そんな時に「バイクの無料引き取りサービスがある」と聞けば、誰しも興味が湧いてしまう。しかし、買取を断られるようなバイクをなぜ無料で引き取ってくれるのか、何か裏がありそうで怪しいと思うことも自然なことである。
結論、バイクを無料で引き取るサービスは確かにある。そのカラクリは後ほど詳しく説明するが、乗り物としてのバイクに価値を見出しているわけではなく、残っている「使えるパーツ」に価値を見出しているので、そのようなサービスが成り立っているのだ。
注意点は業者選びだろう。騙しなしの真っ当な業者がほとんどかと思うが、しかしながら様々な業者がいるので、業者選びには十分注意したい。
そこで、この記事ではバイクの無料引き取りサービスが怪しいものではない理由と、安心して利用するための注意点について解説しようと思う。
お金を払って処分を考えていた人にはお得な選択肢となるかと思うので、まずは一度この記事の内容に目を通していただければと思う。
文:小泉嘉史
「バイクの無料引き取り」は怪しいものなのか?
「バイクを無料で引き取りする何か裏があるのでは」と思うのは当たり前だろう。例えば、引き取りは無料でも出張料を取られたり、現車確認の時に何かしら理由をつけられ費用がかかると言われるなどなど、様々なことを想像してしまうのではないだろうか。
まずは、バイクの無料引き取りが怪しいものなのかどうかからお伝えしよう。
基本的には怪しいサービスではない
結論から言うと、バイクの無料引き取りサービスは、基本的に怪しいサービスではない。もちろん、中には無料と謳って費用請求するような業者もあるかもしれないが、それは悪徳業者であって、無料引取りというサービス自体が悪なわけではない。
使えないバイクをどのように活用するのか一般には理解できないが、実は、業者によってはたとえ不動車バイクでも大きな利用価値を見出していることがある。
もし、「少しでもお得にバイクを処分したい」と考えていたなら、前向きに利用を考えてもいいだろう。
バイクを無料で引き取り出来る理由3つ
バイクを無料で引き取れる理由は、大きく以下3つがある。
- 1.ボロボロのバイクも、実は部品としての商品価値があるから
- 2.修理すれば再販できる可能性があるから
- 3.国内での再販が難しくても、海外輸出で利益化できるから
1.ボロボロのバイクも、実は部品としての商品価値があるから
バイクを無料で引き取る業者は、バイクを解体して使えるパーツを取り出し、それを再利用して利益を上げている。要するに、乗り物としてのバイクに価値を見出しているのではなく、パーツ、または資源の塊として価値を見出している。バイクがボロボロでも、不動車でも関係ないということは、そうした理由があったのだ。
例えば、鉄くずとしての価値だ。特にバイクのマフラーに使用される触媒には、パラジウムと呼ばれる高価な金属が使用されており、近年のパラジウム高騰から触媒だけでも価値があると言われている。
また、かなりボロボロでも使えるパーツが残っている場合は意外に多い。バイクとして再販することは無理でも、資源を取り出すことは可能なら、無料引き取りの対象となる可能性は残されている。
ただし、見るからに使えるパーツが残っていないようなバイクは(例えば全焼したようなバイクなど)、無料とならない場合もある。無料となるのは、あくまでも使えるパーツがあると判断されるときなので、心当たりがある場合は依頼前に確認したほうが良い場合だろう。
2.修理すれば再販できる可能性があるから
もちろん、修理すれば復活するバイクの場合は尚更価値が残されている。使わなくなったバイクの中には、少し修理すれば再販可能なバイクもあり、そういった修理して再販ができるバイクは、無料で引き取りされる。 むしろ、この場合は買取店でも取り扱ってくれる可能性が高いだろう。
古くてエンジンがかからなくても、修理すれば再生するバイクも多い。また、古いバイクの中にはマニアが喜ぶようなバイクも稀に紛れ込んでおり、かなりの高値で売却できることもある。そういった再販ルートを多く持っている引き取り業者は、乗らなくなったバイクを無料で引き取りしている。
3.国内での再販が難しくても、海外輸出で利益化できるから
