文:太田安治/写真:南 孝幸/モデル:小野塚雅人、平嶋夏海
カブト「SHUMA」の特徴
「夏場にフルフェイスヘルメットは暑い」という常識を覆したのがカブトの『シューマ』シリーズ。風洞実験やCFD(数値流体力学)解析によってベンチレーションホールの数、角度、形状、位置を最適化し、内装の厚さも部位によって変えることで高い通気性能を実現。
シールドもUV(紫外線)だけではなくIR(赤外線)をカットする高機能ポリカーボネート製として太陽光の熱線を抑制。この二つの工夫によって暑い時期の快適性を飛躍的に高めている。
もちろんベンチレーターは開閉式だから、すべて閉じて同梱のウインドシャッターをチンバー下に装着すれば真冬の寒さにも対応できる。被り脱ぎしやすい帽体形状とフィット性もシューマの特徴だ。
カブト「SHUMA」使用レビュー
シューマを初めてテストしたのは2021年の3月。外気温10℃ほどの寒い日で、ベンチレーターを全開にすると冷気の通り抜けがハッキリ伝わり、頭が冷え過ぎるほどだった。
今回は外気温32℃でテストしたが、30km/hあたりからヘルメット内に溜まった熱気が抜け始め、60km/hを超えるとシールド内側から頭頂部に沿って風が抜けていくことを体感できる。全てのベンチレーターを開くと風切り音が大きくなるが、数分間で慣れるレベル。高速道路走行でも特に気になるほどではない。
内装は天井部分、頬部分に加え、あご紐カバーまで脱着できるタイプで、簡単に外して家庭用洗濯機で洗えるから清潔さを保って気持ちよく被れることも「夏向き」と言える。
▲ベンチレーター全閉状態と全開状態。テストではやや顎を引いてヘルメットを前傾させたときに最も高いベンチレーション効果を感じた。シャッター部の面積が大きく、グローブを着けたまま素早く確実に開閉可能だ。
【ワンポイント・テクニック】フルフェイスヘルメットの暑さを軽減する方法
「寒いときはフルフェイス、暑いときはオープンフェイス」と被り分けているライダーは多い。
シールド付きオープンフェイスの場合、上下に長いシールドが顔に直接当たる走行風を遮るが、シールド下側から巻き込まむ風量が多いため涼しく感じる。
対してフルフェイスはアゴの下側を覆うカバーやノーズディフレクターを装備している製品が多く、巻き込む風も遮られて暑苦しく感じる。カバーやディフレクターを着脱できる製品なら、すべて外すことで涼しさは段違いに向上する。
文:太田安治/写真:南 孝幸/モデル:小野塚雅人、平嶋夏海