複数人が協力すれば大型バイクでも持ち上げて運べてしまうため、窃盗被害リスクがつきまとう点は見逃せない事実である。
バイクを盗まれないようにするには持ち運べないように対策する方法もあるが、バイクの存在を窃盗犯に知られないようにする方法もある。
何よりも、窃盗犯に「このバイクを盗難するのは容易ではない」と思わせること。つまり窃盗の対象にされないことが対策として有効だ。
ここでは、バイクの盗難防止の基本と、どうすれば盗まれる確率を減らせるのか詳しくお伝えする。バイクを所有している人全員に当てはまる記事だと思うので、ぜひ参考にしてほしい。
文:小泉嘉史
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バイクの盗難防止対策の基本
バイク盗難は、道路上や駐車場だけでなく自宅に駐車してあっても発生する。警視庁によれば、盗難されたバイクのほとんどは盗難防止装置が取り付けられていなかったという。つまり、補助錠を使用すれば、防げる可能性が高いことを示している。
対策を行うかどうかで盗難被害に遭う可能性はかなり異なることが予想されるため、以下のような対策を参考に実践してほしい。
- バイクは目立たない場所に保管する
- バイクカバーは必ずかける
- センサーライトや防犯カメラ・ダミーカメラを利用する
- ロックは必ず行う
- 複数対策を組み合わせ盗難する気を起こさせない
バイク置き場を目立たない場所にする
バイクの窃盗犯は、1回見ただけではすぐに盗みに入らないと聞く。何回か下見に来る傾向があるようだ。つまり、バイクの存在がわからないようにしていれば、バイクの盗難から守れるということである。
例えば自宅駐車場の場合、利便性からバイクを乗り出しやすい場所に置いている方もいるだろう。しかし、裏返せば窃盗犯にとってもその場から持ち去りやすい場所ということになる。盗難防止の観点で言えば、できれば奥まった場所に駐車したいところだ。
さらに言うと、いつも駐車している職場やショッピングセンターなどの駐車場でも注意すべきだ。バイクを置くときに、本当にそこで問題ないのか改めて自問してみるクセをつけるのも良いだろう。
そして、外出時にいつも同じ場所に置かないことも重要だ。窃盗犯は、いつも同じ場所にあるバイクの行動を見ているとも聞く。人は、知らずのうちにルーティンに陥りやすい。窃盗犯に行動パターンを知られないことも有効な対策になることを覚えておこう。
奥まった住宅街の場合は、バイクをひたすら隠すことがポイントだ。住宅街は、人通りもクルマ通りも一日を通して少ない。また、住宅街は隣近所ならいざ知らず、その付近の方でなければ駐車場で何かしていても気に留めない場合が多い。つまり、無関心が多いのも住宅街の特徴なので、バイクの駐車場はできるだけ目立たないように工夫すると良いだろう。
ただ、奥まった場所まで下見に来る窃盗犯は、そのバイクを何としても手に入れたいと考えていると予想できる。そこで、安易に持ち出せないよう、クルマなどの障害物でバリケードしておくのも良い。窃盗犯は、手間がかかるのを嫌うということを頭に入れておいてほしい。それが対策のヒントにつながることもあるだろう。
バイクカバーは必ずかける
窃盗犯は、住宅街などを巡回しながら盗めそうなバイクを物色している。特に人気のバイクや高級バイクは、そのまま保管すると標的になりやすい。
そこで、バイクカバーを使うのも効果的だ。購入したての頃は愛着もありバイクカバーをしていたが、時間経過とともに怠ってしまっている人もいるかもしれない。しかし、汚れからの保護だけでなく、盗難対策の一環としても効果が期待できることを頭に入れておいてほしい。一目で何のバイクなのか特定されないことと、車体の色が見えないようにすることが盗難防止のポイントだ。
センサーライトや防犯カメラ・ダミーカメラを利用する
また、センサーライトやダミーカメラの取り付けも盗難防止対策になる。
窃盗犯の心理としては、何かしらの対策がある場所とそうでない場所では、確実に後者のほうが標的にしやすい。要するに防犯対策をしているとアピールするだけでも、窃盗の標的になるリスクは減らせるということだ。
