初代スーパーカブであるC100。その鈴鹿工場第1号車の実物を見ることが出来るぞ
鈴鹿市役所1Fの「モータースポーツ振興コーナー」に鈴鹿製作所第一号車のC100が展示されてるんですよ。これは、鈴鹿市制施行80周年及び鈴鹿サーキット開場60周年にちなんだ、まさにスペシャルな展示。
ちなみに展示期間は2022年の9月30日まで※。
※9月30日の午後には撤収作業が行われる可能性があります。可能ならば9月29日までがオススメです。
これは行くしかない。
とはいえ、C100に詳しくないので、どのへんが見所なのかカブのプロにあらかじめ聞いてみたよ。
カブ専門店のM&Fカビィ代表影山さん、よろしくおねがいします!
毎度!
そもそもC100ですが、当初、埼玉・浜松で生産をしてたんですよ。ですが、需要の高まりにより鈴鹿に工場を作って需要に対応したんですね。
なので、「スーパーカブを作るための工場」なんて言われ方もしてましたね。まさに聖地です。
さらに言えば、「もっとも多くのC100を生産した工場」でもあるはずですよ。
カブ全体の生産台数だと熊本製作所の方が多そうですもんね。
スーパーカブ生産のための工場用地を探す中で、かの有名な「お茶菓子を出さずに冷たいお茶だけでもてなす」というエピソードありますよね。それが鈴鹿です。
お、聞いたことありますよ。
鈴鹿サーキット建設のエピソードだと思い込んでました。カブだったんですね。
で、そのあと色々チェックポイントを聞いたので、詳しくはのちほど。
鈴鹿製作所生産第一号車を見に行くなら日曜午前がオススメ
さて、やってきました鈴鹿市役所。自分とこの役場以外に行く機会ってあんまりないので新鮮ね。
ちなみに市役所が開いてるタイミングでないとダメなので注意してね。
開庁時間は平日が17時15分まで。で、土曜日はお休みなんだけど、日曜日の9時~12時までは開庁してる。
なお、日曜午前なら「鈴鹿モータースポーツ友の会」によるモータースポーツサンデーナビが実施されてるよ。
※都合により実施しない場合、あるいは時間が短い場合があります。
その名の通り、日曜日にカブについてのエピソードとかを案内してくれるってわけ。
ツーリングで向かうなら日曜午前がチャンスよ。
アクセスなんだけど、カブとかバイクで来る場合は西側のロータリーに入ると駐輪場アリ。
南下して向かう場合は、市役所手前の道が右折禁止なので注意してね。回り込むように向かうのだ。
車の場合は普通に立体駐車場に向かうのが吉。立体駐車場の北側から出て市役所に向かうことが出来るよ。
詳しくはコチラ。
第一号車にご対面
さてご対面。なんだけど、その前に注意事項。
注意
鈴鹿製作所第一号スーパーカブは、展示柵の内側に展示されています。柵の内側に入っての撮影は禁止されています。もちろん展示車両に触れる行為も一切禁止されています。
記事内には、鈴鹿市役所及び鈴鹿モータースポーツ友の会より特別に許可を頂き、柵の内側から撮影した画像が含まれています。ご了承下さい。
というわけでババーン、鈴鹿製作所第一号スーパーカブC100ですよ。
まず前提としてのこのC100。鈴鹿製作所生産第一号車として鈴鹿市に寄贈されていたもの。その後長年にわたって大事に保管されていたオリジナル車両。とはいえ、なんせ60年以上前の車両なので、途中で修復などの手は入っているそうな。
どうです。めちゃめちゃ美しいでしょ。
さて、ここからはカビィさんに教えてもらったチェックポイントをピックアップしていくよ。
オドメーターは138km。62年で138km。ならすと年間2.2kmの走行距離ですね。
ヘッドライトナセルの上にあるニュートラルランプに注目です。
赤い。
これは仕様によって黄緑だったり、青だったりします。
色が違う理由は、生産工場の違いなど諸説あるんですよ。
ほほう。
フェンダーがボディ同色なんですね。
鈴鹿製作所が出来るまでは、埼玉製作所や浜松製作所でC100を生産していたんですが、それらの初期モデルでは色が違いますね。鈴鹿製作所の60年生産ならボディ同色ですね。
ちなみに、C100に関しては、様々な仕様違いがあるんですよ。
仕様違いというと?
