文:宮崎敬一郎、オートバイ編集部/写真:赤松 孝
ドゥカティ「デザートX」インプレ(宮崎敬一郎)
トータルバランスに優れステージを選ばない!
デザートXは、モンスターなどと同系列の、937ccユニットを搭載するパワフルなモデル。パワーは110PSを発揮、フロントタイヤには走破性に優れた21インチを選択したり、高いロードクリアランスや前後とも220〜230mmものホイールトラベルを確保するなど、オフロード指向が強いのが特徴。ムルティストラーダよりひと回りスリムで、背が高く、跨がるとその重さは3分の2くらいの手応えにしか感じない。スゴく軽い。
ルックスは完全なオフローダーで、実際にそんな道が大好物。6モード中2種類あるオフロード用のライディングモードを選択しておけば、スロットルによる抜重加重もしやすいし、ブレーキもよく利く。何より、その走破性が光る。ざくざくの溶岩砂利だらけのダートを飛ばしてみたが、段差通過などでの耐衝撃能力、車体の安定性もすばらしい…。
しかし、そのあたりのことはじっくりオフロードを試乗してから詳しくインプレする予定。今回はアドベンチャーとしての、日常的なオンロードでの使い勝手を紹介しよう。
まず、これほど背が高いのに、高速道路を含め、舗装路を走っている時のハンドリングにクセがなく、安定性もいい。オフ系アドベンチャーにしてはかなり優秀だ。
よく動く前後サスの威力もあって、乗り心地もいい。ただ、コーナリングなどはその足周りを丁寧に落ち着かせながらリーンさせないと、スロットルを合わせるときにいくらか揺れが発生することがある。これはアフリカツインでもテネレ700でも同じ。とはいえ、ビッグオフの中ではかなり無理が利く。
最近のテスタストレッタはかなり静かになっているので、エンジンフィールも快適。クルーズ用の6速レシオもいい仕事をしている。ライディングモードの「スポーツ」でもレスポンスは柔軟で、街でも使える。ただトラコンやABSの作動が他のモードより辛めで駆動力、制動力を優先した設定だ。
6400回転あたりから振動やノイズが少し強くなり、パワーも微妙に盛り上がるものの、基本的にはフラットな性格。一万回転までストレスなく回して使い切れる。これはピックアップが穏やかになる「アーバン」や「ツーリング」モードでも同じ。
軽さと、パワーや走破性、乗り心地がどんなコースでも活きるよう、うまくまとめられているバイクだ。ツーリングでも大型アドベンチャーに負けない。