抑止力となるロックをかける
盗難防止装置としてロックを使うことはもちろん有効だ。
しかし「ロックは簡単に解除されてしまう」という情報もあることから、その点に不安を覚えている人もいるだろう。だが、冷静に考えてほしい。窃盗犯は手間がかかるようなロックをしたバイクには手を出しにくいということは明白だ。つまり、確実にバイクを守れるとは言えないものの、窃盗犯を心理的に遠ざける効果は確実にあるということだ。
ロックを利用する場合は、できるだけ時間を稼げるロックを準備すると良いだろう。例えば切断やピッキングに時間がかかる商品だ。また、ロックを開錠しようとすれば、アラームが鳴り響く商品も良いだろう。また、一般的に10mmを超える太いチェーンは切断に時間がかかる。
外しにくいロックは窃盗犯も知っており、そういったロックで施錠されたバイクには手を出さないことがほとんどだ。さらに言うと、こうしたロック機能を合わせて使うことでさらに窃盗犯に「盗める」と思われるのを防げるので、対策資金に余裕があれば複合して行うのもいいだろう。
複数タイプのセキュリティ対策が窃盗犯のやる気を削ぐ
バイクの盗難対策には、物理ロックと電子ロックがあるので、併用して使用すると盗難対策の効果が高い。物理ロックとは、ワイヤーやチェーンといった昔ながらの防犯用品だが、電子ロックは、イモビライザーなどの電子的にバイクを動かなくさせたり音を鳴らしたりして防犯対策する商品だ。
窃盗犯は、切断に時間がかかることを嫌い、音や光が出ることはもっと嫌う。もちろん音が鳴っても平然とバイクを盗み出す強者もいるが、そういった窃盗犯対策のためにも、違う種類の盗難対策を複数しておくと効果が高い。
チェーンやワイヤーなどでバイクを縛り付けていても、プロは簡単に切断できる工具を持っている。つまり、物理的なロックは簡単に突破される危険性が高い。しかし同時に、バイクを動かしたら音と光で威嚇するセキュリティを搭載していれば、窃盗犯に対する抑止効果が高まる。
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物理ロックは本当に有効なのか? おすすめの選び方
物理ロックには賛否両論あるだろう。実際に物理ロックをしていてもバイクを盗まれる事例もある。
もちろん物理ロックで100%盗難を防げるとは言えないが、それでもやはり抑止力としては効果が期待できる。さらに物理ロックは他の対策とも組み合わせやすいため、有効な物理ロックの使い方を知っておくことは損にならない。
そこで、有効な物理ロックの選び方を紹介する。ポイントは以下のとおりだ。
工具で簡単に切断できないロックを選ぶ
ロックには支柱などに繋ぐタイプが多く、ワイヤータイプとチェーンタイプがある。チェーンタイプのほうが重いというデメリットがあるが、簡単には切断できないため重さと頑丈さはトレードオフの関係にあるとも言える。
商品選びは、実物を見て選ぶのがチェーンロックやワイヤーロックの基本だ。というのも、どちらもカバーがかかっており、中身のチェーンやワイヤーの太さがネット通販では見えないからだ。
しかし太さも重要だが、油圧カッターでも切れない合金製であれば、ネット通販で入手してもある程度は安心だ。
定番商品は盗難対策として十分ではない
物理ロックは太さと硬度が重要であり、それを満たす商品が安価で売られていることはほとんどないだろう。逆に、どこでも売っている定番のチェーンロックやワイヤーロックは、市販のチェーンカッターやワイヤーカッターでいとも簡単に切断できる。
もちろん、安価なロックを複数取り付ける方法もあるだろうが、一つのチェーンやワイヤーを数秒でカットできる貧弱な商品では対策にならない。もちろん、太くても素材が柔らかければ簡単に切断されることもあるので、硬度は必ず確認しよう。
上記を踏まえると、できれば高価でも品質にこだわった盗難防止商品を購入したいところだ。ロックの中で優秀なのはU字ロック。持ち運びには不便を感じるかもしれないが、セキュリティを高めたいならおすすめのロックだ。
