文:小松信夫/写真:西野鉄兵、ホンダ
ホンダ「ダックス125」街乗りインプレ
オリジナルと比べて排気量がアップしたけれど、サイズや存在感も大きくなった
私、小さいバイクが昔から好きなんで、やっと発売にこぎ着けた「ダックス125」も大変興味があったんですけどね。まあ別に試乗会に行くような立場でもないので、まあそのうちに乗れるだろう、と思っていたところ、月刊『オートバイ』で取材用に借りていた広報車の返却に行くことに。
するとwebオートバイを取り仕切っているボス・N野サマが近寄ってきて「コマツさんコマツさん、ダックス乗った感想を記事にしてくださいよぉ〜」と無茶振りをする。
青山のホンダ本社まで20分くらい乗るだけで、何がわかるんだよ! と内心思いながら、もみ手をするN野サマに押し切られました。ええ、フリーランスの立場は弱いもんですからね。まあしっかり1時間くらい遠回りしましたけどね。
ところで、これ燃料タンクが昔のダックスみたいにフレーム内のハンドル近くにあるのと違って、シート下にあるっていうけど、どうやって開けるんだ? ということで、ひとしきりいい大人2人で探し周ります。しばらくしてサイドカバーにキーホールがあることに気づきましたが。
シートが前側のヒンジでぱかっと開き、後方に給油口がありますね。オリジナル・ダックスは燃料タンク容量が2.5Lしかなかったんで困った、と当時を知る人たちから良く聞かされましたが、現代の「ダックス125」では3.8Lと約5割増しに増量。
125ccになって高回転まで回さなくても良く走り、現代のエンジンってこともあって燃費も良いでしょうから、150kmくらいは走れるのかな。今回は関係ないけど。
しかし、「ダックス125」を見た第一印象は「カッコいいけど、思ってたより大きいな」でした。思ってた、というのは結局、私の中にそれだけオリジナルの印象が刷り込まれてるということですが。
実際サイズとしてはどれくらい差があるかといえば、125の全長1760mmに対して、オリジナルはだいたい全長1590mm(モデルによって差異あり)。170mm差を大きいとみるか小さいとみるか。絶対的なサイズ差以上に、「ダックス125」はボリューム感があるというか、存在感が強いという感じ。
いざ乗ってみるとサイズの余裕はポジションの余裕になって、実に快適。125を経験した今、オリジナル・ダックスに乗ると窮屈に感じちゃうだろうね。
モーターマガジン社を出発、なんとなく第一京浜をクルマの流れに乗って南下。結構いいペースで走ったんだけど、なんの不安も感じない。ホイールべース短いのに、安定感抜群で非常に快適。これはやっぱり、わざわざオリジナルの構造に倣ってわざわざ新開発された、プレスバックボーンフレームの剛性感ってことかね。少々の路面のうねりとかもほぼ気にならない。
あと好印象だったのはエンジン。現行のグロムとかモンキー125に搭載されてるのと基本的に同じ、ロングストロークな新世代エンジン。だけどグロムやモンキーのマニュアル5速ミッションに対して、ダックスはカブC125と同じく遠心クラッチの4速ミッション。この組み合わせは初めてだったけど、これが実にイイ。
125だからパワーに余裕はあるんだけど、それだけじゃない。下からトルクがあるだけでなく、高回転までスムーズに吹けるエンジンと4速ミッションという組み合わせは、街中でまったり走るには最適。3速のカバーできる範囲がね、下では粘るし、上は伸びるしで、とても広くてズボラに気持ちよく走れる。そりゃマニュアル5速の方が多少速いけど、街中では忙しないもんね。
あと、シフトペダルがカブと同じ構造なんで、普段カブに乗ってる私的にはなんの違和感もなかった。踵でのシフトダウンもいつも通り。
結局第一京浜を蒲田あたりまで下って「ダックス125」を堪能。青山に向かいました。いやあ、いいバイクですねこれ。これで納期が短ければ文句はないんだけどねぇ。
文:小松信夫/写真:西野鉄兵、ホンダ
★詳しいインプレは2022年9月30日発売の月刊『オートバイ』11月号でぜひご覧ください。
ホンダ「ダックス125」主なスペック・価格
全長×全幅×全高 | 1760×760×1020mm |
ホイールベース | 1200mm |
シート高 | 775mm |
車両重量 | 107kg |
エンジン形式 | 空冷4ストOHC2バルブ単気筒 |
総排気量 | 123cc |
ボア×ストローク | 50×63.1mm |
圧縮比 | 10.0 |
最高出力 | 6.9kW(9.4PS)/7000rpm |
最大トルク | 11N・m(1.1kgf・m)/5000rpm |
燃料タンク容量 | 3.8L |
変速機形式 | 4速リターン |
キャスター角 | 24° 54' |
トレール | 84mm |
タイヤサイズ(前・後) | 120/70-12 51L・130/70-12 56L |
ブレーキ形式(前・後) | Φ220mmディスク・Φ190mmディスク |
乗車定員 | 2人 |
生産国 | タイ |
メーカー希望小売価格 | 44万円(消費税10%込) |