文:太田安治、オートバイ編集部/写真:南 孝幸
KTM「250 アドベンチャー」インプレ(太田安治)
気軽に快適な走りを楽しめるアドベンチャー
ここ数年で急速に存在感を増してきた軽量級アドベンチャー。KTMの250アドベンチャーはミドルクラスの390アドベンチャーの兄弟車で、スチール製トレリスフレームに長いホイールトラベル量を誇る前後サスペンション、フロント19、リア17インチのホイールといった車体構成はほぼ共通。
またがると250ccモデルらしからぬ堂々とした車格で、ゆったりしたポジション、座面幅が広くて尻の落ち着きがいいシート、ストロークの長いサスペンションで、大型アドベンチャー車と何ら変わらない雰囲気だ。
250デュークの流れを汲むエンジンは、パワーと耐久性に定評のある水冷DOHC4バルブ単気筒。1速のギア比がややロング(高め)な設定で、乗り始めはゼロ発進時にエンジン回転とクラッチ操作に気を使うが、動き出してしまえばスロットル開度に忠実に反応して力強く加速してくれる。
パワーが盛り上がってくるのは6000回転からで、そこから1万回転近辺までのレスポンスは実に爽快。「390」のような路面を蹴るような豪快なフィーリングとは異なり、2気筒エンジンか? と思うほどスムーズにスピードが乗っていく。
高速道路の6速・100km/h時は6000回転で、胸から下の走行風を遮ってくれるウインドスクリーンと併せて長時間クルージングも快適そのもの。ただ、7000回転を越えるとシートやステップに振動が出始めるから、快適な速度域は60〜110km/hあたりになる。
操縦性は車格から想像するより軽快で、重心位置の高さ、サスペンションストロークの長さに起因するユラユラした挙動も出ない。バイブレ製のブレーキの効きもハンドリング特性に合っていて、混雑した市街地でも乗りやすい。
ダートに入った際にオフロードABSも試したが、後輪のABSがオフになるのでリアブレーキを使って向き変えのきっかけを作ることが容易になる。急制動の妨げにもならなかった。
市街地からワインディング、さらにはダートまで気軽に乗れるキャラクターに加え、14.5Lタンクによる約400kmの航続距離、大型で見やすく多彩な表示と機能を備えたメーターなどの装備も250アドベンチャーの魅力。73万円という魅力的な価格も、日本のメーカーにとって大きな脅威になることだろう。
KTM「250 アドベンチャー」カラーバリエーション
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