ディスクロックはシンプルでも強力に守れる
ディスクロックとは、バイクのディスクブレーキに取り付けてタイヤが回転しないようにするロックだ。軽量かつ小型なので、持ち運びが簡単という利便性がある。
ディスクロックは、回転させるとバイクの故障に繋がるので、窃盗犯もディスクロックがあるとバイクをそのまま浮かせて持ち去るか、その場で開錠するしかない。しかもロットの切断が難しく、ピッキングに時間がかかることから、クレーンなどで吊り上げて盗む方法でなければ素早く盗めない。
そこで、吊り上げて持ち去られるのを防止するために、バイクの振動でアラームが作動するタイプもある。もちろん、100%盗難から守れるとは限らないが、他のロックと併用すれば効果は絶大だ。
地球ロックと併用すると効果が高い
地球ロックとは、地面に固定するロックで、アンカーを地面に打ち付けてそこに固定するロックが有効だ。
バイク単体でロックしていてもバイクを持ち上げて台車などに載せれば簡単に持ち去られてしまう。一方、地面に強固に固定できるロックがあれば、それを壊さなければバイクは持ち去られない。
自宅が自分の所有ならアンカーを設置すれば安全だが、賃貸の場合は周りに頑丈なものがないか確認して、そこにロックするのが良いだろう。ただし、柵などが破損した場合の責任の所在を大家さんなどに確認しておいたほうが良い。
地球ロックは、必ずロックか支柱のどちらかを壊す必要があるため、窃盗犯はやる気をなくすアイテムの一つだ。他のロックと併用して使用すれば効果も倍増するだろう。
アラームも併用なら手を出す窃盗犯は少なくなる
プロの窃盗団は、どうしても欲しいバイクなら、どんな手を使っても盗み出そうとするだろう。そこで、窃盗団が嫌がるアラームを一緒に取り付けると効果がある。
地球ロックをしているユーザーの多くは、その頑丈さゆえに安心しきっている節がある。しかし、油圧カッターなどを使用すれば、たとえ地球ロックでも破損されてしまうのだ。そこで、バイクに振動があればアラームが鳴るようにしておく。特にタイヤが転がった場合や宙に浮いた場合に即反応するタイプが良いだろう。
アラームには、かなり敏感に反応する商品もあるので、感度についても考慮しなければならない。たとえば雨や風で作動するようでは困るし、小さい地震で作動しても困るだろう。そこで、感度調整が可能で、実際に盗難被害に遭うような振動が起きたときに作動するアラーム選びがポイントだ。
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効果的に窃盗犯からバイクを守るには
窃盗犯は、狙ったバイクは必ず盗み出す気持ちが強い。つまり、狙われないようにすることこそ盗難対策の基本だ。
盗難対策で効果が高いのは音と明かり。これらをうまく使うと、かなりの確率でバイク盗難から守れる。しかし根本的な対策としては、窃盗犯ならどうやって盗むかを考えることだ。つまり、窃盗団になりきって考えれば、盗まれないようにする方法が見つかるだろう。
窃盗犯の手口を知ることで対策ができる
バイク盗難被害は様々なメディアで取り上げられるので、その手口をある程度知ることができる。例えばニュース映像等を見れば、窃盗団がどうやって盗み出しているのか見ることが可能であり、その動きから状況も把握できる。
まずは、犯行の手口や行動を知ることだ。そうすれば、どんな状態のバイクが狙われやすいかわかってくる。また、盗難防止対策も見えてくるだろう。それに沿って判断し、バイクを駐車している場所が狙われやすい場合は、実際に対策を実施しよう。
音を嫌い姿を見られたくない
物を盗むのだから、当然見られたくない。そこでバイクのそばや周辺に防犯カメラを設置すると、ある程度の効果がある。
ある程度というのは、防犯カメラの映像は、完ぺきに窃盗犯を捉えられないからだ。つまり、顔が見えないようにしていれば誰なのか判断できない。
