盛り上げよう!という試みです。なにせ2021年に4気筒モデル、Ninja ZX-25Rが参戦OKになったとはいえ、速いのはCBR250RR、ほとんどCBRのワンメークレースになっちゃっていましたからね。
そして開幕戦、CBR250RR以外のエントラントは--! というと、YZF-R25が1台に、RC390が1台、そしてNinja ZX-25Rが2台と、やや寂しいけど、まぁいのだ。すこし状況に「変化」は表われているから、第2戦以降も期待して待ってましょう。
RC390、Ninja ZX-25Rともに、まだまだ準備期間が足りなかったのと、市販モデル同様、車両も買えないし、部品も手配できない、って事情もあるみたいです。ホントならね、開幕戦から「CBR以外」がたくさん出てくれて、少しずつレベルアップしてくれたらいいなぁ、と。それも車両とか部品も買えないとは、コロナ禍のせいでなかなか思うようにいきませんねぇ。
そのJP250、基本的に土曜に予選→決勝を済ませるワンデーレース。午前中に行なわれた公式予選では、KIJIMA KISSレーシングのルーキー、山根昇馬がポールポジションを獲得! 山根は中野真矢さん率いる56レーシング出身で、まだ国内ライセンス、21年はJ-GP3クラス「チャレンジクラス」に出場していましたね。きのう4月1日に中学3年生になったばかりなんだそうです! ひゃー!
予選2番手は中沢寿寛(i-FACTORY&Mガレージ)、3番手に田中敬秀(7C エムズホームYUEハイパープロNTR)がつけ、スターティンググリッドは以下のとおり。中沢、田中のベテランをルーキーが抑えきった、印象深い予選になりましたね。ちなみにNinja ZX-25Rは予選15位と17位、RC390は18位とまだまだ苦戦中。ここから煮詰めていって、いつ最強CBRに追いつくかなー、って感じ。
土曜のうちに行なわれた決勝レースは、直前のJSB1000クラスのレース1がスタートディレイしてことで、夕方のちょっと気温が下がったタイミングでの10周。もてぎのこの時期は、夕方になるとやはり気温も落ちて、なかなか寒い中でのレースとなりました。
スタートは、ポールシッターの山根が決めてホールショット。予選2番手の中沢がすぐ後方に。やはり、そうやすやすとはルーキーを逃がすわけにはいかない。
レースは序盤からトバす山根に中沢がくらいつき、3番手以下が少し離れる展開。3番手争いは福田たかお(TEAM TEC2&ベスラ&YSS)、田中、豊原由拡(TEAM TEC2&24サービス&YSS)、中村龍之介(ENDLESS TEAMシャンティJP)、土岩直人(SHINライディングサービス )らがグループを形成します。
しかし3周目には、トップ山根を追っていた中沢が最終コーナーでスリップダウン! そのまま山根は独走態勢となり、10周を走り切って2位以下に4秒の差をつけてフィニッシュ! JP250のデビュー戦を、見事に独走で総合優勝! しかも山根、まだ国内ライセンスで、並み居る国際ライセンスのライダーたちをやっつけちゃったことになります!
2番手争いは、上の5~6人から6周目に豊原、中村、土岩が4コーナーで多重クラッシュ! 福田と田中が抜け出してのバトルから、田中が最終ラップのダウンヒルから90度で福田をかわしますが、最終コーナーからの立ち上がりからフィニッシュラインの間に福田がパスしてフィニッシュ! 国際ライセンスクラスで、福田が優勝、2位に田中、3位に吉澤隆(クラブKENJIN&ペンタグラム&YOSHIZAWA)が入りました。
国内ライセンスクラスでは、総合優勝の山根に続き、総合4位の野村唯人(SHINライディングサービス)がクラス2位、神山保男(G3レーシングプロジェクト)がクラス3位で表彰台に登壇しました。
「コースの後半で走っている姿の影が出ているところで、中沢さんが後ろにつけていることはわかりましたが、転んだのは気づきませんでした。後ろにいなくなったからミスでもして後退したのかな、と。そのあとは、後続が離れていても落ち着いて走れました! コンディションも違うんですが、金曜のフリー走行で2分11秒台を出せていたので、そこを目標に走っても13秒しか入らなかったのはちょっと残念でしたけど、優勝できて良かった!」(山根)
21年シーズンは、篠崎佐助が圧勝したJP250ですが、国内ライセンスのニュースター出現!という感じですね。とても15歳とは思えない、落ち着いた走りの新星誕生です!
写真/小縣清志 中村浩史 文責/中村浩史