文:小松信夫
※CL250の写真は、試作車のため量産車とは一部仕様が異なる場合があります。
ホンダ「CL250」の特徴・車名CLの歴史
CLブランドが復活! 初代CLも合わせてチェック
往年のスクランブラーの名を現代に復活させたモデルとして登場し、独特のスタイルやレブルをベースにしたメカニズムで一躍注目されているニューモデル、ホンダ「CL250」。
2022年11月9日にプレス向けに試作車が公開はされたが、諸元や詳細についてはまだ明かされていない。そこでプレス向け公開時に撮影された画像をもとに、新生「CL250」について分析してみよう。
一口にCLとはいっても、1962年に登場した「CL72」から始まって、1970年代半ばまでの結構長い期間に渡って、小は50ccから大は450ccまでの様々なモデルが存在。その年代に応じてスタイルも変遷、アップマフラーという特徴的な部分は概ね共通だが、初期と末期とではかなり印象が異なる。
今回登場した現代版「CL250」は、特定の年代、特定のモデルのスタイルを再現するという方向ではなく、あくまで「レブル250」をベースにした現代的な完成度の高いメカニズムを下敷きにした、レトロで個性的なCL的なエッセンスを活かしたモダン・スクランブラー。
とはいえ、今回登場したモデルは、シンプルなグラフィック、燃料タンクのグリップラバーといったディテールが、初代「CL72」のようなプレーンな印象を感じさせる。ちなみにCL500・欧州仕様車の燃料タンク容量は12L。
今やスクランブラー全体のアイコンともいえるアップマフラーは、往年のCLはエキパイからヒートガードまでメッキ仕上げだった。しかし「CL250」はマットブラック仕上げに抑えたトーンのヒートガードという普通のバイクっぽい雰囲気。
エキパイの取回しも、かつてはクランクケース上部から車体後部に続いていたが、「CL250」では車体下部に伸びてからステップ後方から急激に上部へ立ち上がるレイアウトで、ちょっと印象が異なる。しかし、テールが2本出しとして強い存在感を放っているのは、「CL72」の面影を感じさせる。
「CL72」のマフラーがテール2本出しだったのは、そのエンジンが2気筒だったから。しかし「CL250」では、ベースモデルの「レブル250」と共通の水冷単気筒エンジンだ。ただし、ほぼ共通の車体やスタイリングを与えられた上級モデル「CL500」は2気筒なので、ちゃんと帳尻(?)を合わせている。
前後ホイールサイズを変更しているのも、「CL250」とベースモデルの「レブル250」の大きな違い。レブルは前後16インチ径だったが、「CL250」はフロントを19インチ化。
近代的なオフロードモデルの登場以前、ダート走行を想定してベースのCBからホイールサイズを変更した「CL72」と同じ選択。さすがにスポークホイールではなくてキャストホイールだが。
リアホイールも大径化されたが、17インチ径という常識的な選択。「CL72」はリアも19インチだったが、使い勝手の良さが求められる現代のオートバイとしては、そこまで再現はされなかった模様。
「レブル250」では低いシート高による扱いやすさを重視し、ストロークが短かいリアサスだったが、シート高がアップした代わりにサスペンションのストロークは長くなり、快適性やハンドリングが改善されているようだ(CL500・欧州仕様車のシート高は790mm)。
シート周りも直接CLらしさを表現するというものではない。しかし、フラットな形状のオーソドックスなデザイン、快適で使いやすく、タンデムでも余裕のあるサイズなど、レトロかつベーシックで、しかも質実な仕上がり。
「CL250」がデザイン先行のファッションアイテム的存在ではなく、幅広い層のユーザーに、多様な楽しみを提供できる完成度の高いモデル、ということだろう。
文:小松信夫