125ccスクータークラスにあって、ライバルを寄せ付けない孤高の存在と言えばPCX。4代目となる現行モデルは先進的なデザイン、最先端の装備に加え、上質な走りと高い実用性で、登場以来高い人気を博している。
文:太田安治、オートバイ編集部/写真:南 孝幸/モデル:国友愛佳

ホンダ「PCX」インプレ(太田安治)

画像: Honda PCX 総排気量:124cc エンジン形式:水冷4ストロークOHC4バルブ単気筒 シート高:764mm 車両重量:132kg 税込価格:35万7500円

Honda PCX

総排気量:124cc
エンジン形式:水冷4ストロークOHC4バルブ単気筒
シート高:764mm
車両重量:132kg

税込価格:35万7500円

たゆまぬ進化を重ねて完成度は一層高まった

PCXは現行型から4バルブエンジンを採用し、最高出力は先代から0.5PSアップした。数値的には大きな差ではないが、発進加速は軽やかで力強い。これはパワーだけではなく、加速時に使う回転域でのトルクアップと、オートマチック変速設定の合わせ技。特に上り坂やタンデム時に重宝する。

加えて、遠心クラッチが低めの回転でスムーズに繋がって優しく動き出すから、極低速域でもコントロールしやすく、交差点の右左折やUターンで気を使わずに済む。高速域でもスムーズで、静粛性が高く、振動も少ないからクルージングも快適だ。

エンジン以上に進化を感じたのが操縦性。前モデルではフロントブレーキをかけながら寝かし込む際や、バンク中にギャップを通過する際、車体にねじれる感触が出たが、新型はこれが解消され、剛性アップに伴う重さや、コーナリング中の弾かれるような硬さは感じない。リアタイヤは14インチから13インチに小径化されているが、これは外径を小さくしてその分ホイールトラベル量を増やすことが主な狙い。実際、リアのストローク量は10mmアップしているが、1サイズ太いタイヤ幅でエアボリュームを増やして衝撃吸収性を上げているので、減速帯を通過した際などに感じるリアのドタドタ感が抑えられている。

リアフレームの形状変更で、シート下スペース容量が2L増量したのもポイント。ドラムからディスクへ変更されたリアブレーキは、頻繁に使ってもタッチと効きが一定していてコントロールしやすい。

好調なセールスに満足することなく、開発陣が「もっと先のステップ」を追い続けている結果が、エンジンからフレームまで変わったこの4代目。初代から不変の「パーソナルコンフォートサルーン」コンセプトに相応しい仕上がりになっている。

ホンダ「PCX」ライディングポジション・足つき性

シート高:764mm
ライダーの身長:164cm

画像: ホンダ「PCX」ライディングポジション・足つき性

軽く車体に潜り込むようなシットインポジション。フットスペース前側に余裕があるので膝を伸ばし気味にでき、ホールド性が高いシートバックと併せてゆったり座れる。タンデム時もライダーに掛かる負担は皆無だ。

ホンダ「PCX」各部装備・ディテール解説

画像: 新設計の「eSP+」エンジンは新たに4バルブヘッドを採用。ボア径を拡大して圧縮比もアップ、パワーを向上させている。

新設計の「eSP+」エンジンは新たに4バルブヘッドを採用。ボア径を拡大して圧縮比もアップ、パワーを向上させている。

画像: ABSはフロントのみの設定。キャストホイールはデザインを一新。試乗車の装着タイヤはミシュラン製。

ABSはフロントのみの設定。キャストホイールはデザインを一新。試乗車の装着タイヤはミシュラン製。

画像: クラッチは形状を変更。Vベルトを駆動するプーリーもフェイス径を拡大して、新エンジンに見合った滑らかな変速を実現。

クラッチは形状を変更。Vベルトを駆動するプーリーもフェイス径を拡大して、新エンジンに見合った滑らかな変速を実現。

画像: 大きなV字型のLEDヘッドライト。上部がウインカーで、その下のスモールには5本のシグネチャーラインを配置する。

大きなV字型のLEDヘッドライト。上部がウインカーで、その下のスモールには5本のシグネチャーラインを配置する。

画像: 大きく視認性に優れたメーター。緑に光っている部分は左右のウインカーで、新採用のHSTCのON/OFFも表示される。

大きく視認性に優れたメーター。緑に光っている部分は左右のウインカーで、新採用のHSTCのON/OFFも表示される。

画像: シートは肉厚のクッションで快適。独自の「シットイン」スタイルを演出するデザインで、足着き性にも優れている。

シートは肉厚のクッションで快適。独自の「シットイン」スタイルを演出するデザインで、足着き性にも優れている。

画像: 28L→30Lに拡大されたトランクスペースは、さまざまな形状のヘルメットや多彩な荷物を余裕を持って収納できる。

28L→30Lに拡大されたトランクスペースは、さまざまな形状のヘルメットや多彩な荷物を余裕を持って収納できる。

画像: テールランプはサイドまで回り込んだデザイン。「X」の文字をかたどった上下ポジションの間にブレーキランプを配置。

テールランプはサイドまで回り込んだデザイン。「X」の文字をかたどった上下ポジションの間にブレーキランプを配置。

ホンダ「PCX」主なスペック・価格

全長×全幅×全高1935×740×1105mm
ホイールベース1315mm
最低地上高135mm
シート高764mm
車両重量132kg
エンジン形式水冷4ストSOHC4バルブ単気筒
総排気量124cc
ボア×ストローク53.5×55.5mm
圧縮比11.5
最高出力9.2kW(12.5PS)/8750rpm
最大トルク12N・m(1.2kgf・m)/6500rpm
燃料タンク容量8.1L
変速機形式Vベルト無段変速
タイヤサイズ(前・後)110/70-14M/C 50P・130/70-13M/C 63P
ブレーキ形式(前・後)シングルディスク・シングルディスク
メーカー希望小売価格35万7500円(消費税10%込)

文:太田安治、オートバイ編集部/写真:南 孝幸/モデル:国友愛佳

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