今、モーターサイクルの世界では「アドベンチャー」タイプのモデルが大人気です。そんなブームのなか、電動車によるロードレースシリーズの"MotoE"に競技用車両を供給しているイタリアのエネルジカは、欧州初の電動グリーンツアラーバイクをうたう「エクスペリア」というモデルを登場させました!
文:宮﨑健太郎(ロレンス編集部)
※この記事は「ロレンス」で2022年5月29日に公開されたものを転載しています。

電動バイクメーカーも、アドベンチャーブームは無視できません・・・!?

近年世界で、最も売れているドゥカティがムルティストラーダであることが示すとおり、今アドベンチャーのカテゴリーは世界のモーターサイクル業界のなかでブームになっています。モーターサイクルの楽しみ方のメインストリームである「ツーリング」を楽しむのに向いている・・・というのが、昨今のアドベンチャー人気の理由でしょう。

そんなわけで、以前はあまりオフロード/デュアルパーパス系にはあまり熱心ではなかったメーカーも近年はこのジャンルに力を入れて、ニューモデルが続々登場して市場をにぎわせています。今まで、オンロードスポーツの電動車をリリースしてきたエネルジカが、初のアドベンチャーモデルである「エクスペリア」をリリースしたのは、この分野にも電動車の需要はある・・・と考えてのことなのでしょう。

画像: エクスペリアの車体まわりのスペックは、全長2,132mm、全幅867mm、全高1,461mm、シート高847mm、ホイールベース1,513mm、そして車重260kgというもの。フレームはスチールチューブラートレリスにアルミサイドプレートの組み合わせ。リアスイングアームは鋳造アルミ合金製です。 www.energicamotor.com

エクスペリアの車体まわりのスペックは、全長2,132mm、全幅867mm、全高1,461mm、シート高847mm、ホイールベース1,513mm、そして車重260kgというもの。フレームはスチールチューブラートレリスにアルミサイドプレートの組み合わせ。リアスイングアームは鋳造アルミ合金製です。

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画像: ホイールは前後とも鋳造アルミ合金製の17インチで、この選択からオフロードよりもオンロード志向のアドベンチャーであることがわかります。タイヤサイズはフロントが120.70-17、リアが180/55-17でOEMタイヤはピレリのスコーピオントレイルIIです。サイドパニアおよびトップケースの容量は、合計で112リットルが確保されています。 www.energicamotor.com

ホイールは前後とも鋳造アルミ合金製の17インチで、この選択からオフロードよりもオンロード志向のアドベンチャーであることがわかります。タイヤサイズはフロントが120.70-17、リアが180/55-17でOEMタイヤはピレリのスコーピオントレイルIIです。サイドパニアおよびトップケースの容量は、合計で112リットルが確保されています。

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最高出力は75kW(102hp)/7,500rpm!! 気になる航続距離は・・・!?

エネルジカがこのエクスペリアを造ることに対して、いかに気合を入れているのかはそのスペックから想像がつきます。車体、モーター、バッテリーはいずれもエクスペリアのために新開発したものです。大容量化・軽量化されたバッテリーは最大22.5kWh(公称19.6kWh)で、マスの集中と低重心化に配慮した車体に搭載しています。

新たに用意された永久磁石支援同期リラクタンスモーター(PMASynRM)もエネルジカ製の他車に比べ質量が軽く仕上げられており、これもバッテリー同様に低い位置に配置することで、操安性が不安定になりがちな低速域での扱いやすさに貢献しています。

画像: エクスペリアに採用されたPMASynRM(パーマネント マグネット アシステッド シンクロナス リラクタンス モーター)は直流306V(公称)で連続出力60kW(80hp)/7,000rpm、最高出力75kW(102hp)/7,500rpm、発生トルク(後輪)は115〜900Nmというスペックです。 www.energicamotor.com

エクスペリアに採用されたPMASynRM(パーマネント マグネット アシステッド シンクロナス リラクタンス モーター)は直流306V(公称)で連続出力60kW(80hp)/7,000rpm、最高出力75kW(102hp)/7,500rpm、発生トルク(後輪)は115〜900Nmというスペックです。

