ノーマル感を維持しつつ内容はきっちり今風に

「“Z1ってどうなの?”と聞かれたのが最初なんですよ」と、プレジャーの店長・生駒さんが背景を言うこの車両。

「オーナーさんはZ900RSやNinja1000にも乗られている方。それでZ1に興味が出たところ、Z1について“どのくらい古いの? 現行車と比べると乗れない車両なのかな?”というところから聞かれました。“きちんとした車両で、きっちりメンテナンスしているなら乗れますよ”と説明すると、“作って!”とおっしゃったんです。それでフレームもエンジンもさわりますから、ボロでいいので持ってきてください、というところから始まったんです」

ベースとなったのは’75年式Z1Bで、生駒さんは“旧車だけど安心して乗れる(走る、曲がる、止まる)バイクに”という依頼に沿うべく作業を進めた。エンジンは純正仕様を基本としてシリンダーとスリーブは新品、ほか可能な箇所はすべて新品に。クランクは芯出し等を行う。フレームはボーグモーターサイクルの伊藤さんに、長年の知識を生かしてもらう形で補強等を頼み、合わせてスイングアームやステップ製作も依頼。そのスイングアームはノーマルから30mm延長されているという。

画像1: ノーマル感を維持しつつ内容はきっちり今風に

「製作途中に前後サスを組んで跨がってみると、足着きが今ひとつでした。そこでリヤショックは20mmショート化し、スイングアームも延長して解決したんです。足着き向上以外にも、リヤホイールが後ろに行って、すっと伸びやかなスタイルになってます」と生駒さん。

ほかにもあえてクラッチを鋳造のノーマルクラッチカバー内側を削り込んだ上でレリーズを組んで油圧駆動化したり、ヨシムラショート管はスイングアームの干渉を避けるようにカット加工→再溶接してフレームのメインスタンドマウント部に装着。ブレンボキャリパーもブラック化するなど、削り出しパーツやカラードパーツによる“今風”の見映えをあえて避けながら、中身はスープアップしていく。

画像2: ノーマル感を維持しつつ内容はきっちり今風に

このようにすべて再構築していった結果、「ブレーキはめちゃくちゃいいし、エンジンもヒュンヒュン回る昔の新車の感じが出ました。パワーアップもしているけどゴリゴリでなくスムーズ。長く乗っていけるバイクになりました」と生駒さん。オーナーも初めてのZ1となったこのバイクに違和感なく乗り、今や「面白い!」とこればかり乗っているというから、その作り込みのほども分かるはず。こんなアプローチができるプレジャーの手腕に脱帽、という1台なのだ。

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Detailed Description 詳細説明

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ヘッドライト(ボディはCIBIE)やメーター照明など灯火は今風の機能としてフルLED化。左右マスターシリンダーはゲイルスピード製。

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メーターは完璧なリペアを求めてクラフトビーでO/H。ハンドルバーはアクティブ製ミディアム。ステムは40mmオフセットのJB-POWER製をチョイスした。

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テールライト、ウインカー(POSH製の小型/ホワイトレンズ仕様に換装)もLED化されている。フェンダーレスキットはPMC製を装着。

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シートは鞍タイプをワンオフ。燃料タンクはドレミコレクション製。これを含めた外装は、当初黒一色でもいいという話だったところ、塗装や造形を担当するプレジャーの生駒チーフがブラック×ガンメタの火の玉パターンでペイントすることで車両に深みを出した。

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ステップは削り出し感(バーは除く)やシルバーによるシャープ感をあえて避ける形でボーグモーターサイクルで製作した鋼管製だ。

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スプロケットカバーはノーマル鋳造で、内側を削り込んでケイファクトリー製汎用レリーズを装着し油圧駆動化するという凝った仕様を採っている。

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1975年式をベースに純正0.5mmオーバーサイズピストンを使い、クランク芯出し等も行ってオーバーホールされたエンジン。外観もガンコーティングで再仕上げされる。点火はウオタニSP2。フレームはボーグモーターサイクルで4カ所補強、タンデムステップも追加した。

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キャブレターはCRスペシャルφ29mmをK&Nパワーフィルターとの組み合わせでセット。バッテリーはSHORAIリチウムイオンにアップデートする。

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フロントフォークはJB-POWER KYBスペシャルφ38mm。フロントブレーキキャリパーはブレンボCNC4ピストンだが、ブラックでガンコートして今風に見えてしまうことを避けた。ぱっと見はきれいなZ、よく見ると凄いことがしてあって良く走る……を細部からも構築した。

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リヤブレーキはブレンボCNCキャリパーをブラック仕上げ。キャリパーサポートはワンオフ。ディスクはサンスター・トラッドディスクをチョイス。

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ボーグモーターサイクル製スイングアームは30mm延長仕様で、ナイトロン・ステルスの20mmショート加工仕様リヤショックとで足着き性を良くしルックスも伸びやかに。ホイールはMAGTAN JB1で2.75-18/4.00-18サイズ、タイヤはダンロップ・ロードスマートIIIを履く。

取材協力:カワサキSHOPプレジャー

レポート:ヘリテイジ&レジェンズ編集部

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