文:太田安治、オートバイ編集部/写真:赤松 孝
ホンダ「スーパーカブ110」インプレ(太田安治)
安全性を大きく高めフィールも洗練された
スーパーカブ110の2022年型はエンジンと足回りが完全に一新された。スペックは最高出力が同じで、トルクが僅かに増した程度。ロングストローク化は排出ガス対策で燃料をきれいに燃やし、フリクションも低減することが狙いだと思うが、低中回転での力強さと粘り強さが増し、あっけないほど軽く吹け上がる。振動が減ったことと併せ、加減速フィーリングは前モデルより大幅に洗練された。
最も目立つ変更は足回り。キャストホイール化で乗り心地は若干硬くなったが、ブレーキを含めたバネ下重量を抑えたことでハンドリングの軽快さは変わらない。チューブレスタイヤが装着でき、パンクによる急な空気圧低下のリスクが減ったことも評価したい。
ドラムブレーキの前モデル対し、新型のディスクブレーキは入力に対する反応がリニアで、タッチも安定していて扱いやすいし、ABSの介入タイミングにも不自然さはない。独特のロータリー変速は、停車時にトップギアの4速から踏み込むとニュートラルに入るため、シフトペダルの踏み込みだけで変速操作が済むが、慣れないと何速に入っているのか判りにくい。それだけにシフトポジションインジケーターの採用は大歓迎だ。
スポークホイールにドラムブレーキというスーパーカブ伝統の構成が失われたことを寂しく感じるかもしれないが、力強さと上質さ、実用性を総合的に高めた新型はまさに正常進化だと言えよう。
ホンダ「スーパーカブ110」ライディングポジション・足つき性
シート高:738mm
ライダーの身長・体重:176cm・62kg
体格差を問わずリラックスして乗れるポジション設定はスーパーカブの伝統。738mmの低シート高で足着き性が良いことはもちろん、101kgという軽量な車体とハンドル左右切れ角の大きさで取り回しやすさも文句なしだ。
ホンダ「スーパーカブ110」注目ポイント
ホンダ「スーパーカブ110」主なスペック・価格
全長×全幅×全高 | 1860×705×1040mm |
ホイールベース | 1205mm |
最低地上高 | 138mm |
シート高 | 738mm |
車両重量 | 101kg |
エンジン形式 | 空冷4ストSOHC単気筒 |
総排気量 | 109cc |
ボア×ストローク | 47.0×63.1mm |
圧縮比 | 10.0 |
最高出力 | 5.9kW(8.0PS)/7500rpm |
最大トルク | 8.8N・m(0.90kgf・m)/5500rpm |
燃料タンク容量 | 4.1L |
変速機形式 | 4速リターン |
キャスター角 | 26゜30′ |
トレール量 | 73mm |
タイヤサイズ(前・後) | 70/90-17M/C 38P・80/90-17M/C 50P |
ブレーキ形式(前・後) | シングルディスク・ドラム |
乗車定員 | 2人 |
燃料消費率 WMTCモード値 | 67.9km/L(クラス1)1人乗車時 |
メーカー希望小売価格 | 30万2500円(消費税10%込) |