文:松下尚司/写真:松川 忍/取材協力:バイク王&カンパニー
ホンダ「ドリーム CB750 FOUR」インプレ
53年前のライダーが受けた感動を今も感じられる驚きと喜び
自分が初めてホンダのナナハンに触れたのはCB750、大型二輪教習の教習車だ。今回、CB750フォアに乗ったことで、ちゃんと乗りやすさは後継モデルにも受け継がれていたのだなということを実感した。
つまり、CB750フォアはそれほど乗りやすかったのだ。もちろん、このくらいの旧車となると車両コンディションで大きく変わるが、今回のCBは間違いなく極上車。力強く回るエンジン、ラフな操作にも応えてくれる車体、峠にこだまする野太い4気筒サウンド。50数年前のライダーがCB750フォアに乗ることで感じたであろう驚きと喜びを味わわせてくれた。
もちろん、ブレーキやサスペンションなど、現代的なバイクに勝てるはずもないのであるが、旧車に乗るとはそういうことではない。ただ、30分も乗っていると、旧車であることを忘れさせる瞬間が訪れる。パーツ性能ではなく、車体全体のバランスの良さで乗り手に応えて、気持ち良く走らせてくれる。50年以上前のバイクとは思えない、ある種の感動があった。
ホンダの4気筒ナナハン、最後のCB750は生産終了となって久しく、最後まで頑張っていたスズキGSX-S750も残念ながら生産終了。「そういう時代だからもう続けられない」と言われるのは仕方のないことなのかもしれないが、53年前にホンダがCB750フォアを誕生させた時も量産車としては初めて尽くしだったわけで。きっと開発陣は「できるはずがない」と何度も言われたのではないだろうか。それでも、作り上げ、さらに、50年以上経った今でも特別な存在として、こうやって残っている。
今回、高コンディションのナナハンに乗れたからこそ、時代を変える1台、今後50年乗り続けられる1台が誕生することを期待したいと思う。他人事だから言えるのだが、開発者の皆さん、感動できるオートバイ、期待してます。
文:松下尚司/写真:松川 忍/取材協力:バイク王&カンパニー