文:ノア・セレン/写真: 関野 温/取材協力:デイトナ
Q.11 圧着端子とギボシ端子はナニが違うの?
A.結合した配線の脱着が簡単にできるか否か
ギボシ端子のオスとメスは簡単に脱着ができるので、後付けの電装品などの取り外しが可能になるメリットがある。対して、圧着端子は線と線を直接端子でかしめるので、線を切らないかぎり電装品を外すことはできないが、面倒なギボシ端子のかしめ作業が少なくなる。
Q.12 ふたつの配線コードを簡単に結合できるグッズはないの?
A.ハンダゴテなしでも簡単に溶着できる!
配線を確実に結合させるなら、ハンダ付けは最適な方法のひとつなのだが、熟練の技が必要なのも事実。しかし、デイトナの「ハンダ入り熱収縮チューブ」は、熱収縮チューブ内にハンダが仕込まれているので、ヒートガンで熱を加えるとそれが溶け出し確実に芯線を結線するだけでなく、絶縁チューブの役目も果たしてくれる。
Q.13 エレクトロタップの使い方を教えて!
A.パチッと挟み込むだけです!
電源が流れている配線から分岐させて電源を取る場合、最も簡単な方法がこのエレクトロタップと呼ばれるグッズだろう。この中にはブレード状の接続端子があり、ここに配線を載せてからフタをしてペンチなどで挟み込む。すると小さな溝に芯線が押し込まれることで被覆が破れ、ブレード部に電気が流れて隣り合う配線が結線されるという仕組みだ。
Q.14 エレクトロタップに書いてある数字はナニ?
A.使える線の太さ。バイクは赤がメイン
エレクトロタップをよく見ると表面に数字が書いてある。これは使用できる配線の径を示している。配線が細すぎると抜けてしまうだけでなく、ブレードの溝で被覆が破れずに通電しないことがある。逆に太すぎるとそもそもブレードに入らないのと、無理に入れると芯線が切れることもあるので注意しよう。
Q.15 熱収縮チューブってなんのために使うの?
A.確実に絶縁させるだけでなく、接合部が補強される
かつてはハンダなどで接合した部分を絶縁テープで巻いたりしたこともあったが、今はこの熱収縮チューブが一般的になった。接合部に被せてヒートガンであぶるとギュッと収縮して接合部を絶縁するだけでなく、内側についているノリが溶けることで配線の被膜にぴったりと接着し補強も兼ねる。年月が経ってもベタベタするようなこともなく非常に便利なアイテムだ。
Q.16 常時電源とアクセサリー電源ってナニ?
A.メインキーONで通電するのがアクセサリー電源
常時電源とは、常に電流が流れている電源のこと。例えば時計機能のあるメーターやドラレコ、防犯アラームなどに使われる。バッテリーに直接つながっていれば、それも常時電源となるため「バッ直」と呼ばれることもある。対してアクセサリー電源は一般的にメインキーをONにした時にのみ電流が流れる配線系統で、後付の電子機器はここにつなぐことがほとんどだ。
Q.17 アースはどこにつなげばいいの?
A.バッテリーのマイナスかセルモーターのボルトが確実
電源を取ることに気をとられがちだが、同じくらいに大切なのがアースの確保。基本的にボディならどこにでもアースできるが、塗装された面のボルトでは通電しにくいため、アース不良で電子機器が作動しないこともある。既にほかのアース配線が接続されている場所を見つけて割り込ますのが最適だが、バッテリーのマイナスやセルモーター部のボルトなら確実だ。
これぞ技アリ!
下の写真は黒い配線の間に赤い配線を絡みこませ、その上からハンダ付けした、デイトナ川崎氏の熟練の技。これだけ綺麗にできたら気持ちいい。
ハンダゴテは慣れとテクニックが必要
確実な接着・接合・結線という意味では昔ながらのハンダ付けに敵うものはないだろう。配線の間にハンダが入り込むことで、2本の線が一体化するのだから間違いない。ハンダは常に高熱な部分が露出しているため危険が伴う。
そして間違いやすいのが、ハンダ付けはハンダを溶かして載せるのではなく、配線を温めてから、そこにハンダを溶かし込むのが正解。なのでけっこう熟練の技が必要なのだ。これが上手くできないとハンダが玉になって転がり落ちてしまうので、上級者向きと言えるだろう。
Q.18 アクセサリー電源はどこにあるの?
A.あらかじめ用意されている車両もあるが、自分で探すのが一般的
メインキーONで電流が流れる箇所は車体のあらゆる場所にあるため、どこからでも電源を取ることは可能だ。しかし、数ある配線の中からアクセサリー電源の配線を探すには、テスターを使って探り当てるしかない。
しかし、近年のバイクはシート下やライト下などにあらかじめアクセサリー電源用のカプラーが用意されていることもあるため、それを活用すれば簡単だ。この他、ブレーキスイッチなどに割り込ませるワンタッチ装着商品もある。
Q.19 検電テスターはどうやって使うの?
A.ワニグチをボディアースして測定用の針をプラスに接続するだけ
アクセサリー電源はメインキーがONの時だけ流れるので、ペン型の検電テスターならワニグチをボディアースして、測定用の針をカプラーの付け根の金属部分や、配線の中に針を刺して検電するのが一般的。通電していればLEDが光る仕組みになっている。ダイヤル式のテスターも同様だ。ヘッドライトのロービーム配線は、ハイビームにすると電気が流れなくなることがあるので、何の配線なのかを把握しておく必要がある。
Q.20 ヒューズからアクセサリー電源は取れるの?
A.ヒューズを差し替えるだけで簡単に電源が取れる
アクセサリー電源から配線を割り込ませて電源を取る作業を面倒と感じる人もいるだろう。そんな人には、ヒューズから直接電源を取り出すことができるヒューズ電源がオススメ。ヒューズを差し替えるだけで電源を確保できるので面倒な配線加工は不要だ。
しかし、デメリットもある。ヒューズボックスから配線が伸びるので、ホコリや水分が侵入してほしくないヒューズボックスに配線用の穴を開けなければならないのだ。ここの処理だけは注意が必要。
文:ノア・セレン/写真: 関野 温/取材協力:デイトナ