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エクスペリアは80〜102馬力という必要十分な出力を持っていますが、最高速度は180km/hでリミッターがかかるように設定されています。なお0〜100km/h加速は3.5秒というもので、アドベンチャーモデルの動力性能としては文句ないものでしょう。

現代の2輪電動車のウィークポイントといえば、バッテリー技術の問題からICE(内燃機関)搭載車には航続距離や補給時間にかなわないというものがあります。長距離ツーリングに使われることが多いアドベンチャーモデルゆえ、エクスペリアについても最も気になるのはこのあたりのスペックについてでしょう。

電動車の航続距離は使い方に大きく左右されるものですが、エネルジカの公表値はシティ420km、複合256km、エクストラ-アーバン208kmというもの。そしてWMTC(The World-wide Motorcycle Test Cycle)では222kmです。

画像: エクスペリアはエアロダイナミック スポーツツーリング フェアリングを採用。フロントスクリーンは、高さを調整できる仕様になっています。そのほかグリップヒーター、ダッシュボード側に2つのUPS、そしてロック可能な防水ストレージコンパートメントにも2つUPSを備えるなど、高い利便性を有しています。 www.energicamotor.com

エクスペリアはエアロダイナミック スポーツツーリング フェアリングを採用。フロントスクリーンは、高さを調整できる仕様になっています。そのほかグリップヒーター、ダッシュボード側に2つのUPS、そしてロック可能な防水ストレージコンパートメントにも2つUPSを備えるなど、高い利便性を有しています。

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充電については、急速充電(DCFC レベル3 モード4)で400km/時(6.7km/分)、低速充電(レベル2 モド2または3)で63.5km/時なので、エクスペリアはEVインフラが充実している国では実用的に使える仕様になっているといえるでしょう。

画像: エクスペリアの充電器はオンボードタイプで、3kW 90-264Vac 50/60Hz (1kW 90-177Vac range)。 SAE J1772およびIEC 62196-2規格に準拠しており、充電ステーション・インターフェース用パイロット信号付きになっています。 www.energicamotor.com

エクスペリアの充電器はオンボードタイプで、3kW 90-264Vac 50/60Hz (1kW 90-177Vac range)。 SAE J1772およびIEC 62196-2規格に準拠しており、充電ステーション・インターフェース用パイロット信号付きになっています。

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画像: エクスペリアの前後サスペンションはZFザックス製で、トラベル量は前後ともに150mmです。ブレーキは前後ブレンボ製を採用し、フロントが330mm径ダブルフローティングディスク+4ピストンラジアルキャリパー、リアが240mm径シングルディスク+2ピストンキャリパーとなっています。 www.energicamotor.com

エクスペリアの前後サスペンションはZFザックス製で、トラベル量は前後ともに150mmです。ブレーキは前後ブレンボ製を採用し、フロントが330mm径ダブルフローティングディスク+4ピストンラジアルキャリパー、リアが240mm径シングルディスク+2ピストンキャリパーとなっています。

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ICE搭載車に対する電動車の大きなアドバンテージ・・・電子制御に関しては、エクスペリアは6段階のトラクションコントロール、電気ブレーキを活用したクルーズコントロール、プリセット4種+ユーザーカスタム3種のライディングモードなど、非常に充実した仕様になっています。

画像: シート高が高く、パニアおよびトップケースがついていてかさばる大型アドベンチャーは、停車時の押し歩きや取りまわしに苦労するという人も少なくないです。その点でエクスペリアは電動車では一般的な機能ともいえる「低速リバース」を採用しているので、上述のような苦労をすることは少ないでしょう。 www.energicamotor.com

シート高が高く、パニアおよびトップケースがついていてかさばる大型アドベンチャーは、停車時の押し歩きや取りまわしに苦労するという人も少なくないです。その点でエクスペリアは電動車では一般的な機能ともいえる「低速リバース」を採用しているので、上述のような苦労をすることは少ないでしょう。

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なお現時点では価格が公表されていませんが、予約注文の受付はエネルジカの公式ウェブサイトでできるようになっています。エネルジカにとって最新の挑戦となるアドベンチャー分野への進出ですが、このエクスペリアが新しい市場をどのように開拓することになるのか・・・注目ですね! 

文:宮﨑健太郎(ロレンス編集部)

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