文:太田安治、オートバイ編集部/写真:南 孝幸
ハスクバーナ・モーターサイクルズ「スヴァルトピレン250」インプレ(太田安治)
個性際立つデザインとイキのいい走りが魅力
ハスクバーナは1903年にスウェーデンでオートバイの製造を開始し、1960年代からはモトクロスやエンデューロ、スーパーモタードなどの世界選手権で大活躍した。現在はハスクバーナ・モーターサイクルズとしてオーストリアのKTMグループに属し、ロードスポーツはヴィットピレン401、スヴァルトピレン401、250、125の4モデルで展開中。このスヴァルトピレン250は2020年にラインアップに加わり、今年グラフィックを一新した。
エンジンはKTMの250デュークの系統だが、オリジナリティあふれるデザインのスヴァルトピレンはデュークとは雰囲気が全く異なる。タンクからサイドカバー、シートレール部分までを繋げたフォルム、タンク上のキャリアやサイドの張り出しなど、他メーカーにはない「北欧デザイン」が異彩を放っている。
最高出力31馬力のエンジンはショートストローク&高圧縮の設定。7000〜1万回転をキープし、パワーを使い切っての走りは爽快そのもの。ストリートをキビキビ走るなら6000回転以下に落とさないよう2〜4速を使い分けることがポイントだ。
低中回転域では反応が穏やかで、トコトコ感もほとんどないが、個人的には乗りやすさ重視の日本車とは違う「操る楽しさ」を前面に出した特性に魅力を感じる。なお、6速・100km/h時は約6700回転。振動も少なく、高速巡航は思いのほか快適だった。
積極的な操作を求めるエンジンに対して、ハンドリングは意外におとなしめ。しなやかに動く前後サスペンションで乗り心地が良く、アップライトなライディングポジション、座り心地のいいシートと併せ、通勤通学からツーリングまで守備範囲が広いのも特徴。
峠道では「やや飛ばし気味」のペースがちょうどいい。適度な車体剛性と奥で踏ん張ってくれる前後サスペンションでギャップに強く、ブレーキングや切り返しでラフに扱っても穏やかに反応するから、経験の浅いライダーでも不安なくコーナリングを楽しめる。
インド製MRFのタイヤは常識的なライディングなら素直な旋回性で扱いやすく、未舗装路にも臆せず入り込める。ただし最低地上高はさほど高くないから、大きめのギャップ超えは慎重に。
個性的なルックスながら、中身は正統派ロードスポーツ。このパッケージングで税込66万7000円とコスパも上々。ハスクバーナ・モーターサイクルズという由緒あるブランドのマシンがこの価格で手に入るのも大きな魅力だ。