最後に、海外でのバイク需要も見逃せない。国産バイクが海外で高い人気を誇っていることはご存知の方もいるかもしれないが、特に新興国を中心とした国々では、日本では再販できないようなバイクにも需要があるのだ。
東南アジア、アフリカ、南米、中東など、輸出先は様々あるが、各地域によって人気あるバイクも異なり、原付を欲しがる国やビックスクーターやビックバイクを欲しがる国など様々ある。
スズキ、ホンダ、ヤマハ、カワサキの国産主要メーカー4社のバイクであれば、どんなにボロボロでもエンジンがかかり乗れる状態であれば、引き取ってもらえる可能性はかなり高いだろう。
また、不動車になっていても少し修理すれ動くようなバイクであったり、パーツとして海外で流通できるようなら、どんなにボロボロでも無料で引き取りされる可能性は残されている。高いので、一度相談してみる価値はある。
ただし、悪質な業者にあたる可能性もあり
バイクの無料引き取りサービス自体は悪ではないが、それを営む業者は様々あるので、その見極めには十分注意が必要だ。
悪質業者に当たった場合に考えられる主なトラブル
バイクの無料引き取りに関わるトラブルとしては、費用請求に関するものや、廃車手続きの不備などがある。例えば、以下のようなものだ。
- 1.見積もりだけのつもりが強引に引き取りを迫られた
- 2.何かしらの理由をつけられ、結局費用がかかった
- 3.廃車手続きが行われておらず、翌年税金の通知が届いた
1.見積もりだけのつもりが強引に引き取りを迫られた
バイクの無料引き取りの張り紙などを見かけて連絡することもあるだろう。見積もりだけしようとバイクの引き取りについて話をしている最中に、バイクをトラックに載せられ半ば強引に引き取りを迫られ、断るとトラックに載せた作業料金を支払うよう迫る事例があるようだ。
このような理不尽な行動をとる業者は、すぐに警察に通報すると告げる勇気が必要だ。
無料引き取りと謳いながら料金を迫る悪徳業者は、無料の部分を限定していることが多く、引き取りから解体、そして名義変更まで無料で行うとは限らない。
悪徳業者の多くは、2人以上でやってきて、一人が対応している隙にバイクを積み込もうとする。無用なトラブルにならないために安易にバイクに触らせないこと、そしてバイクの近くから離れないことが大切だ。
2.何かしらの理由をつけられ、結局費用がかかった
悪徳業者の多くは無料と謳っているが、そこには大きな落とし穴がある。無料引き取りの意味合いは、その言葉だけでは広義の意味であり、取り方によってはどのようにも解釈できる。つまり、引き取は無料でも積み込みは有料になるとか、バイクの種類を見て、原付以外は有料にしているなどだ。
無料と聞けば、誰もが利用したくなるが、その気持ちを悪用するのが悪徳業者だ。無料と言う言葉の響きはいいが、安易に飛びつかないようにして、無料がどこまでなのか、そして引き取り後に有料請求が無いかなど詳しく聞くことがポイントとなる。
特に多いのが、電話連絡の時には無料で引き取ると言っていたのに、バイクの積み込みが終わったあと、いきなり請求書を手渡されるという具合だ。悪徳業者の言い分は様々だが、無料となる引き取り距離をオーバーしているとか、積み込む場所が有料該当地といった具合に、言葉巧みに請求されるので要注意と言える。
3.廃車手続きが行われておらず、翌年税金の通知が届いた
原付きを含むすべてのバイクには軽自動車税が毎年4月1日時点の所有者に納付通知が郵送される。これは、廃車にしていれば納付通知書が届くはずがないが、もし廃車手続きを忘れられると、翌年も軽自動車税の納税通知書が届くことになる。
基本的にバイクはクルマと違い、年度途中で廃車にしても還付金がない。つまり、処分が遅れて年度を跨ぐと1年分の税金が発生してしまうということだ。
このような無料引き取り業者を利用する際は、できる限り自分で廃車手続きを行おう。原付の場合は市区町村役場、中型以上の場合は陸運支局で手続きを行うので、面倒でも自分で確実に廃車手続きをしておくと、このようなトラブルを回避できるだろう。
怪しい業者にひっかかるリスクを下げる方法3つ
無料引き取り業者は、全てが怪しいわけではない。安心して利用できる無料引き取り業者も多数あるので、見極めることが重要だ。そこで、怪しい業者に引っかかるリスクを下げるために以下の3つの方法を試すとよい。
