これまでもオートバイ杯には、何人か海外からエントリーしてきた選手はいた。しかし、今回のマルティン選手、マリー選手の2人は本気度がこれまでになく高かった。そもそも大会直前に来日するのではなく、日本にやって来たのは約半月前。そして以前から交流のあったB級・小林選手やA級・辻家選手の所属する「チームUMIGAME」が主催するものなど複数の練習会に参加して、日本のジムカーナやコースに習熟し、日本の選手とも交流。
マシンに関しては辻家選手のスペアマシンであるGSX-R1000を借りているが、練習会を走りながら細かくセッティングも変更している。実は2人は前回開催の2018年「ジムカーナJAPAN」を走っていて、借り物のマシンへの対応などで苦労したという。その経験から、今回は時間をかけ万全の準備をして「ジムカーナJAPAN」に臨んだというわけだ。
その甲斐あって、マルティン選手はNO級で豪快なアタックを決めて第1ヒート・1分36秒707で暫定2位という好位置に付ける。そして第2ヒートでは、1分34秒703まで約2秒タイムを削ってトップとなり見事にクラス優勝。
NL級を走ったマリー選手もGSX-Rをキビキビと走らせ、第1ヒートでの1分42秒077から、第2ヒートでは1分40秒564まで短縮し、こちらもNL級優勝!
しかもマルティン選手のタイムは、トップタイム比110%というC1級への昇格基準を上回る107.52%。マリー選手のタイムもC2級昇格基準のトップタイム比115%をクリアする114.17%。それぞれC1級、C2級へ昇格してみせた。
それもそのはず、2人は単にジムカーナ経験があるというだけではなく、小林選手によるとマルティン選手は「現在ヨーロッパの2輪ジムカーナではNo.2の実力者」で、マリー選手も「ヨーロッパの女性選手ではトップ」とのこと。しかも2人は走るだけでなく、自らジムカーナイベントの主催もするオーガナイザーでもあるので、自分たちの走行が終わった後もコースサイドで他の選手の走る様子や、「ジムカーナJAPAN」の運営スタッフの動きなどを興味深く見て回っていた。
「この大会は200台以上も集まるなんて、凄いよ! ヨーロッパのジムカーナはせいぜい60〜70台くらいだから」という2人。「また日本に来るよ」とも言ってましたが、将来は「ジムカーナJAPAN」の地区対抗戦に「ヨーロッパ」チームが加わったりして…それは案外夢物語ではないのかも?
※追記:当初「ヨーロッパからの参加者でJAGEシードを獲得したのは2人が初」と記事中にありましたが、C2級・Jan Ove Wada Stien(和田ジャンオーべ)選手ご自身より「私はノルウェー在住のノルウェー人であり、2017年1月のJAGE杯でC2級に昇格しました。海外籍としてJAGEシードに初めて昇格したのは自分です」との指摘がありましたため、10月27日に記事を修正し追記。10月28日に追記内容も修正しました。