文:小松信夫
多彩な「CBF150」シリーズ、その中でも個性が際立つ実用車「CBF150C」
中国にはホンダ車を現地生産・販売する、五羊ホンダと新大洲ホンダという「2つのホンダ」がありまして。まあ、あんだけ国土が広くて人口も日本の10倍以上だから、そうでもしないとカバーしきれないってことなのかね。
その一方の雄である新大洲ホンダだけを見ても、400ccから110cc、日本でも販売されてるモデルから、よく正体が分からないものまで、いろんなスタイルのスポーツバイク、スクーターがまあ、あるわあるわ。
公式Web上で確認できるラインナップは32モデル! その中で、なんとなく気になったのがこのゴツいサイドキャリアを装備するCBF150Cという地味な実用車。というか、気になったのは共通の150cc空冷単気筒エンジンを積むCBF150シリーズ全体、という方が正確かも。
CBF150C以外にも、CBF150シリーズには3モデルが存在してまして。これがCBF150S、キャストホイール&フロントディスクブレーキ、外装デザインやタンク形状も凝ってて、格好は一番モダン風。シリーズの最上級版ってことか。
CBF150Cに最も近いのがCBF150D。ブレーキが前後ドラムなのはCBF150Cと一緒。ビキニカウル風のフロントマスクはCBF150Cとは似ても似つかないデザイン、一瞬CBF150Sと同じものかと思ったらそっちとも全然別。燃料タンクはCBF150Sとは違うけど、CBF150Cと同じ。しかし、シートはCBF150Cとは違う。フレームはCとDとSでほぼ同じみたいだけど。
で、これがCBF150U。C・S・Dとエンジンは基本的に同じもの。しかし、適度に垢抜けない実用ネイキッドの典型的スタイルはシリーズ共通の雰囲気…はそこはかとなく感じるけどタンクもシートも何もかも、C・S・Dとの共通点がない。そもそもこいつだけフレームとか基本骨格が別物。あとCBF150Rというスーパーネイキッド的なのもあるけど、完全に別系統だから今回は触れません。
これが本題のCBF150C。こいつだけ装着されてる、弁当箱みたいな80年代的(?)デザインの野暮ったいフロントマスクが、個人的にはグッと来るんですけどね。
で、Dと共通のタンクだけど、シートというかテールカウルはC専用デザイン…うーん、ややこしい! エンジンは同じで用途も変わらないんだから、1つのモデルに統合しろよ! パーツ共通にした方が整備も部品供給も楽で、値段も下げられるだろ! と思っちゃうのは日本人的な発想なんですかね。まあ、U以外は中身の方の共通化は進んでるんだろうけど。細かな価格設定とか、現地ならではの事情があるのかなぁ。
そのCBF150C、カタログでまずアピールしてるキャッチフレーズが「低耗高能 物超所値」だそうですよ! やっぱり実用車はそうじゃなくちゃ。「油耗更低」で「毎一升油耗可続航55.2公里」ですって。それは排気量を考えると中々良いデータ…はい、分かりにくいですね。要するに、パワフルで高効率、燃費は55.2km/Lである、と。
やっぱり目につくのはこれだよねぇ、「更加型堅固結実的側翻貨架」! あ、特徴的なサイドキャリアがより頑丈になった、と言いたいようです。トップの画像ではりんごを満載してました。「双人出行也可以実松乗坐」ってのはタンデムでツーリングもできますよ、というアピール。
これは分かりますね、「756mm座高 具有良好的脚着地性」。シート高は756mmで足着きもいいよ、と。しかし175mmという最低地上高は、ロードモデルとしてはかなり高い。これが実現されてるということは、やっぱり大きな石とか転がってるような荒れたダートとか走れないとダメなのね。他のページではわざわざ登坂能力にも大きく触れてたっけ。所変われば実用車も変わるんだなぁ。
文:小松信夫