日本が誇る二輪車メーカー4社は世界各地で高い評価を得ている。そして日本市場では正規販売されていない機種が海外では数多く展開されてもいる。この連載では、そんな知る人ぞ知るモデルをフィーチャー。今回はブラジルで独自の進化を遂げたカテゴリーの話。ホンダの新型車が登場し、ヤマハも真っ向勝負!?
文:小松信夫

ブラジルではアドベンチャー的オフロードモデルのシェア争いが激しい!

以前この連載で、ブラジルで独自の進化を遂げた、コンパクトなアドベンチャー的オフローダーであるホンダ「NXR160」というモデルを紹介しました。

画像: ホンダ NXR160BROS ESDD

ホンダ NXR160BROS ESDD

国内向けモデルにはない125以上250以下という中間排気量、純オフローダーというよりオールラウンドに使えそうな作りの、こういうオフロード的モデルがブラジルあたりでは実用的な1台として根強い人気があるらしいですけどね。

画像1: ブラジルではアドベンチャー的オフロードモデルのシェア争いが激しい!

モデルチェンジしたばかりのニューモデル、ということでNXRは紹介したんですが、その対抗馬であるヤマハの「クロッサー150S」と「クロッサー150Z」という双子モデルも、NXRに対抗するかのようについ先日モデルチェンジされました!

画像: ヤマハ クロッサー150S(2023年モデル)

ヤマハ クロッサー150S(2023年モデル)

ということで、取り上げないわけにはいきません。という訳でちょっとチェックしてみましょうかね。ちなみにコレが「クロッサー150S」で。

画像: ヤマハ クロッサー150Z(2023年モデル)

ヤマハ クロッサー150Z(2023年モデル)

で、こちらが「クロッサー150Z」です。基本的にはアルコール燃料対応の空冷単気筒エンジン、NXRと同じくフロント19インチ・リア17インチのスポークホイール、前後ディスクでABSなブレーキ、正立フォークにモノサスを組み合わせたコンパクトな車体など、両車メカニズムは大体同じ。

スタイリングもほぼ共通だけど、クチバシ状のフロントフェンダーが延長されてるのがオフロード向けのZで、クチバシ部分が短くて、ダウンタイプのフェンダーが別に付いてるロード向けモデルがSということのようで。一般的なオフロードモデルっぽいライバルのNXRよりだいぶスタイリッシュ。

画像2: ブラジルではアドベンチャー的オフロードモデルのシェア争いが激しい!

しかし、このフロントマスクはなかなか格好よろしいですな。プロジェクタータイプのLEDヘッドライトを活かしたデザインで、都会的で軽快なイメージのS、延長フェンダーを追加したZ共に、純オフローダーという感じよりは、モダンで未来的、しかもスポーティなルックスで。

画像3: ブラジルではアドベンチャー的オフロードモデルのシェア争いが激しい!

モデルチェンジで新たに採用された、新しいコンパクトな液晶メーター。バーグラフ式タコメーター、デジタル表示のスピードメーターをわかりやすく表示するシンプルなデザイン。燃料計、時計、ギアインジケーターなどの多彩な機能も盛り込まれてる。メーターの下には電源ソケットも用意されてたり、今時な実用性も重視。ハンドルバーも簡単に位置を調整可能だ。

テールランプもLED化されててスマートな仕上がりで、もちろん被視認性もアップ。ウインカーは旧来のバルブですが。とりあえずSもZも格好いいし、オンからオフまでどこでも使い勝手もよさそうだし、なかなか良さそうじゃないか! と思ったんですが。で、なんとなく気になって、今までの「クロッサー150」を見てみるとですね。

画像: ヤマハ クロッサー150S(2022年モデル)

ヤマハ クロッサー150S(2022年モデル)

こっちが従来型「クロッサー150S」ですね。フロントマスクが大違い。ヘッドライトがLEDじゃなくてバルブを使うタイプだから。

画像: ヤマハ クロッサー150Z(2022年モデル)

ヤマハ クロッサー150Z(2022年モデル)

こっちが従来型「クロッサー150Z」。やっぱりSをベースにオフロード向けにフェンダーを延長したフロントマスクとなってます。

というか、問題はそこじゃないですね。ええ、賢明な方ならお分かりでしょう、メーターを含むフロントマスク(とリア周り)以外の部分、デザインもメカニズムが新型と基本的には変わってない! 大きなシートとかタンデムグリップ、燃料タンク、シュラウド、サイドカバー、マフラー、ミラーまでみんなほぼ同じ。旧型のSにフォークブーツが付いてないことくらいしか違いが発見できませんでした。

画像: ヤマハ クロッサー150S(2014年モデル)

ヤマハ クロッサー150S(2014年モデル)

それだけ従来のモデルが完成度高かくて、変える必要が無かったということなんでしょうが。その証拠に、これが「クロッサー150S」のデビュー時、2014年モデルですけど。リアがドラムブレーキなことを除けばメカニズムはほぼ完成してて、クチバシマスクのスタイリングも各部の造りもこの時点で基本線が固まってる。大きい変更はリアディスク化、ABS化されたくらいかな。

しかも8年の間に熟成されて信頼性も高まってるだろうし。オフロードで本格的に飛んだり跳ねたりするんじゃなくて、ちょっとしたダートで日常的に使われる存在として、それに勝るものはない。でもNXRとかのライバルもいるからイメージチェンジに迫られて、LEDを取り入れた新しい顔にしてモデルチェンジ、ということなんでしょうか。

文:小松信夫

This article is a sponsored article by
''.