乗る楽しさを気負わずに味わえる「可愛い一匹」
モンキーと並び、ホンダのレジャーバイクを代表するモデルであるダックス。そんなダックスの復活にあたって、開発チームが大事にしたキーワードが「タンデム」と「AT」だった。開発責任者の八木さんに聞いた。
「ちょっとそこまで出かけたり、お子さんとタンデムしたり、たくさんの人に気軽に楽しんでいただきたいということで、間口の広がるATの可愛いモデルを目指しました」
最も「ダックスらしい」パーツと言えばプレスフレーム。しかし、このプレスフレームを開発していく上で大きな困難が立ちはだかり、一時はパイプフレームも検討せざるを得なくなったそうだ。八木さんは語る。
「開発で最も大きな壁となったのはコストでした。ただ、ダックスと言えばプレスフレーム、というこだわりがありましたから、他のパーツのコストを工夫して、プレスフレームを実現できるよう頑張りました」
そのフレームには、以下で紹介している図版のように、エアクリーナーなどのパーツがギッシリ詰め込まれている。倉澤さんが、レイアウト決定時の苦労を語ってくれた。
「エアクリーナーボックスのボリュームを確保しながら、限られたスペースにどう配置するかが大変でしたし、レイアウト上、後ろに吸気口があるので、エンジンに空気をどう持っていくかも苦労しました」
プレスフレームの溶接、仕上げにも開発陣はこだわった。上坂さんに聞いた。
「工芸品のようなハンドメイド感を出したかったので、溶接の見えるところは、溶接する電圧やスピードにも気を配っています」
スタイリングにもこだわりが詰まっている。デザイナーの横山さんに聞いた。
「たくさんのアイデアが生まれましたが、誰が見てもダックスらしいスタイルであることと、中身が詰まっているプレスフレームをいかに細く見せるかにこだわりました」
たくさんの人に愛されたかつてのダックスを、いまの人たちに気軽に楽しんで欲しい。開発陣のそんな思いは、新型ダックスの随所に詰まっている。佐藤さんは語る。
「オートバイに乗るということは、一般の皆さんには結構ハードルの高いことだったりすると思いますが、そんなハードルをできるだけ下げて、たくさんの人がバイクに乗る楽しさに集中していただけるようなモデルにしたい。そう考えてダックスを開発しました。たくさんの人に、気軽に楽しんでいただけたら嬉しいですね」
まとめ:オートバイ編集部