専用フレームにフロント21・リア18インチ径のスポークホイールとストロークの長いサスペンションを与え、ライディングモードやトラクションコントロールなどの電子制御デバイスを統合したAPRCも搭載。徹底してシンプルさを追求してデザインされた、スポーティで機能美にあふれるスタイリングは、大容量タンク、自然なポジション設定、優れた快適性など、アドベンチャーツアラーに要求される機能も高いレベルで仕上げられている。
文:山口銀次郎、アドベンチャーズ編集部/写真:柴田直行/モデル:葉月美優
アプリリア「トゥアレグ660」インプレ(山口銀次郎)
本格アドベンチャールックス、実はオールラウンダー!
スタンディングや前後左右に大きく体勢を入れ替えたりする本格的なオフロード走行を想定した乗車姿勢設定や、ロングトリップにて効果を発揮するフェアリングを装備しアドベンチャーマシンとして突き詰めたスタイリングとなっている。ストイックなまでのこだわりはトータル的に個性的なものとなり、アドベンチャーモデルとして後発ながら強烈なインパクトを与えるキャラクターだ。
ロングトラベルを誇る足回りに本気度が伺えるが、コンペティションモデルの様なハードさや、とっつき辛さは皆無で、スタートしてしまえば驚きの軽さを誇る車体のフレンドリーさに驚くはずだ。860mmのシート高についてはハードルが高く感じてしまうかもしれないが、スリムなシート幅とボディにより足出し(足降ろし)がしやすい上に、乾燥重量で190kgを切る車重は、クラスを超えたミドルクラスモデルといえるほど。
低速域からソフトかつ良く動く印象の強い前後足回りのクッション性は、フワフワと落ち着きがないといったことがなく、程よい沈み込みでグッと落ち着くロードスポーツモデルの様な一面を持ち合わせる。むしろ、容量があり上質なクッション性に、多少のバンプやロードノイズをしっかり吸収してくれるという感触がとても気持ち良い。
割り切ったアドベンチャースタイルだが、他のモデルでもメインステージとして設定されている一般舗装路の街乗りから高速道路まで、違和感なく走行できる上に高速巡航もものともしない快適空間を作り上げている。
オーバーリッターのビッグアドベンチャーマシンと比べると、660cc並列2気筒エンジンは小さく感じるかもしれないが、立派なアッパーミドルマシンとしてしっかりと質量あり、その見た目の存在感も十分なものとなっている。
ところが、前記している様にミドルクラスモデル並みのフレンドリーさで、跨ってしまえばエンジンの存在感が薄くなっているといえる。その自然に感じられるフレンドリーさは、無駄な装飾を省いたり、マスの集中化や独特の姿勢造りといったオフロードマシン造りの手法を取り入れることにより車体の軽快さとなって如実に表れている。
思わずそのフレンドリーで軽快な車体の話だけになってしまっているが、やはり660ccのエンジンだと思わせる太いトルクを低回転域から湧き上がらせ、クセのない吹け上がりをみせる。むしろ、チカラの出方をトゥアレグのキャラクターに合わせ演出しているので、排気量以上のゆとりあるトルク感を感じてしまった。普段使いの常用速度域&エンジン回転域を鑑みると、とても的を射た660パラレルツインエンジンを贅沢に楽しめる設定となっている。
街乗りから未舗装路までオールラウンダーとして不服のないパッケージだが、よりライディングを掘り下げると心強いのが4つのライディングモード設定だろう。それぞれのシチュエーションに於いてワンタッチで、「アーバン」「エクスプロール」「オフロード」「インディビジュアル(好みの設定を登録)」が選択可能だ。
しかも、好みに設定する場合には、標準でAPRCエレクトロニクスパッケージとして設定されており、トラコン、エンジンブレーキ、クルーズコントロール、エンジンマップがそれぞれアジャスト可能となっており、自分好みに設定でき様々な個性を持つことになる。
試乗車には、オプションパーツ設定のクイックシフターが装備されていたが、クラッチいらずでアップダウンのシフト変更を可能にしてくれる。ちょっとした街乗りでも有効的で、レースで求められる機能だったかもしれないが、一度体感したら戻ることのできない便利&快適アイテムといえるだろう。
アプリリア「トゥアレグ660」カラーバリエーション
インディゴタゲルマスト
アシッドゴールド
マーシャンレッド
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