文:山ノ井敦司
ホンダ「マグナ50」が若者の間でいま人気?
都内ではあまり聞くことはないが、地方では、学校と家がある一定以上離れているとバイク通学が許されることがある。通学用として選ばれるので一番多いのはやはりスクータータイプ。その理由は明らかで、誰でも扱いやすく運転もラクチンという点。
しかし、その中でもバイク好きな学生が選ぶ、人気となっているのがこのマグナ50。全長1,960mmと原付モデルの中でもかなり大柄な車体に、アメリカンタイプの見た目で、単純に「バイクとしてかっこいい!!」などという理由で選ばれているよう。
ライバルとして同じくホンダから発売されていたエイプ50の名前もあがるようだが「エイプは普通のバイクにしか見えない」などという理由で、本格アメリカンスタイルのマグナ50が人気となっている(ここ最近では漫画、アニメの影響でスーパーカブも人気らしい)。通学バイクなのでカスタムは基本NG。バレなきゃ大丈夫らしい(?)が、先生の中にバイク好きがいるとすぐにバレてバイク通学が禁止になってしまうそう。
そんな中でも発売当時のコピーでもある「原付カスタムスポーツバイク」として登場したマグナ50は、多数のメッキパーツを使用した本格アメリカンスタイルで、カスタムしなくても目立つし、かっこいいという理由で選ばれているようだ。
ホンダ「マグナ50」って一体どんなバイクなの?
1994年5月に発売されたVツインマグナ(250cc)の弟分として1995年4月に発売されたマグナ50。特徴はVツインマグナから継承されるロング&ローの見た目と、幅広なハンドル、鞍型シートで原付とは思えないゆったりしたライディングポジション。
滑らかな曲線を描くボリューミーなガソリンタンクは8Lもの容量を確保。エンジンはマニュアルクラッチ付4段変速。低・中回転域から高回転域まで幅広い回転域で粘り強く軽快な出力特性を発揮。エンジンにはキックはもちろん、セルスターターも用意(これも人気ポイントの1つ!!)。
足周りはフロントは軽量なアルミホイールにディスクブレーキを採用など、当時のミニバイクの中でも豪華な装備が目立っていた。アメリカンならではのクロームメッキのヘッドライトやエアクリーナー、チェーンカバー、メガフォンタイプのマフラーなど、各部の凝った作り込みもポイント。カラー、仕様の変更を繰り返し2007年まで発売。
実際に乗ってみると身長180cmの自分が乗っても窮屈さを感じることはなく、足つきも抜群な上、車体も軽量と初めてのバイクとして選ぶにはもってこいの1台。
初代ミニアメリカンといえば?
初代アメリカンスタイルのミニバイクといえば1986年4月に発売されたホンダジャズ。「小粋な50ccアメリカンバイク」をコピーに登場したジャズは、量産車では初となるミラードホイールをリアに装着するなど、なかなか手の込んだ作りとなっていた。
「マグナ50が人気だったら、ジャスも人気なのでは?」と思ってしまうかもしれないが、その通りなのだが、ジャズは発売から36年も経っており、高校生が毎日気軽に乗れるような状態の車両も少なく、あったとしても高価だったりという、様々な理由であまり選ばれていないよう。純正パーツも出ないし、6Vというのもネック。ちなみにジャズは1986年から1996年の10年間しか販売されていなかった。
自分も16歳で免許を取得して初めて乗ったバイクがジャズでした。教習車(当時はCB400SFだったかな)とは違いまったくパワーもスピードもありませんでしたが、ひたすら楽しかった記憶があります。扱いになれず暴走して田んぼに突っ込んだのも懐かしい記憶です(笑)。前の編集部にいた時にレストアしつつフルカスタムして、今でも実家の納屋に大事にしまってあります。
原付一種・50ccモデルのこれから
昨今ではCT125・ハンターカブや発売されて間もないダックス125などの原付二種、125ccモデルが二輪業界だけじゃなく、世間まで騒がせる人気となっているが、初めてのバイク、高校生でも乗れる原付、50ccモデルにももう少しだけ目を向けていただきたい。
50ccという排気量は海外での需要がなく、日本国内でしか売れないということで年々生産中止に……現在発売されているのも数台という状況。ミッション車に限ってはゼロ(スーパーカブ、クロスカブ50はミッションだがAT)。カーボンニュートラル時代への移行、内燃機(エンジン)のEV化など騒がれる世の中ですが、今後の二輪業界、バイクに乗りたいという若者が気軽に乗れて、操れて、楽しめる50ccミッションモデルも改めて見直してほしいですね(ミニバイク好きな山ノ井の超個人的意見です)。
文:山ノ井敦司