しかし、全ての窃盗犯が防犯カメラを気にせずバイクを盗むかといえばそうとも言えない。つまり、防犯カメラがあることで、プロではないバイク窃盗犯から守ることも可能だ。
また、窃盗犯は昼間より夜間にバイクを盗みに来る。つまり、見られるのを嫌っている証拠なので、バイクに近づいたら光るセンサーライトや、バイクに近づくと家の中にチャイムが鳴るような工夫も良いだろう。もちろんチャイムは、周りの住宅に迷惑にならない程度の音量で外部にも聞こえるのが望ましい。
窃盗犯は、映像より直に見られるのを嫌う。持ち主が知らない間に盗まれないようにするには、バイクに近づいたら持ち主に何らかの方法で知らせるアラームがあると良い。つまり盗まれる前に、バイクから窃盗犯を追い払えるからだ。
ただし外国人の窃盗犯は、バイクを盗んでいる最中に大声で叫んでも怯むことなく逆に襲ってくるかもしれない。そういった場合は命の危険があるので、すぐに警察を呼び、相手の車のナンバーや窃盗犯をスマホで何枚も写真撮影して証拠を残し、決して近づかないことだ。
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犯行を諦めさせる視覚的効果がポイント
バイクを盗難から守るには、防犯対策をしていることを目でわからせて、犯行を諦めさせることだ。もちろん、チェーンでもワイヤーでもロックをしていれば、防犯対策しているとわかるが、その中でも壊すのが難しそうなロックがいくつも付いていると効果が高い。
もちろん、ロックだけでなくバイクカバーにセンサーを付けるのも良いだろう。そのセンサーが夜間に光を発していれば、普通の窃盗犯なら近づいてくることはない。
そして、プロの窃盗犯を視覚的に諦めさせる方法だが、それには、バイクを持ち出せない状況作りがポイントだ。
数人で持ち上げて運び出すことが困難なほど狭い状況を作れば、プロの窃盗団も状況を大きく変えることが困難なことから、諦める確率が高い。
簡易ガレージ内に駐車する
バイクを盗難から守るには、見せないことが一番だ。高級バイクなどは見えると窃盗団の格好の標的になるので、バイクカバーで覆う方も多い。しかし、エンジンを止めた直後はマフラーやエンジンが熱いので、すぐにカバーをかけられない不便さがある。そこで、簡易ガレージの設置が効果的だ。
簡易ガレージとしてコンテナを使用する方もいるが、コンテナは簡単にクレーンで吊り上げられてしまうので、防犯対策としてはあまりお勧めできない。そこで基礎を作り、そこに組み立てるガレージであれば、安心してバイクを保管できるだろう。
ガレージの扉に複数の鍵を付けて、バイクにも複数のロックをすれば、バイク盗難からかなりの高確率で守れる。さらに防犯カメラやセンサーライトなども同時に設置すれば、窃盗団も近づけないだろう。
バイクの盗難防止に関するよくある質問
Q.バイクが二輪車防犯登録に加入する意味はどれぐらいありますか。
A.二輪車防犯登録すると、万が一盗難にあっても早期発見に繋がります。防犯登録すると警察のコンピュータに登録され、不審車が発見されると、すぐに所有者確認が取れるため、盗難の早期発見に役立ちます。
Q.人目に付く場所ならバイクは盗まれないでしょうか。
A.人目が多くても盗まれます。プロの窃盗団は、どのような状況でも環境に合わせてバイクを盗み出すので油断しないことです。
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まとめ
バイクを盗難被害から守るには、バイクを見せないことと、窃盗犯にバイクを盗むことを諦めさせることだ。
高級バイクや人気があるバイクは、いつも駐車している場所では見えないように工夫をし、ロックも複数の種類を使用する。また、ロックしていることが目に入るようにして、視覚的に盗難対策していることを窃盗犯に知らせるのも効果が高い。
バイクは、いったん盗まれると戻る確率が非常に低い。これは警視庁が発表しているバイクの検挙率が10%台と低いことからもわかるだろう。
盗まれたら戻らないことを念頭に、気を緩めることなく対策を講じれば、窃盗団からバイクを守れるはずだ。
文:小泉嘉史