特に大きなポイントとしては、エンジンハンガーの有無や形状ですね。
初期のC100はメインフレームから吊り下げるようなエンジンハンガーがあったんです。いわゆる「吊りカブ」というやつですね。
なんとなくわかりますよ。フジミの1/12プラモデルを作ったときにそれっぽいモールドついてました。
ってあれ、吊られてないですよ。
鈴鹿製作所の稼働開始が1960年なので、そのあたりで吊りじゃなくなったんですよね。
吊られてないカブですね。
このテールレンズとウィンカーはC100ならではですよね。
これはワシ鼻テールですね。
ワシ鼻っていうんですか、かっこいいすね。
これより後の年式だと通称ピノキオといってもう少し長い形状になります。
その後おむすびと呼ばれる、C65なんかにも採用された形状になります。
クラッチのとこにボルトが2個あるのが二つ星ってやつですよね。これはかろうじてわかります。
クランクケースカバーの締結がプラスネジ(フィリップス)なんですね。カッコ良いけどなめそう。
二つ星が採用されていたのは60年までなんです。二つ星で、かつ吊りカブじゃないというのは、60年生産の特徴ですね。
グリップって感じですね。白いんですね。
当時、グリップの色は茶色やグレーなど複数あったみたいですよ。
サイドカバーノブにHM(ホンダモーター)の刻印がありますね。あと青い。
車体色であるマルエムブルーにあわせたノブなんですよ。
ミラーは角っぽい形状なんですね。
形状もそうですが、当時のミラーはミラーベース側にネジが切ってない貫通穴です。
ミラーのネジ部分が長くとられていて、ナットで締結する構造ですね。
うちでも取り扱ってますよ。
今どきのカブにもつくんですか?
M8ボルトなので、新しい年式のカブに装着するには変換が必要ですし、ネジ部分が長いので車体にあわせてカットする必要があります。
カットするのがしんどければ、これです。古いカブなら普通につきますよ。
ブレーキアーム形状がめっちゃカッコ良い。
ブレーキアジャストナットがその後のカブとは形状が違うんですよね。ローレットタイプというか。
そういえば、このアジャストナットの形状で、現行カブにも使えるこのタイプのナット出してましたよね。
おかげさまでご好評いただいております。
現行カブをはじめ1980年代からはブレーキロッドが太くなってΦ12なんですよ。
C100とかの旧車はΦ10なのでお間違え無く。
なるほど、逆に旧車にはΦ12では装着できないんですね。
C100などの旧車に対応したΦ10タイプも用意してますよ。
メーターケーブル、今のモデルよりイカツイですね。あと、アクスルのツラが滑らかで凄い。
気づきました? スピードメーターギアユニットが別なんですよ
別? 別とは?
この後のモデルだと、スピードメーターケーブルとブレーキワイヤーが同じ側についてますよね。
古いC100だと、スピードメーターユニットが別体で、ブレーキパネルの反対側についてるんですよ。
ほんとだ、全然気づかなかったけど、反対側だ。
縦型キャブ。左からみたとこ。
この頃はリザーブタンクがないのでガソリンホースが一本しかないんですよね。
ガス欠しそうな仕様ですね。
右から見たとこ。
ティクラーがついてるんですよね
ティ、ティクラー? 生まれて初めて聞く言葉ですわ。
桂枝雀の代書屋って落語で「ガ、ガタロ? ガタロとはなんでっしゃろ?」って言った代書屋さんの心持です。
古いハーレーとかではよくあるんですけどね。
ガソリンをキャブの中に霧吹きみたいに噴射する、呼び水的な役割の機構です。チョークのチョークみたいなもんです。
リベット止めのプレートがカッコ良いすね。
このプレートですが、59年まではクランクケースにリベット止めされていて、61年以降はステッカーになるんですよ。
じゃあ、このプレートの設置位置は60年式だけなんですね。
当時の製造工場やロットによって多少の差異がある可能性も捨てきれないので、絶対とは言えませんがおおむねそういう認識で大丈夫です。
あと、車体番号でC100のあとに「60」って書いてあるじゃないですか。
ありますね。
これ、60年式を表しています。当時は年式も表記されてたんですよ。
わかりやすくていいですね。
7/15からは、鈴鹿工場生産第一号車C100展示と並行して新たな企画が始まるぞ
今回は鈴鹿市制施行80周年及び鈴鹿サーキット開場60周年ということで、特別なC100を展示してる。さらに7月15日(金)からは、"鈴鹿市とスーパーカブをキーワードにした取り組み"の第二弾として、こんな企画を用意しているぞ。
「鈴鹿モータースポーツ友の会」による鈴鹿市でのイベントの最新情報はコチラから。
まとめ
午前中だけとはいえ、日曜日にも見ることが出来るのは凄くありがたい。ツーリング先にするもよし、鈴鹿8耐と一緒に堪能しにいくもよし。ぜひ伝説の名車を堪能してほしい。
レポート:若林浩志/協力:M&FCuby/取材協力:鈴鹿市役所、鈴鹿モータースポーツ友の会