6月にして梅雨が明けた。猛烈な暑さからは未曾有の夏が始まることをひしひしと予感させる。そんななか静岡県浜松市でキャンプをすることに。相棒はホンダ・GB350S。道具を満載にしてレッツラゴー!
文・写真:西野鉄兵
画像: Honda GB350 S 総排気量:348cc エンジン形式:空冷4ストSOHC単気筒 シート高:800mm 車両重量:178kg 発売日:2021年7月15日 税込価格:59万4000円

Honda GB350 S

総排気量:348cc
エンジン形式:空冷4ストSOHC単気筒
シート高:800mm
車両重量:178kg

発売日:2021年7月15日
税込価格:59万4000円

ホンダ「GB350S」キャンプツーリング・レポート

画像1: ホンダ「GB350S」キャンプツーリング・レポート

燃費計が気になって仕方ない。

平均燃費表示は、首都高から東名の御殿場まで40km/Lを超えていた。新東名に入り速度が上がると平均燃費はじわじわと落ちてくる。

平均燃費に加え、GB350シリーズには瞬間燃費計も備わっている。ちらちら確認しながら新東名を西へと走る。

100km/hだと30km/Lを超える。110km/hまで上げると20~30km/L台をうろうろし始めた。下り坂でスロットルを戻すと99.9km/Lというカンスト数値が見られて面白い。緑色に光る「ECO」インジケーターもついているが、100km/h以上ではどう頑張っても点灯させ続けることができないようだ。

すでに昼を過ぎ、陽が傾き出している。急いで浜松の渚園キャンプ場に向かいたいのだが、なるべく燃費のよさも保ちたいと、心の中で葛藤を続ける。

何はともあれ暑い。

走っていても全身でダラダラと汗をかいているのがわかる。汗は時速100km越えのアンダーシャツの中で一瞬で気化して飛んでいく。正確にはそのように感じる。ヘルメットの中で「夏だなあ」と繰り返す。ちょっと気持ち悪くて、心地よさもあり、懐かしい。

画像2: ホンダ「GB350S」キャンプツーリング・レポート

フルパッキングの状態では、時速120km巡航はちょいと厳しいようだ。平地か緩やかな下りなら出せるが、ちょっとでも上りになったとたんに失速し、どうにも加速しない。

120km/h制限区間で100km/h前後のクルマを抜くかどうかは悩ましい。

巨大なトレーラーを追い越そうとしたとき、道は上り坂になった。ぴたりと同じ速度で並走する。上体を伏せたり、ギアを下げたりしてもどうにもならない。不運なことに、威圧感たっぷりのスポーツカーがべた付きしてきた。トレーラーは加速も減速もしてくれない。かがみこみ、フルスロットルで頑張ってるだよアピールをする。

ほどなく下り坂になり、トレーラーの前に出られてスポーツカーをやり過ごした。せいぜい30秒ほどだろうが、こういうときの時間は恐ろしく長く感じる。歯の治療と同じくらいに長い。タイムズスクエアの路地裏で黒人にカツアゲされたときと同じくらいに長い。

安全と危険の差は薄氷一枚だとつくづく思う。ちょっとトレーラーを抜きたかっただけなのに、ちょっと銀歯が外れただけなのに、ちょっと路地裏をのぞいただけなのに……。

画像3: ホンダ「GB350S」キャンプツーリング・レポート

いろんな嫌なことが思い出されて、追い越し車線に出るのはやめた。のんびり80~100km/h巡航でいこう。

ECOランプがつくこともあり、平均燃費は再び盛り返し始めた。振動が減り運転は楽になる。浜松は遠い。速いバイクがビュンビュン抜いていく。ちょっと悔しい。でもまあ安全第一。暑い。ヘルメットの中が汗臭くなってきた。

画像4: ホンダ「GB350S」キャンプツーリング・レポート

新東名の浜松浜北ICで降りて渚園キャンプ場を目指す。すっかり影が伸びている。気まずさを感じる。

ソロキャンプならちょうどいい時間帯だ。しかし今日は、webオートバイで連載「スーパー・カブカブ・ダイアリーズ」を担当してくれている若林浩志さん主催のキャンプなのだ。バイク用品メーカーのデイトナプロトダートフリークのプロモーション担当の方々もいらっしゃる。

