文:太田安治、オートバイ編集部
ヤマハ「MT-25 ABS」インプレ(太田安治)
スポーツランで輝く倒立フォークの「効果」
MT-25に試乗して、まず目に付くのが獰猛な印象のフロントフェイス。ヘッドライトのLED化でデザインの自由度が高まり、インパクトある顔つきになった。だが、僕が注目したいのは倒立フォークの採用。剛性向上に効果的だが、ストリートユース前提のMTにマッチするのか気になるところだ。
試乗すると、街乗りでは倒立フォークの優位性はほとんど感じられない。バネ下重量が減っているので路面追従性は上がっているが、高剛性と引き換えに乗り心地は少し硬く、低速域での軽快感も薄れたように感じる。ただ、ハンドル位置が44mm高くなって上体の前傾度が減り、ギャップ通過時に手首や腕が突き上げられることはない。
ペースを上げていくと、倒立フォークのメリットがようやく出てくる。フルブレーキングからフルバンク、という走りでもフロントがバタつかず、ジワッと沈んでストロークの奥でグッと踏ん張り、ブレーキを残したまま寝かし込んでもフロントフォークにねじれは出ない。タイヤの接地感も明確に伝わり、安心してスポーツライディングを楽しめる。
つまり、MTの操縦性は低速域での軽快感と優しい乗り心地を削って、中高速域でのダイレクト感と安定性に振り分けつつ、ハンドル高を上げて街乗りやツーリング適性も確保したもの。幅広いステージに対応する車体に仕上げられ、乗り込むほどに納得する設定なのだ。
ヤマハ「MT-25 ABS」ライディングポジション・足つき性
シート高:780mm
ライダーの身長・体重:176cm・62kg
前モデルから44mm高くなったハンドルで上半身はごく軽い前傾。シートの前寄りに座れば上体はほぼ直立になり、腕や肩への負担はまったくない。780mmのシート高で身長150cm台のライダーでも不安なく扱える。
ヤマハ「MT-25 ABS」注目ポイント
ヤマハ「MT-25 ABS」主なスペック・価格
全長×全幅×全高 | 2090×755×1070mm |
ホイールベース | 1380mm |
最低地上高 | 160mm |
シート高 | 780mm |
車両重量 | 167kg |
エンジン形式 | 水冷4ストDOHC4バルブ並列2気筒 |
総排気量 | 249cc |
ボア×ストローク | 60.0×44.1mm |
圧縮比 | 11.6 |
最高出力 | 26kW(35PS)/12000rpm |
最大トルク | 23N・m(2.3kgf・m)/10000rpm |
燃料タンク容量 | 14L |
変速機形式 | 6速リターン |
キャスター角 | 25゜ |
トレール量 | 95mm |
タイヤサイズ(前・後) | 110/70-17M/C(54S)・140/70-17M/C(66S) |
ブレーキ形式(前・後) | シングルディスク・シングルディスク |
メーカー希望小売価格 | 63万2500円(消費税10%込) |
文:太田安治、オートバイ編集部