文:ノア・セレン/写真:松川 忍、柴田直行/取材協力:ワイズギア
Q.11 違う種類のオイルを混ぜて使ってもいいの?
A.「MA」と「MB」を混ぜることは絶対に避けよう
違う種類といっても、その車種の指定規格や指定グレード、そして湿式クラッチの有無でMAかMBは必ず守りたい。
またオイルを注ぎ足す場合は同じ銘柄を入れる方がトラブルがない。オイル交換時にオイルのグレードを変える場合は、なるべく前のオイルは完全に抜き取りたいので、オイルフィルターの交換も合わせて行うことがオススメ。
オイルメーカーそのものを変える場合はメーカーによってオイル作りの思想が違うため、なるべく混ざらないよう配慮したい。
Q.12 スクーター用オイルをギア付きバイクに入れてもいいの?
A.クラッチが滑る可能性が非常に高くなる
スクーターオイルは基本的にMB規格、対して湿式クラッチ付きのバイクはMA規格のオイルを使用するので、クラッチ滑りを考慮するとスクーター用オイルは入れるべきではない。
ホンダのDCTみたいなマニュアルクラッチがなく、オートマ感覚で乗れる車種でも湿式クラッチを使っているのであれば、MA規格のオイルを入れよう。
Q.13 フラッシングオイルは使った方がいいの?
A.オイルが薄まる恐れを理解しよう
フラッシングオイルは洗浄目的なので、物によっては灯油系の原料が入っている可能性もある。フラッシング後はどうしても多少のフラッシングオイルがエンジン内に残留するため、それによるオイルの希釈が懸念される。
オイルにも洗浄性能はあるため、定期的にオイル交換をすることでもエンジン内をクリーンに保つことは可能だ。
Q.14 新車は早めにオイル交換した方がいいの?
A.取扱説明書を参考に、初回交換を遂行しよう
各車両の取扱説明書には、初回のオイル交換、及び2回目以降のオイル交換サイクルが記載されている。
新品のエンジンは最初期だけ少量のバリや金属粉が出ることがあるため、1回目のオイル交換は、その後の交換サイクルよりも早めに指定されている。その時にオイルフィルターも合わせて交換するのがベスト。納車間もない段階で、よりハイグレードなオイルを入れるのも長くバイクと付き合うにはいいことだろう。
【一例】ヤマハ「MT-07」のオイル交換サイクル | |
初回 | 1カ月点検時または1000km時 |
2回目以降 | 10000km走行ごと、または1年ごと |
エンジンオイル量 | オイル交換時:2.30L オイルフィルター取り外し時:2.60L |
Q.15 オイルが劣化しやすい走り方ってあるの?
A.真夏の渋滞路と冬のチョイ走りは注意!
のんびり走るか、それともビュンビュン走るかといった「走り方」ではあまりオイルの劣化に影響しない。重要なのは「使い方と使うシチュエーション」。
空冷エンジンで真夏の渋滞路ばかりを走るとか、冬期に駅まで短距離を走るだけといった、エンジンが温まり切らない使い方は負荷が大きい。空冷エンジン車で全開・停止を繰り返す新聞・郵便配達員さんなどは過酷な使い方だろう。このような場合は指定交換サイクルより、早めの交換を心がけよう。
Q.16 バイク用オイルをクルマに入れてもいいの?
A.とくに問題はないが、もったいない!
バイクのオイルを四輪車に入れても問題ない。ただ最近のクルマは燃費を重視して、0W-20のような非常に柔らかいオイルを指定することが多い。バイクのオイルにはそこまで極端に柔らかい粘度はないので、燃費性能が落ちてしまうだろう。
また、バイクに四輪用の柔らかいオイルを使うと、とくにミッション必要な「せん断安定性」や「高回転時の油膜」を保つことが難しい。そもそも高価な二輪オイルをクルマに入れるのはもったいない!
Q.17 旧車の空冷エンジンに100%化学合成オイルを入れてもいいの?
A.まったく問題なし! 積極的に使って欲しい
「100%化学合成油がなかった時代に開発されたバイクには、鉱物油を入れた方がいい」、もしくは「高性能オイルを入れると漏れる」と言われることもあるが、そんなことはない。
オイルの中にはゴム製シールやガスケットに影響のある素材が使われている物があるが、ヤマルーブではそのような素材は使っていないため、粘度さえ合わせれば旧車にも安心して100%化学合成油が使える。むしろエンジン保護の意味でも積極的に使いたい。
Q.18 クルマ用のオイルを入れても大丈夫?
A.これはやめておいた方が無難
国によっては四輪用・二輪用と明確に分かれていないこともあるため、四輪用を二輪に入れても即座に壊れるということは稀だろう。
だが二輪は四輪よりも高い負荷で高回転域まで回すことが多いだけでなく、ミッションも同じオイルに浸かっているため高い「せん断安定性」も求められる。やっぱり二輪用を選ぶのが大前提だろう。
Q.19 オイル温度が100℃を超えても大丈夫?
A.100℃ぐらいは、むしろちょうどイイ!
水の沸点である100℃は、オイルにとってはむしろ良い温度帯。150℃ぐらいになるとさすがに油膜を保持するのが厳しくなるが、それでも一度150℃になったぐらいでは性能は損なわれない。
油温計で常に普段は何度ぐらいで推移しているかを把握しておけば、あまり神経質にならなくても大丈夫だろう。
Q.20 オイルの色が異なるのはなぜ?
A.色が異なるのは添加剤の配合や着色によるもの
エンジンオイルの色は、透明に近い茶色から濃いきつね色まで様々ある。しかし、ベースとなるオイルは、ほとんどが同じ色をしている。色にバラツキがあるのは、配合している添加剤の種類によるものだという。
薄い色の方が柔らかそうなイメージもあるが、実はそんなことはなく、色と粘度、性能はリンクしていない。中には意図的に着色されているオイルもあって、ヤマルーブでは頂点ブランドの「RS4GP」が赤色をしている。