「ビリの到着はまずいなあ、頑張ろう」と思って家を出たのが、すでに昼前だった。陽の傾きと比例して気まずさが増していた。

画像5: ホンダ「GB350S」キャンプツーリング・レポート

遠鉄ストアで浜松餃子を大量に買った。100個くらい。これで気まずさもちょっとは解消されるかもしれん。そう思ったのだが、購入後に気づく。

参加者は私をのぞいて全員が東海地域在住の方々。浜松餃子は珍しいものではなく、もっとも馴染みのある普段の食事なのかもしれない。

神奈川県藤沢市出身の私がよそから来た人に鳩サブレーをもらうようなものだろうか。でも鳩サブレーは日常的にパクパク食べるものではないので、それはそれで嬉しい。何言ってるんだか分からなくなってきた。

到着。渚園は『ゆるキャン△』にも登場した人気のキャンプ場だ。

画像6: ホンダ「GB350S」キャンプツーリング・レポート
画像7: ホンダ「GB350S」キャンプツーリング・レポート

芝生きもちー! 浜名湖の風のおかげでけっこう涼しー! リンちゃんかわいー!

とハイテンションで合流したものの、ビリはビリなわけで、みなさんすでにテントを張っていた。日中は暑いなか、各社のオウンドメディアやYouTube用の撮影をしていたそうだ。

画像8: ホンダ「GB350S」キャンプツーリング・レポート

ほどなく陽は落ちて、車座の宴会がはじまる。料理を作りお腹も満たされてきたところで、一段落するとYouTubeやSNSに関するまじめな話が始まった。これがものすごく面白く、勉強になる内容だった。

話はなかなか尽きず、25時過ぎまで語らう。お開きになったのち、若林浩志さんとダートフリークのODAさんは夜釣りに出かけた。おふたりは朝から林道をいくつか走ってここまで来ている。タフすぎる。

画像9: ホンダ「GB350S」キャンプツーリング・レポート
画像10: ホンダ「GB350S」キャンプツーリング・レポート
画像11: ホンダ「GB350S」キャンプツーリング・レポート

夏場のキャンプは5時過ぎには、明るさか暑さで目を覚ます。「どうせまだ5時だろ」とテントの中で時計を見ると7時を過ぎていた。

私のテントだけ、いいのか悪いのか日陰だった。これにより2日目も遅刻したような気まずさを覚える。ダートフリークのODAさんだけまだ起きていない……と思ったら朝マズメを狙って釣りをしていたらしい。釣りフリーク。タフすぎる。

画像12: ホンダ「GB350S」キャンプツーリング・レポート

日なたは暑く、昨日以上の気温となりそうだ。

昼前に集合写真を撮って解散となった。

帰り道は、新東名はやめて東名を選んだ。GB350Sの場合、東名の速度域の方がちょうどいい。気温はぐんぐん上がる。海老名JCTを越えるとさらに一段と暑くなった。

最後の最後、普段は絶対に休憩しない港北PAに駆け込み、アクエリアスを流し込む。腕時計に備わる温度計は40.2℃を表示。

画像13: ホンダ「GB350S」キャンプツーリング・レポート

この日、都心は6月の観測史上最高気温(36.4℃)を記録したという。

長い夏は始まったばかりだ。

文・写真:西野鉄兵

画像: 渚園 キャンプ場 静岡県浜松市西区舞阪町弁天島5005-1 広々とした芝生のサイト。バイク乗り入れOK。料金も良心的。『ゆるキャン△』の舞台にもなった。むちゃ暑い日だったけど、風もあり夜は上着を羽織らなきゃ寒いくらいに過ごしやすかった。

渚園 キャンプ場

静岡県浜松市西区舞阪町弁天島5005-1

広々とした芝生のサイト。バイク乗り入れOK。料金も良心的。『ゆるキャン△』の舞台にもなった。むちゃ暑い日だったけど、風もあり夜は上着を羽織らなきゃ寒いくらいに過ごしやすかった。

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