250〜750ccの中量級セグメントのモデルを展開する、ロイヤルエンフィールドブランドを保有する、インドの大手多国籍企業EML(アイシャー・モーターサイクルズ・リミテッド)が、最高出力80馬力!!を誇る電動モトクロッサー「スタルク ヴォルグ」を開発するスタルクフューチャー社に、戦略的出資をすることを2022年12月29日に公表しました。今回の出資により、両陣営は電動バイクの共同開発、技術共有、技術供与、そして製造における長期的パートナーシップを構築することになります!
文:宮﨑健太郎(ロレンス編集部)
※この記事は「ロレンス」で2022年12月30日に公開されたものを転載しています。

株式の10.35%にあたる、5,000万ユーロを出資!

2022年6月の時点で、1万1,000台以上の予約を集めて注目された「スタルク ヴォルグ」ですが、残念ながら2022年秋デリバリー開始というスケジュールを守ることはできませんでした。デリバリーが遅れているという事実については、その動力源がICE(内燃機関)だろうが電動だろうが、ともかく戦闘力の高いモトクロッサーをすぐ手に入れたいという"ガチ勢"にとっては、非常に不満が高まっているみたいです・・・。

今回お届けするニュースは、早く納車してくれと嘆く予約者にも、とにかく完璧な製品が出来上がるまで気長に待つさという予約者にとっても、明るい知らせとなるかもしれません? 近年2輪市場として目覚ましい成長を遂げているインドに本拠を置くEMLは、スタルク ヴォルグを開発するスタルクフューチャー社に株式の10.35%・・・5,000万ユーロ≒70億9,322万4,395円という出資を行い、スタルクフューチャー社の取締役1名を指名することを明らかにしました。

画像: ロイヤルエンフィールドのUKテックセンター。 starkfuture.com

ロイヤルエンフィールドのUKテックセンター。

starkfuture.com

この出資により、EMLはロイヤルエンフィールドとスタルクフューチャーの両社が、電動モビリティの分野で深い協力を機会を探っていくことになると説明しています。

画像: EMLのマネージングディレクターであるS.ラル。 starkfuture.com

EMLのマネージングディレクターであるS.ラル。

starkfuture.com

シッダールタ・ラル(EMLマネージングディレクター)

「スタルクフューチャー社は、航続距離、重量、パッケージング、コストで妥協することなく、ICE(内燃機関)搭載車よりも劇的に優れたEV技術の可能性を理解し、それを活用することに成功しました。彼らは、EVの世界に参入するために、スタルク ヴォルグという非常に素晴らしいモトクロスバイクを作りました。スタルクフューチャー社は、このモデルによってEVレジャー分野で飛躍的な成長を遂げる可能性が最も高く、この強力な基盤を利用して他の隣接する分野やそれ以上の分野にまで拡大できる可能性があると信じています」

画像: ロイヤルエンフィールド社のCEO(最高経営責任者)、B.ゴヴィンダ ラジャン。 starkfuture.com

ロイヤルエンフィールド社のCEO(最高経営責任者)、B.ゴヴィンダ ラジャン。

starkfuture.com

B.ゴヴィンダ ラジャン(ロイヤルエンフィールドCEO)

「これは完全に共生するパートナーシップだと考えています。スタルクフューチャー社の潜在能力に加え、私たちはこのパートナーシップに計り知れない相乗効果を感じています。スタルクフューチャー社は規模を拡大し、まもなく市場参入を計画していますが、私たちはスタルクの産業化プロセスをサポートします。彼らはEV技術、特に軽量コンポーネントと革新的なソリューションのリーダーであり、我々ロイヤルエンフィールドは、EVプラットフォームの開発にこれらの能力を活用し、将来的にEVプラットフォームを共有することも計画しています」

画像: スタルク ヴォルグを生み出したスタルクフューチャー社の創設者兼CEOのA.ワス。 starkfuture.com

スタルク ヴォルグを生み出したスタルクフューチャー社の創設者兼CEOのA.ワス。

starkfuture.com

アントン・ワス(スタルクフューチャー創設者兼CEO)

「このたび歴史上最古のモーターサイクルブランドのひとつと提携し、彼らのサステナビリティへの旅に参加できることは、私たちスタルクにとって大きな刺激となります。私たちは、シッダールタ、ゴヴィンダ、そしてチームと数ヶ月間一緒に仕事をしてきましたが、彼らが過去25年間に作り上げたもの、そしてロイヤルエンフィールド社を持続可能なモーターサイクルの未来に向けて構築、発展させていく考え方と集中力に深い感銘を受けています。スタルク ヴォルグはベンチマークをリセットするような、ローンチモデルであると確信しています。私たちにとってこれまでの道程は短く、激しく、驚くべきものでしたが、ロイヤルエンフィールド社とのつながりと、今後数年間に待ち受けているものは未来への輝かしい兆しです」

スウェディッシュ・コネクション? REブランドの2輪EVの登場も期待!?

