文:山ノ井敦司
2013年モデル|ホンダ「グロム」
それまで発売されていたミニバイクと言えば(ミッション車)、「モンキー(50cc)」を代表格に「エイプ/XR」など、どこか可愛い見た目と各種装備もいわゆるミニバイクだった。排気量も100ccが最大。
そんな中、2013年6月に発売開始されたグロムは、それまでのミニバイク界では見たこのないスタイリングに、124ccのエンジンを搭載。足周りにはフロントに倒立フォーク、前後12インチホイール、ディスクブレーキと言った豪華絢爛な装備が用意されていた。
当時の開発コンセプトは“ジャストサイズ&魅せるスペック”
当時のいじるのが大好きなミニバイクユーザーさん達からは、ミニバイクなのに大きすぎ、装備が豪華過ぎていじる楽しみがない!! という不満もあったとか、なかったとか……。
発売してすぐに大人気モデルとなったグロムは、既存のミニバイクユーザーをはじめ、免許取り立てのビギナーや、扱いやすい車体を求めていた女性など、様々なユーザーの心を射止めた(先行発売されていたタイでは街中がグロムだらけに。現地の有名なバイクパーツ街では、専用パーツがずらりと並び、とんでもない人気となっていた)。
2014年モデル|ホンダ「グロム」
発売から1年、2014年4月にはマイナーチェンジしシンプルなホワイトが追加。ヘッドライトステー、シートカウルが同色になることでまとまり感がアップ。前後キャリパーやホイールをゴールドにすることで高級感もプラス。価格も32万9400円にアップ。
2015年モデル|ホンダ「グロム」
さらに翌年の2015年3月にもマイナーチェンジし、初代で人気だったイエローが復活。サイドとリアカウルには当時人気を博したマット塗装を施して登場。その他にシュラウド部の「GROM」のロゴも前モデルから大きく表記。またも価格がアップし33万4800円に。
2016年モデル|ホンダ「グロム」
初代登場から3年が経過した2016年6月には新設計のLEDヘッドライトや、エッジの効いた外装で一新。この時に一番騒がれたのがこの見た目ではなくイグニッションキー。ただの鍵ではなく、ブレード部を持ち手に収納可能なフォールディング機能付きの「リトラクタブルキー」を採用。ホンダの二輪車でも初の採用だったそうで、当時は無駄にカシャカシャといじったものだ。
※著者が乗っていたのもこの型。
2017年モデル|ホンダ「グロム」
2017年7月のマイナーチェンジでは、マットアクシスグレーメタリックが新たに追加。それまでブラックだったリアショックスプリングがレッドに変更となり、まるでカスタムしたかのような見た目に。価格もさらにアップし35万1000円に。
2020年モデル|ホンダ「グロム」
2020年3月のマイナーチェンジではロスホワイトが追加。その他にエッジを強調するグラフィックや前後ブレーキキャリパーはレッド、ホイールはブラックに変更された。この年には消費税が10%になったりでまたも価格がアップし363,000円に。
少し小ネタを挟むと、同じ車両に乗るユーザー間で話すネタの1つとして「何型乗ってるの?」と聞かれたことがないだろうか? グロムの場合は見た目が同じなのに型式が違うという少し面倒なことがあるので、簡単に解説しておこう。
ホンダ「グロム」の型式
2013年~2015年モデル:JC61前期
2016年モデル:JC61後期
2017年〜2020年:JC75
2021年モデル:JC92
ユーザーの皆様お間違えのないように!!
2021年モデル|ホンダ「グロム」
2021年3月に登場したのが、今現在も発売されているJC92。またも外装が一新され、同じグロムとは思えない別のバイクのような見た目にフルモデルチェンジ。エンジンも新たに開発された空冷・4 ストローク・OHC・単気筒123ccエンジンを搭載。
排気量だけでなく、環境性能への対応、低フリクション技術の投入、さらにはそれまで4速だったトランスミッションが5速に進化。4速時代のグロムは2→3速のギア比が少し広く、シフトアップ、シフトダウン時にストレスがあったが、5速化によりスムーズな加速・走りを実現。これには多くのグロム乗りが歓喜した。
前後のディスクブレーキは変わらずだが、フロントには1チャンネルABSを採用し、より安全に走りが楽しめるようになった。ホイールも5本スポークタイプを新たに採用。その他にもシンプルな構造で、容易に取り外し可能となった外装になったことでメンテナンス性が向上(旧モデルの外装は外すのにも取り付けるにもコツがいり、ほとんどの車体のツメが1つは折れているはず)。違う色の外装を用意すれば簡単にイメージチェンジ、カスタマイズも楽しめるようになった。
その他にもグロムといえば街乗り以外でもHRCからレーサーモデルも発売されており、全国各地のサーキット、レースでも人気を博している。
そんなグロムも2023年で発売から10年。せっかくのタイミングなので最近のホンダのミニバイクではあまり見なくなってしまったアニバーサリーモデル、スペシャルカラーなどの登場を期待したい(あくまでも旧オーナー、イチミニバイク好きとしての意見です)。
文:山ノ井敦司