文:小松信夫
海外の白バイを見ても感じる、白バイとツアラーモデルの密接な関係性
前回はアフリカはコンゴ民主共和国のスズキWebサイト、「Police」カテゴリーに出てた「イナズマ・ポリス」の話でしたが、その隣にはこの「Vストローム650ポリス」も並んでましてね。まあ続きみたいなもんですね、前回の。ああ、両モデルとも別にコンゴ専用じゃなく、スズキ謹製の海外向け業務用モデルですがね。普通は製品ラインナップとして、わざわざ一般向けに紹介しないんだろうけどねぇ。
「Vストローム650ポリス」は、今も日本で普通に売ってる「Vストローム650ABS」と、見たところほぼ同じでしょ。何か特別な白バイだけの専用チューニングとかもないみたいでして。ガードパイプと、そこにマウントされてる回転灯くらいかね、明らかに違うのって。
左側には回転灯に加えてスピーカーも装着されております、と。しかしこのポリスのボディカラーは、市販版の「ブリリアントホワイト(YUH)」だよね。クチバシの横の車名入りグラフィックと、リアキャリアの色が違うけど。
ポリスの方には、サイドケースが装着されてるだろ! と言われそうですが、この箱自体は白バイにありがちな汎用品じゃなくて、日本でもVストローム650用の純正アクセサリーとして用意されてる、誰でも普通に買えるヤツでして。ほーら取り付け部とか、車種専用デザインでしょ? 中にスピーカー用のアンプとかが入ってたりするかどうかは…よく分かりませんが。
メーターとか、ハンドル周りも基本的には普通の街乗りモデルと変わってなくてね、給電用のUSBポートもそのまんま残ってる。赤灯とかスピーカーの操作用とおぼしきスイッチ類がハンドルに追加されてるけどね。
ということは…「Vストローム650ポリス」って、日本でも白バイ仕様のレプリカが非常に簡単に、再現度高く作れるんだなあ。マニア歓喜? マイナーな海外向け白バイのレプリカを作りたがる人が、どれくらいいるか知らんけども。
しかしこの「Vストローム650ポリス」というか「Vストローム650」は、バランスの良いミドルサイズのアドベンチャーツアラーとして、国内でも海外でも根強い愛用者の多いモデルですね。
言われてみれば、近年の白バイって優れたツアラーとしての適性を持ってるモデルが多用されてるんですわ。国内で現在主力となってるホンダの「CB1300P」も、登場時に設定されてたCB1300シリーズのツーリング特化バージョン「CB1300ST」(とっくに生産されてないけど)から派生したって話だし。
海外だけじゃなく国内でも、白バイとして使用されてるヤマハ「FJR1300」シリーズだって、長年にわたりヨーロッパで高性能グランドツアラーとして高く評価されてきた存在。もちろん警察官がツーリングするわけじゃなく。任務の特性上、優れたツアラーなら備えているであろう、汎用性の高さが求められてるんだろうなぁ、白バイには。速けりゃいい、という訳ではなさそうだし。
ということはですよ、新たな白バイが登場したら、それは自動的に優秀なツアラーだってことですな。するってえと、噂の次期白バイも…そういうことかぁ、うんうん。
文:小松信夫