文:太田安治、オートバイ編集部/写真:南 孝幸/モデル:国友愛佳
ホンダ「PCX」インプレ(太田安治)
たゆまぬ進化を重ねて完成度は一層高まった
PCXは現行型から4バルブエンジンを採用し、最高出力は先代から0.5PSアップした。数値的には大きな差ではないが、発進加速は軽やかで力強い。これはパワーだけではなく、加速時に使う回転域でのトルクアップと、オートマチック変速設定の合わせ技。特に上り坂やタンデム時に重宝する。
加えて、遠心クラッチが低めの回転でスムーズに繋がって優しく動き出すから、極低速域でもコントロールしやすく、交差点の右左折やUターンで気を使わずに済む。高速域でもスムーズで、静粛性が高く、振動も少ないからクルージングも快適だ。
エンジン以上に進化を感じたのが操縦性。前モデルではフロントブレーキをかけながら寝かし込む際や、バンク中にギャップを通過する際、車体にねじれる感触が出たが、新型はこれが解消され、剛性アップに伴う重さや、コーナリング中の弾かれるような硬さは感じない。リアタイヤは14インチから13インチに小径化されているが、これは外径を小さくしてその分ホイールトラベル量を増やすことが主な狙い。実際、リアのストローク量は10mmアップしているが、1サイズ太いタイヤ幅でエアボリュームを増やして衝撃吸収性を上げているので、減速帯を通過した際などに感じるリアのドタドタ感が抑えられている。
リアフレームの形状変更で、シート下スペース容量が2L増量したのもポイント。ドラムからディスクへ変更されたリアブレーキは、頻繁に使ってもタッチと効きが一定していてコントロールしやすい。
好調なセールスに満足することなく、開発陣が「もっと先のステップ」を追い続けている結果が、エンジンからフレームまで変わったこの4代目。初代から不変の「パーソナルコンフォートサルーン」コンセプトに相応しい仕上がりになっている。
ホンダ「PCX」ライディングポジション・足つき性
シート高:764mm
ライダーの身長:164cm
軽く車体に潜り込むようなシットインポジション。フットスペース前側に余裕があるので膝を伸ばし気味にでき、ホールド性が高いシートバックと併せてゆったり座れる。タンデム時もライダーに掛かる負担は皆無だ。
ホンダ「PCX」各部装備・ディテール解説
ホンダ「PCX」主なスペック・価格
全長×全幅×全高 | 1935×740×1105mm |
ホイールベース | 1315mm |
最低地上高 | 135mm |
シート高 | 764mm |
車両重量 | 132kg |
エンジン形式 | 水冷4ストSOHC4バルブ単気筒 |
総排気量 | 124cc |
ボア×ストローク | 53.5×55.5mm |
圧縮比 | 11.5 |
最高出力 | 9.2kW(12.5PS)/8750rpm |
最大トルク | 12N・m(1.2kgf・m)/6500rpm |
燃料タンク容量 | 8.1L |
変速機形式 | Vベルト無段変速 |
タイヤサイズ(前・後) | 110/70-14M/C 50P・130/70-13M/C 63P |
ブレーキ形式(前・後) | シングルディスク・シングルディスク |
メーカー希望小売価格 | 35万7500円(消費税10%込) |
文:太田安治、オートバイ編集部/写真:南 孝幸/モデル:国友愛佳