文:宮崎敬一郎、オートバイ編集部/写真:赤松 孝
インディアン「パースート・ダークホース」インプレ(宮崎敬一郎)
クルージングも快適だがワインディングも楽しい
このパースートは軽くてパワフルな1768ccの水冷「パワープラス」エンジンを搭載するインディアンの最新ツアラー。試乗車はマットブラック塗装の「ダークホース」。豪華な大型ツアラーと聞くとジェントルなイメージを抱きがちだが、ちょっとワイルドな雰囲気がこのモデルのウリだ。
ベースとなっているのはバガーモデルの「チャレンジャー」。パースートはこれと同タイプのアルミフレームを採用する。足回りはセミアクティブサスでこそないが、積載量やライディングモードに呼応する、電子制御油圧調整式のリアサスを備えている。
乗り心地はなかなか良好で、リアが細かいギャップをうまく吸収してくれ、どんな状況でもしっかりとした接地感を生んでいるのが気持ちいい。フロントサスはソフトだが、大きなカウルの重量を支え、クルージングするには十分な安定感を醸し出す。
パースートの高速安定性は大きなフェアリングを持つツアラーとしてはかなり優秀。振動やメカノイズが煩くなるエンジン回転数から判断するに、快適な速度レンジはおそらく145km/hあたりまで。つまり、日本でのクルージングは常に快適、ということだ。
ちなみに無段階調整が可能な電動スクリーンは、スクリーン下側のダクトが半分出てくるあたりにセットしておくと、高速道路で、ヘルメット全体、両肩あたりまでの直撃風を凌いでくれる。特に冬場に重宝しそうだ。ヘッドライト脇やレッグシールドには外気導入ダクトがあり、これも威力絶大。全開にしておくとエンジン熱を吹き飛ばしてくれ、夏場も結構耐えられる。
ビッグVツインの鼓動感は、極低回転域はもちろん、2500〜3000回転あたりまで濃厚。ここから回転が上がるにつれ、まるで古い英国ツインモデルのようなビートを発する表情になるが、全く忙しくはない。
3段階あるライディングモードは「スポーツ」だとエンジンの応答が自然で、かつ、音もキレがいい。そして他と明らかに違う、5000回転以上回した時のパンチと伸びもある。このモードでも、どこでも素直に操れるので、常用モードとしてお薦めだ。
操作系に過度なラバーマウントがない分、意外に素早く身を翻せるのも特徴。見た目に反して、低速から高速の峠道も自然に走れて楽しい。これも大きな魅力だ。