文:西野鉄兵/写真:南 孝幸、西野鉄兵
ツーリング用シューズ&ブーツ、1足目と2足目の役割のちがい
昔から靴が大好きでして、いろいろなタイプのブーツやシューズをバイク用として履いてきました。
学生時代から20代前半までハマっていたのは、ワークブーツやエンジニアブーツ。とくにレッドウイングが好きで、貯金してはあれこれ買う月日を送っていました。
そのほかにもスポーティなのが必要だとか、スニーカータイプも欲しいとか、歩きやすさを重視したのあると便利かもとか、ドレッシーでスーツにも合いそうなのもいるかな……などと物欲爆発、履く人間はひとりなのに、ピーク時は20足ほどまで増えました。
最近は、あまり履かない靴は手放したり、寿命を迎えたりしてだいぶ絞り込まれています。
ことツーリングに関しては、ほとんどこれしか履いていないというタイプがあります。
それが下の2足。
デザインやコンセプトはまるで異なりますが、私の使い方はほぼ共通。泊まりがけでツーリングに行くときに履いています。
どちらもアウトドア系の服装に似合うスタイル。キャンプをすることも多いので、まずグリップ力が高いのが大事。あと、ちゃんと歩けること。この2足が現在のダブルエースといった感じです。
正直役割はほぼ変わらないのでどちらか一方だけでもいいのですが、それぞれデザインが好きなので、大切に履いています。
そして影のエースともいえるのがこちら。私にとっては役割上2足目のシューズです。
本革製で透湿防水仕様のスニーカースタイル。過去の記事で書いたこともあるのですが、「本革×防水」の普段履きできる靴は重宝します。平日のバイク通勤では、ほぼこのシューズ一択といった1年を送ってきました。日帰りツーリングでも使いますし、街中のビジネスホテルに泊まるツーリングに履いていったこともあります。
スニーカータイプは歩きやすいので、バイクに乗らない日も活躍。カジュアルな格好に似合うデザインも気に入っています。短パンと合わせて違和感ないのも魅力。
欠点は、足つき性がさほどアップしないことと、真夏は暑いということ。私の愛車はシート高が低いため、通勤時の足つき性に関しては心配なし。問題は暑さです。透湿防水タイプといえど、どうしても真夏は蒸れます。我慢できないほどではないんですけどね。
そこで役割上3足目となるシューズを新調しました。
こちらは2足目のシューズとかたちは同じ。ただ仕様が異なっています。素材は牛革(スエード)とメッシュの組み合わせ。
メッシュ部分は思っていたよりも密度があり、びゅんびゅん風が抜けるというほどではありませんでした。
しかしバイクで走っていれば、蒸れが逃げていくのが分かります。それが非常に心地よく、快適。街中を歩いていても蒸れにくさは際立ち、バイクに乗らない日も役立っています。
スニーカータイプは2足目・3足目として大活躍
1足目のブーツやシューズの考え方は、乗っているバイクや趣味嗜好、ツーリングスタイルで変わるでしょう。峠を攻めるのが好きな人なら頑強なプロテクターが備わったスポーティなモデル、愛車がクルーザータイプで革ジャンはマストという人はエンジニア系のブーツ……といった感じに人それぞれ。
ただ2足目・3足目に関して、「スニーカータイプは一足あると便利ですよ」とお伝えしたい。ごついブーツとスニーカーの2足を持つと、着用頻度はおのずとスニーカータイプの方が増えるでしょう。
TCXのストリート3シリーズのように、街中をカジュアルに歩けるものなら、バイク用としてではなく普段履きメインの靴としても充分にあり。使用頻度順でいえば、1足目になります。
防水性と通気性の両立はできない、それぞれのメリット・デメリット
TCXがまったく同じ型で「ストリート3ウォータープルーフ」と「ストリート3エアー」を展開していることからも分かるとおり、防水性と通気性の完璧な両立はできません。
防水透湿タイプのシューズのメリットは、当たり前ですが雨に強いこと。ツーリングや街乗りで小雨に降られても気にならず履けるというのはありがたいものです。
ただ、先日海外の軍事経験者が書いたサバイバル本を読んだのですが、そのなかでジャングルなど高温多湿のところで、防水透湿のシューズやウエアはご法度だと記されていました。
透湿防水素材は、過酷な環境下ではどうしても透湿性が追い付かなくなります。また防水シューズは内側が濡れてしまうと乾燥させるのがえらく大変。そういった面からリスキーなんだとか。
日本で春秋にツーリングやキャンプを楽しんでいる分には、絶妙にちょうどいいのですが、昨今の夏場の豪雨や異常な暑さを鑑みると、不衛生になりかねないともいえます。
ちなみに冬場はけっこう暖かい。これも防水タイプのメリットです。
対して、通気性の高いシューズのメリットは、暑い時期に快適だということ。もしびしょびしょに濡れても乾かしやすいのも美点。
デメリットは、小雨でも靴下まで濡れてしまう場合があることや、寒い時期には履けないということでしょう。
TCXの「ストリート3エアー」の場合は、メッシュ部分がスカスカというわけではないので、小雨の中ちょっと街乗りするくらいなら、すぐには浸透してきません。
それでも雨が降っている日にわざわざ履きはしません。つまり雨が降るかもしれないロングツーリングでは、履きにくいんです。なので私の中では役割上は3足目、期間限定・条件が合えば大活躍するスーパーサブ的な存在です。
それぞれ一長一短ですが、靴は一足を毎日履いていると消耗も加速します。休ませて乾燥させることが、長持ちさせることにつながります。
冒頭でピーク時は20足ほどまで増えたと書きましたが、15年以上前に購入したもので現在も現役のものもあります。それは素材が本革で、ときどき履いているからでしょう。ちなみにレッドウイングのブーツは高かったけど、全部現役。手入れをしてソールを替えれば一生履ける気すらします。
化繊製や合皮製は、強度の問題もありますが、加水分解が起きてソールやアッパーの表面がはがれることもしばしば。
TCXの「ストリート3」シリーズもアッパー素材には本革を採用していて非常に丈夫。「ストリート3ウォータープルーフ」は、この1年で150日以上履いていると思いますが、不具合はありません。革は偉大、TCXは値段相応に作りもいい。
私は普段26.5~27.0cmを履いているのですが、「ストリート3」は2足とも27.5cmをセレクト。少し小さめの設計なようで、ちょうどよく履けています。もし購入を検討していてサイズで悩んだら大きめを選んだ方がよさそうです。
文:西野鉄兵/写真:南 孝幸、西野鉄兵