文:太田安治、オートバイ編集部/写真:赤松 孝、南 孝幸/車両協力:2輪の店 よしい
SYM「NH T200」インプレ(太田安治)
ちょうどいい性能に加え手頃な価格も大きな魅力
長らく小型スクーターを主力車種としてきた台湾のSYMだが、近年は本格的オートバイのラインアップを拡大中。このNH T200はアドベンチャースタイルの車体に単気筒エンジンを搭載し、高速道路走行を含むツーリングにも対応した個性派モデルだ。
前19/後17インチのホイール採用もあって250ccクラスのアドベンチャーと同等の車格を持ち、ライポジもゆったりとしたもの。長身のライダーでも窮屈さはなく、座面が広くて座り心地のいいシート、ストローク感のある前後サスペンション、スポークホイールならではの高い衝撃吸収性と優しい乗り心地で、長時間走行での疲労を抑えてくれる。
排気量183ccのエンジンはリッター当たり100馬力となる約18馬力を発生。この排気量だけに蹴り出すような力強さはないが、低回転域から穏やかに加速し、9000回転超でレブリミッターが作動するまでスムーズに吹け上がっていく。6速・100km/h時は約6000回転で、高回転で回り続ける感覚が気にならないライダーなら120km/hクルーズも可能。このオートバイのキャラクターを考えれば充分なスペックだろう。
大径タイヤ採用の大柄な車体は装備重量約150kg。フロントのトレール量が大きめに設定されていることもあり、ツーリングシーンでは直進安定性の高さが光る。加えてステアリング軸とハンドルグリップ位置のオフセット量も大きめで、ライダーの操作に対して穏やかに反応するからのんびりツーリングに適しているし、エントリーライダーでも扱いやすい。
セミブロックパターンタイヤと大型のエンジンガードが純正装着されているのでツーリング中に出くわす未舗装路やキャンプ場近辺のダート路面も安心。燃料タンク容量は11Lあり、満タンでの航続距離は「下道のんびりペース」なら400kmを超えるはず。親しみやすさの中にアドベンチャーモデルの強みをしっかり備えている。
こうしたツアラーとしての資質と、前後連動コンビネーションブレーキや明るいLEDヘッドライトの装備で気軽に乗り出せるコミューター的なキャラクターが融合し、幅広い使い方に対応できるのがNH T200の魅力。40万円を切る価格もエントリーユーザーのデビュー用、ベテランのセカンドバイクとして大きな購入動機になるはずだ。