- 1.巡回している廃品回収業者への依頼は慎重に
- 2.電柱張り紙の廃品回収業者は避ける
- 3.大手買取店の買取サービスを利用する
1.巡回している廃品回収業者への依頼は慎重に
不要になったバイクの処分を考えた時、巡回している廃品回収業者に依頼を使用と思う方もいるかもしれないが、巡回している廃品回収業者の中には無許可営業もあるので、できるだけ避けるほうが無難だ。
巡回している廃品回収業者の多くは、無料をしきりにアピールしていることが多い。しかし、実際にクルマを止めて話を聞くと、回収は無料でも処分が有料であったり、査定が無料だけで回収や処分は有料になることが多い。
また、巡回している廃品回収業者のクルマを止めて話をしてしまうと、なかなか断れなくなる状態になることも少なくないだろう。
巡回している業者を見抜くのは難しいが、巡回しているトラックに業者の名前があるか、渡された名刺に固定電話番号があるか確認するようにする。悪徳業者の場合、なるべく知られたくないので、クルマには名前が無く名刺も携帯電話番号のみの場合が多い。また、許可証を持っているのかも確認してみることもポイントだ。
2.電柱張り紙の廃品回収業者は避ける
廃品回収を無料回収すると謳った張り紙や、ポストに投函されたチラシを見ることが多いが、そういった業者の中には悪徳業者が紛れている可能性もあるので注意が必要だ。
無許可営業など違法性が疑われる業者のチラシには、会社名が見えにくかったり伏せられていることが多い。また、電話番号も固定電話で無く携帯番号が殆どだ。
こういった業者に連絡すると、バイクの引き取りが無料と話してくるが、実際には出張料や積み込み料など、引き取りと言う言葉以外を使って請求されることが多い。
バイクの廃棄には、廃棄物処理業の許可が必要なので、チラシなどに許可番号の記載がない場合は利用しない方が無難だ。
4.大手買取店の買取サービスを利用する
バイクの引き取りをお願いするなら、まずは大手買取業者の買取サービスを利用してみるとよい。大手買取店であれば、バイクの処分も適正にしてもらえるほか、無理であっても廃棄二輪車取扱店について教えてもらえる。
大手バイク買取店は、専門知識があるスタッフがいるので、安心して相談できる。また、廃車にする場合も、すべて代行してもらえるほか、費用も掛からない場合も多い。
そして、出来るだけ多くのバイク買取店に相談すれば、無料引き取りではなく、不要なバイクなのに買取金額が付くこともあるのでぜひ利用したい。
おすすめの不動車バイク引き取りサービス3選
不要になったバイクの中でも、不動車の処分には悩むだろう。しかし、不動車といっても値段が付くこともあり、みすみす廃車にするのは勿体ない。そこで、不動車を引き取りする業者で、ユーザーに負担が少ない以下の3つの業者を紹介する。
- バイク王
- バイクワン
- バイクランド
バイク王
簡単にバイクを処分したいならバイク王がお勧めだ。バイクの知識が豊富な専門査定士が自宅まで無料で査定に来る。申し込みもネットから依頼フォームに入力するだけなのでとても簡単だ。
バイク王は、基本的にどんなバイクでも無料査定をしており、しかも3万円未満の買取額であれば、その場で現金支払いしてくれる。
また、万が一査定額に納得がいかなくても、出張料や査定料などの費用は一切発生しないので、安心できる。
バイク王では、古いバイクも自社工場でしっかり整備し、もう一度価値あるバイクに蘇らせている。大切にしてきた自分の相棒のバイクを解体せずに、次の乗り手に渡り新しい人生を歩んでもらえると考えるなら、バイク王を選んでもよいのではないだろうか。
バイクワン
バイクワンは、どんなバイクでも買取することで有名だ。事故車や何年も放置した不動車もバイクワンは買取している。
特にバイクワンでは、国産車、輸入車問わずカスタムされたバイクの買取に力を入れているため、こだわりのカスタムバイクも意外な高値で売却できる可能性がある。
一般にカスタムバイクはその価値を適正に査定してもらえないので、思ったほどの査定額は提示されない。むしろ、カスタムの度合いによっては、買取も拒否される恐れもあるだろう。
