文:太田安治、オートバイ編集部/写真:森 浩輔、岩瀬孝昌
ホンダ「CB400 SUPER BOL D’OR」インプレ(太田安治)
「CBの世界」を拡げる威力絶大なハーフカウル
ネイキッドモデルとして確固たる人気を得ていたCB400スーパーフォアに、2005年から追加されたのがハーフカウルを装備したスーパーボルドール。エンジン/車体の基本構成は共通で、ウインドプロテクション効果の大きさからツーリング主体のライダーに支持されている。
こだわりを感じさせるのがカウルのマウント方法。小ぶりなカウルをハンドルに取り付けるという手軽な方法は採らず、前後に長いハーフカウルをフレームにマウント。カウルデザインの自由度が大きくなり、カウル自体の重さや風圧、ヘッドライトユニットの重さもハンドルに直接掛からないため、ハンドリングへの影響が抑えられる。コスト増を承知で、カウルの役割を突き詰めた設計だ。
これまで何度もスーパーフォアと同時に試乗しているが、カウル装備で低速時の軽快さは減るものの、違いは見た目から想像するよりも遙かに少ない。むしろフロント回りの落ち着きが増し、大型車的な重厚感が出ていることを好ましく感じるライダーも多い。
スクリーン自体はさほど大きいものではないので、上体を起こした姿勢では胸元から上に風圧を受けるが、カウル先端から側面に至るまでの形状を空力的に分析して走行風を左右に流すことで胸から下に直接当たる風圧は大幅に低減されている。少し腰を引いて上体を前傾させれば高速道路クルージングでの疲労が抑えられ、雨天や冬場の快適性も段違いだ。
加えてCBらしい配慮を感じるのがカウル両サイド上面の小物入れ。跨がったまま小物を出し入れできるのが便利で、左側には鍵が付いているのでセキュリーティ面でも安心。カウル上面はデッドスペースだと判っていてもユーザーが手出しできない部分だけに、嬉しい設計だ。
取材時には複数車両で自走移動することも多いが、ライダー間でスーパーボルドールの奪い合いになる、という事実も快適さの証拠。400ccモデルで100万円超えという車両価格だけを見れば高く感じるのは無理もないが、ツーリング頻度が多いライダーなら、ハーフカウルの実用性とスポーツグリップヒーター、ETC2.0車載器の標準装備を考えれば、十分納得できる価格だと思う。
CB本来の魅力である万能さを、ハーフカウルを装備することでさらに引き上げているのがスーパーボルドール。数あるホンダ400ccモデルの中でも「珠玉の一台」と呼べるオートバイだ。