文:太田安治、オートバイ編集部/写真:南 孝幸、森 浩輔
KTM「250 DUKE」インプレ(太田安治)
KTMらしいスポーツ性を堪能できる痛快ネイキッド
オーストリアのKTMはエンデューロモデルやモトクロッサーの成功によってオフロードモデルメーカーとして確固たる地位を築いているのに加え、近年ではオンロードモデルの大ヒットやMotoGPでの活躍もあって、いまや高い技術と志を持つスポーツモーターサイクルメーカーとして世界中に認知されている。
そんなKTMブランドを日本で広めた立役者が125、250、そして390の「スモールデューク」シリーズ。個性的なルックスに相応しく、エンジン特性もハンドリングも完全にスポーツ指向。乗りやすさを最優先する日本車とは次元の違う痛快さが光るモデルだ。
そしてスモールデュークシリーズの中核を担うモデルがこの250。30馬力/9000回転というスペックは同クラスの標準的な数値だが、このエンジン、とにかく中回転域のパンチ力が際立っている。
単気筒250ccエンジンの場合、低回転での粘り強さ、またはトップエンドの伸びを求めると、どちらか一方が犠牲になってしまいがち。現実的に公道で多用するのは中回転域がメインなので、このエンジンは5000〜8000回転あたりに明確なパワーバンドを設定。この範囲内ではスロットル操作に対するダッシュ力とエンジンブレーキ力の反応が実にダイレクトで、スポーツマインドあふれる特性に作り込まれている。
ストリートファイタースタイルを持つデュークだけに、多様な走行環境への対応力も高い。剛性バランスのいい車体とストロークの奥で踏ん張る前後サスペンション、強力かつコントローラブルなブレーキにより、スキルの高いライダーが攻め込んでも破綻しにくいうえ、車体が暴れても押さえ込みやすいので路面の荒れた峠道も得意。
幅広のアップハンドルによるアップライトなポジションのおかげで市街地走行から長距離ツーリングまで楽にこなせるし、高い位置から上体を使って操作できるので速度域に関わらず軽快なハンドリングを示し、Uターンも楽々。パワーバンド以下での回転域でもスムーズに反応するパワー特性と併せ、エントリーライダーの入門用にもお薦めできる。
この走りを味わえば、日本車とはまるで違うスポーツテイストを全身で感じ取れるはず。車両価格が日本車と大差ないこともデュークの大きな魅力だ。
KTM「250 DUKE」カラーバリエーション
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