しかしバイクワンでは、パーツ販売、輸出、そして国内オークションや提携ショップなどを多くの流通ルートがあるので、安心して不動車の買取査定を任せられる。
バイクワンは、全国無料出張査定をしており、しかも24時間電話受付なので、仕事で日中や平日に連絡できない方にも便利だ。さらに、手数料も一切かからないので、とりあえず査定だけと言う方も安心して利用できる。
バイクランド
バイクランドは、事故車や水没車、そして不動車も買取しているので、不動車となったバイクで処分に困っているなら相談してみるとよい。
出張査定も全国無料で現金買取しているほか、査定に納得できなくて売らない場合も費用は一切かからない。
しかも乗り替えを考えているならさらにお得で、売却してから2年以内にバイクランドで次のバイクを購入すると、排気量に応じて最大20,000円の値引きがある。
不動車も多くの買取店で査定は行っているが、少しでも査定額を高くする競合店の一つとしてバイクランドを選ぶのもよいだろう。
無料引き取りサービスを利用する前に試してほしいこと
不要になったバイクを無料引き取りサービスに依頼するのは簡単だ。しかし、そのバイクは価値があるかもしれない。そこで、不要なバイクを無料で引き取る業者を探す前に一度、以下の業者で査定することをすすめる。
- 一般買取店で査定を取ってみる
- 廃車買取店で査定を取ってみる
一般買取店で査定を取ってみる
不要になったバイクは、オーナーが必要ないと思っても市場では価値があるバイクの可能性がある。また、国産バイクは海外で人気なので、国内で人気が無いと思っていても海外輸出に強い買取店では思いのほか高額を付けることもある。そこで、一般買取店で査定してみるとよい。
不要になったバイクが、不動車であってもバイク店であれば簡単に修理できることもあるので、一般の方が動かないからと、すぐに処分を考えるのは少し待った方が良いだろう。
また、買取店も査定額が店舗ごとで違う。これは流通ルートがそれぞれの店舗で異なるためで、1店舗目で良い金額が提示されなくても諦めずに、出来るだけ多くの買取店で査定することだ。
多くの買取店で査定すれば査定交渉も可能になり、高く売却する事も可能になることも覚えておくとよい。
廃車買取店で査定を取ってみる
一般買取店でどうしても買取が難しいと言われたら、廃車買取店を利用してみるとよいだろう。
廃車買取店は、中古車として流通が難しいバイクを買い取る業者なので、かなりボロボロでも買取する場合がある。特に人気あるバイクは、修理不能でもパーツとしての価値があるほか、安い賃金で修理できる海外でも欲しがる。
また、廃車買取店も数多くあるので、出来るだけ多くの廃車買取店で査定することだ。廃車買取店も、一般買取店と同じように独自の流通ルートを持っているため、すべての廃車買取店で査定額が異なる。
また、廃車買取であれば、最終的に値段が付かなくても無料で引き取りしてもらえるので、無料引き取りに依頼する手間も省けるだろう。
バイク無料引きが怪しいことについてよくある質問
Q.不動バイクが無料で引き取れるのは何故ですか。
A.バイクを引き取りして処分するには費用が掛かります。しかし、その費用は処分するバイクについているパーツで相殺できる場合が多いため、無料引き取りが可能です。また、国産バイクは海外で人気が高いので、たとえ不動車でも輸出業者が買取しています。
Q.知らない業者に廃車手続きされるのが不安です。自分で手続きしてバイクだけ引き取りしてもらうことは可能ですか。
A.もちろん可能です。ご自身で廃車手続きがわからない場合も、その方法を教えてくれる業者もあるので相談するとよいでしょう。
まとめ
無料引き取りは、安全な業者もあるが悪徳業者も少なからずある。とくに街を巡回している業者やチラシの業者は注意が必要だ。
そこで、処分したいバイクがあるなら、一度買取店で査定依頼するとよい。また、買取不可と言われたなら、廃車買取に依頼すれば、無料引き取り業者を利用するより安全だ。
無料引き取り業者では、1円もユーザーにお金はもらえないが、一般買取店や廃車買取店であれば、現金化できる可能性がある事や、1円もかけずにバイクを処分できると言うことを覚えておくとよいだろう。
文:小泉嘉史