文:太田安治/写真:南 孝幸、ハスクバーナ・モーターサイクルズ
ハスクバーナ・モーターサイクルズ「スヴァルトピレン125」解説(太田安治)
原付二種の枠を超えた存在感抜群の一台
1903年にスウェーデンでオートバイの生産を開始し、高性能オフロード車メーカーとして、世界中にその名を知られるハスクバーナ。現在はオーストリアのKTMグループに属し、ハスクバーナ・モーターサイクルズとして本格エンデューロ・モトクロスモデルやアドベンチャー、スーパーモト、カフェレーサールックのヴィットピレン、そしてスクランブラータイプのスヴァルトピレンシリーズが日本に導入されている。
このスヴァルトピレン125は、シリーズの他のモデル同様、2022年モデルで新しいグラフィックとなった。車体の基本構成はシリーズ共通で、スチール製トレリスフレーム、WP製前後サスペンション、バイブレ製ブレーキも上級車譲り。日本では原付二種に区分されるが、「原付」という呼称が似つかわしくない存在感がある。
835mmというシート高により、着座位置は高め。ハンドル位置はロードスポーツ的で、後退したステップ位置と併せてライダーとオートバイの一体感が高いポジションだ。
グループ企業であるKTMの125DUKEに採用されているものと同系統のDOHCシングルエンジンは7000~10000回転あたりがパワーバンド。市街地での試乗では6~7000回転台を多用したが、パワーバンドの手前でも頼りなさはなく、4000回転をめどにした、早めのシフトアップでストレスなく加速してくれる。6速・50km/hでも普通に巡航できるから、ツーリングペースでもスムーズで快適だ。
エンジン特性以上に快適なのが公道でのハンドリング性能。標準装着されるタイヤはピレリのスコーピオン・ラリーSTRで、ブロックパターンを採用しているタイヤだが、ブロックタイヤにありがちなゴロゴロ感はほとんどなく、旋回力とグリップ力のバランスもなかなか良かった。
また、車体剛性が高いとギャップ通過時に弾かれるような挙動が出がちなのだが、このモデルは衝撃がフレームに伝わる前に、WP製の前後サスペンションがしなやかにストロークして衝撃を吸収し、上質な乗り心地を保ってくれる。かといって、加減速やコーナリングでフワつくこともない。これは現実的な公道走行に合わせ込んだスプリングとダンパーの絶妙な設定のおかげだろう。
個性的なフォルムをまとっているが、スヴァルトピレン125は、数ある125モデルの中でも、最もオールラウンドに使える、付き合いやすい1台だ。