アプリリア「RSV4 XTrenta」とは?
「RSV4 XTrenta」は、1992年の世界GP125ccクラス、アレッサンドロ・グラミーニによるアプリリア初の世界選手権タイトル獲得から30周年となったのを記念すると共に、V4プロジェクトを再発進させるという意味も持たされたモデル。アプリリアのレース部門、アプリリアレーシングの手によって、最新のMotoGPマシンで磨かれたテクノロジーを大胆に取り入れられた、最も過激で高性能な「RSV4」というべき存在。
プロダクションレースでトップレベルを目指すライダーや、サーキットでのライディングのための最高のマシンを求めるライダーに向けて、レーシングマシンと同じ技術を提供するという、アプリリアレーシングの「ファクトリーワークスプログラム」の一環でもある。
その特徴は一見すれば目につく最新の空力技術を取り入れたスタイリング。大きなサイズのフロントウイングはもちろん、テールカウルには市販車として世界で初めて採用されるリアウィングを装着。
さらにアンダーカウルの後ろ、リアホイール直前にはこれも市販車初のアンダーウイングまで装備。まさにアプリリアのMotoGPマシン「RS-GP」を想わせる、超高速でのサーキット走行で効果を発揮する洗練されたエアロダイナミクスで、ダウンフォースを25%向上させ、空気抵抗も4%軽減されているという。
もちろん空力デバイス以外にも「RSV4 XTrenta」では、サーキットでの高いポテンシャルを実現するために全身に開発の手は及んでいる。
MotoGPマシンと同じPAN Compositiで製造されるカーボン製カウルを装着するなど、徹底的な軽量化によって車重はわずか166kg。1099cc水冷V4エンジンはアプリリアレーシングによるレース仕様の高度なチューニングが施され、専用のマニエッティ・マレリ製コントロールユニットとの組み合わせで最高出力は230馬力を発揮。
マフラーは専用に開発されたSc-Project製のチタン・カーボンエグゾースト。ラジエターとオイルクーラーは、過酷なサーキット走行にも耐えうるスーパーバイクレースが発祥のTaleo Tecnoracing製。ブレーキシステムはGP4-MS ビレットモノブロックキャリパーなど、最高峰のブレンボ製で固められる。ホイールは軽量で高強度の鍛造マグネシウムのマルケジーニ製M7R GENESI、タイヤはピレリのディアブロSBKスリックタイヤと、細部に至るまでまさにレーシングマシン。
さらにハイグレードなことで定評のあった「RSV4」のシャシーに、アプリリアのMotoGPエンジニアによってセッティングされたオーリンズ製サスペンションを装着して、サーキット向けにハンドリングを磨いている。
このように「RSV4 XTrenta」はあらゆる部分で妥協を排し、究極のパフォーマンスを実現。カラーリングは、ロレンツォ・サヴァドーリが2022年のオーストリアGPで使用したのと同じ、1992年の初世界タイトルを獲得したマシンのものを模したデザインだ。
この「RSV4 XTrenta」は100台のみが生産される限定モデルで、価格は5万ユーロ(税抜)。factoryworks.apilia.comでのオンライン予約のみで購入を受け付けていて、納車は直接アプリリアレーシング本社で行われることになる。
まとめ:小松信夫