CT125・ハンターカブクロスカブ110が人気絶頂カブファミリーの中でも
いちばん「素」の1台スーパーカブ110の人気が再燃している!
文:中村浩史/写真:増井貴光
画像3: ホンダ「スーパーカブ110」インプレ(中村浩史)

カブらしいスピードで回転が快適な新エンジン

新世代スーパーカブは、まずエンジンフィーリングが大きく変わった。ロングストローク化で理論上は低回転トルク型となって、ギア比も1〜4速まですべてローギアード化、つまり同じスピードで走ると、新型の方がやや回転数が上がる。ダッシュ型のエンジンになっているのだ。

けれど、印象はその逆。同じ回転域で走っていても、フリクションが少なく、静かで振動がない、ころころと回るフィーリング。スピードのノリもよく、カブ50では許されない一般道60km/h走行が快適だ。

何速に入っているかわからず、信号待ちからのヨロヨロ4速発進をしがちなカブに、待望の「ギアポジションインジケーター」も追加された。スピードメーター目盛りの内側には、1〜4速まで、各ギアの守備範囲がマーキングされているけれど、この表示までスピードを出すと、各ギアとも引っ張り気味になり、エンジンも騒々しい。

なにしろ4速のマーキング位置まで引っ張ると、その時のスピードは100km/hに達してしまう。もちろん最高速度は100km/hをオーバーするけれど、それはカブ110といえどもスピード違反ですから。

ここは4速で60km/h+αになるように走っていると、さらに振動なく穏やかにエンジンが回り、アクセルひと開けですぐに加速に移れる。きっとホンダは、4速60km/hでいちばん穏やかに走れるようにギア比をセットしたのだろう。
このスピードが、カブらしいね。

画像4: ホンダ「スーパーカブ110」インプレ(中村浩史)

都内をぐるりと半日散歩、こんなカブライフが気持ちいい

新たに前後キャストホイールと、フロントにディスクブレーキを採用したスーパーカブ110は、まずブレーキ性能が段違いに良くなった。効きはもちろん、コントロール性も上がって、先代のドラムブレーキ期にあった、少しでもレバーを引くとカクンと効いたり、いっぱいまで握っても効かなかったり、という瞬間がなくなったのだ。

キャストホイールを採用したことについては、走りがカッチリしたとか、転がりが軽くなったという印象は受けなかった。もちろん、これは走るスピードにも関係することで、なかなか一般道を50〜60km/hで走ってわかるものではない。

ただし、キャストホイールの装着で、とうとうチューブレスタイヤを使えるようになったのは大きい。これは、これまでのカブ乗りたちの悲願ともいえるもので、ロングランでいつも付きまとうパンクについて、チューブタイヤより補修が簡単になるからだ。

現行カブの試乗フィーリングは、新エンジン搭載の印象が大きく、ブレーキがよく効くようになった──が2大ポイント。排気量を問わず、姿かたちが変わらないまま進化し続けてきたカブにとっては、キャストホイール装着より、ディスクブレーキ採用の効果が大きい、ということだ。

画像5: ホンダ「スーパーカブ110」インプレ(中村浩史)

そのカブで都内を散歩してみた。編集部のある東京都港区周辺をうろうろ。約束もない、急がない、のんびりと都内を流すのが、カブにはよく似合う。最高速度はきっちり60km/hを守っていても、都内の交通の流れにはきちんと乗れるし、信号待ちからのスタートダッシュは流れをリードすることだってできる。

静かにフリクションなく回るエンジンは、とにかくスムーズ。ライダーならばよくわかる、発進してぶーんガチャ、ぶーんガチャ、ぶーんガチャ、で4速クルージング。新たにメーター液晶部分に追加されたギアポジションインジケーターが心強い。

クラッチ操作の要らない自動遠心クラッチと踏み返しつきシーソーペダルは、お気に入りのスニーカーで走っても足の甲が傷むこともない。だから御用聞きまわりの銀行員さんだって革靴で乗れる。

それでも、信号待ちではやっぱりやらかしてしまう。4速で走ってきて信号が赤になり、停車。停車している間にギアをローに入れておかないから、信号が青になっての発進で、4速よろよろ発進をやらかしてしまうのだ。走り出して何度かやって、すぐに慣れたつもりでもまたやってしまう。オーナーになったら慣れるかな。

編集部を出てすぐにある東京タワーを右手に見ながらベイエリアお台場へ。レインボーブリッジ下の一般道は原付一種が通行禁止のため、カブ50ならば、ぐるり葛西臨海公園側から回らなければいけないけれど、110ならOK。原付二種の優遇措置だ。

画像6: ホンダ「スーパーカブ110」インプレ(中村浩史)

新木場・夢の島公園あたりに出てからは三つ目通りを北上。スカイツリーを右手に見ながら浅草を回って、上野、谷根千を回って板橋、池袋へ。この辺は、下町から混雑する幹線道路に入るので、走りづらくはなるけれど、カブはすいすいと距離を稼いでいく。

板橋あたりからは環七通りを南下して、中野、高円寺から世田谷、目黒を回って目黒通りを東へ。

こんな東京散歩で、約3時間、100kmに届かないくらい。編集部近くでガソリンを補給したら、2Lも入らない! ストップ&ゴーだらけの都内散歩で、実測燃費は約65km/Lと、カタログ記載にほぼ近い燃費をマークできた。これでもスピードを出した区間もあったから、カタログ数値超えも結構カンタンなのかも。

ハンターカブにもクロスカブにもない、ごくごく普通なカブライフ。この先もずっと、生き続けて行って欲しいカブなのだ。

画像: 2022年10月15〜16日、東京都港区青山のホンダ本社で3年ぶりに行なわれた「カフェカブミーティング in 青山」。回を重ねて今回で25回目の開催! 200台×2日の事前参加申し込みは先着順Webエントリーで、30分で計400台枠が埋まったという。

2022年10月15〜16日、東京都港区青山のホンダ本社で3年ぶりに行なわれた「カフェカブミーティング in 青山」。回を重ねて今回で25回目の開催! 200台×2日の事前参加申し込みは先着順Webエントリーで、30分で計400台枠が埋まったという。

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