4輪業界にお詳しい方のなかには、EMLがスウェーデンのボルボ社と強力な関係を築いていることをご存知と思います。EMLはロイヤルエンフィールドブランドによる2輪事業を世界60カ国以上で展開するほか、ボルボとの合弁事業であるVEコマーシャルビークルリミテッド(VECV)を展開し、インドの商用車分野や、発展途上国市場のモータリゼーション発展に貢献しています。

画像: インドのタミル·ナードゥ州にあるロイヤルエンフィールドの工場。英国のレスターシャー州とインドのチェンナイにロイヤルエンフィールドは開発施設を持っており、両開発施設が生み出す「設計」をもとにこの工場から世界市場向けの製品を生産しています。 starkfuture.com

インドのタミル·ナードゥ州にあるロイヤルエンフィールドの工場。英国のレスターシャー州とインドのチェンナイにロイヤルエンフィールドは開発施設を持っており、両開発施設が生み出す「設計」をもとにこの工場から世界市場向けの製品を生産しています。

starkfuture.com

またVECVは、インドにおけるボルボ製トラックや、ボルボグループ向けのエンジン製造や輸出などのビジネスも展開しています。多国籍企業であるスタルクフューチャー社はスペインに本拠を置いていますが、そもそも2019年に設立されたとき、そのルーツはスウェーデンにありました。もしかしたら、EMLとスウェーデン企業のコネクションが、今回の提携の背後にはあるのかもしれません?

画像: 12,900ドル≒171万6,577円というプライスタグがついているスタルク ヴォルグは、スタンダード版で60馬力、最強仕様の"アルファ"で80馬力という高出力を誇る電動モトクロッサーです。100ドルのデポジットを払うことで、公式ウェブサイト経由で予約することが可能ですが、現在オーダーした場合のデリバリー予定は2024年6月・・・となっています。 starkfuture.com

12,900ドル≒171万6,577円というプライスタグがついているスタルク ヴォルグは、スタンダード版で60馬力、最強仕様の"アルファ"で80馬力という高出力を誇る電動モトクロッサーです。100ドルのデポジットを払うことで、公式ウェブサイト経由で予約することが可能ですが、現在オーダーした場合のデリバリー予定は2024年6月・・・となっています。

starkfuture.com
画像: 電動ならではのメリットで、スタルク ヴォルグは出力を自由にユーザーが設定することが可能です。車体側にも固定可能なスマホのアプリの操作によって、パワーカーブ、エンジンブレーキ、トラクションコントロール、仮想フライホイールウェイトを好みに応じて調整し、最大100のライディングモードを作成することができます。つまり乗り手の技量や好みに応じて、2ストローク125cc的な特性も、4ストローク450cc的な特性も、この1台で楽しめるというわけです。 starkfuture.com

電動ならではのメリットで、スタルク ヴォルグは出力を自由にユーザーが設定することが可能です。車体側にも固定可能なスマホのアプリの操作によって、パワーカーブ、エンジンブレーキ、トラクションコントロール、仮想フライホイールウェイトを好みに応じて調整し、最大100のライディングモードを作成することができます。つまり乗り手の技量や好みに応じて、2ストローク125cc的な特性も、4ストローク450cc的な特性も、この1台で楽しめるというわけです。

starkfuture.com

ともあれ、提携によってスタルクフューチャー社は「生産力」を強化することが望めますし、ロイヤルエンフィールドとしては、スタルクフューチャー社の優れたEV技術を自社製品開発に活用することが期待できます。使い古された言い回しですが、WIN-WINな関係というわけですね。

ロイヤルエンフィールドは近年、研究開発プログラムのなかで持続可能なモビリティ技術に大きな重点を置いており、いくつかのアイデアをもとにテストを進めている段階にあることのことです。そもそも250〜750ccの中量級セグメントに力を入れているロイヤルエンフィールドですが、そのDNAを色濃く受け継いだ電動バイクの開発が、ひとつの目標になっているのです。

上述の引用文の、ロイヤルエンフィールドCEOであるB.ゴヴィンダ ラジャンのコメントのなかにある計画・・・将来、スタルクフューチャー社とEVプラットフォーム共有が実現した場合、どのようなモデルが両ブランドから登場することになるのか楽しみですね。実現するとしても、それはもうちょっと先のことになるでしょうが、今後の両社の動向に注目したいです!

文:宮﨑健太郎(ロレンス編集部)

This article is a sponsored article by
''.