文:オートバイ編集部/写真:赤松 孝
ヤマハ「YZF-R25 ABS」ショートインプレ
街乗りからツーリングまで楽しめるオールラウンダー
2015年に初代モデルが発売されたYZF-R25。開発コンセプトは「毎日乗れるスーパーバイク」つまり、高性能モデルであっても、決して日常生活の乗り物としてのユーティリテを失わない、というものだった。
その狙い通り、R25は、扱いやすさと高性能のバランスが絶妙に取れた、オールマイティに使えるスポーツバイクだ。
パワーフィーリングは、低~中回転のトルクを厚く、高回転の伸びも犠牲にしないタイプ。正直言って、高回転の伸びはホンダCBRに一歩譲るが、それは1万数千回転もの高回転域。そのエリアは滅多に使わないだろう、という割り切った特性なのだ。
ハンドリングもあくまで安定性をしっかり確保しながら軽快さもあるタイプで、誰が乗っても怖くない、上手い人が乗ると速く走れる、そんなキャラクターだ。
2019年に登場した現行モデルは、倒立フロントフォークを採用し、ほんの数mmだが、ハンドルバーの高さを下げた設定としている。
よりスポーティさをプラスしたこの進化は、ライバルに対抗する意味合いもあるが、ヤマハは幅広い層に支持されるR25の魅力を大切にして、引き続き「毎日乗れる」パートをきちんと残したのだ。
倒立フォークを採用する現行型は、ハンドリングのテイストを大きく変えることなく、ちょっと無理した時の限界点を上げた印象。たとえば下りのワインディングで、いつもよりちょっとブレーキを頑張ってしまったとき、この倒立フォークが威力を発揮してくれる、そんな頼もしさを感じさせる。
エンジンは引き続き、高回転の伸びよりも常用回転域のトルクを重視したもので、車体の安定性が増した分、よりリラックスしてイージーに乗れるモデルになったと言っていい。
R25は、街乗りもワインディングも、それに高速道路も得意なステージで、どこを走っても楽しい。エキサイティングではないかもしれないが、誰もが満足できるパフォーマンスなのだ。
1台のオートバイで、街乗りもツーリングもサーキットランも、いろんな用途で乗りまくりたい…そんな想いに応えてくれるモデルだ。
ヤマハ「YZF-R25 ABS」注目ポイント
ヤマハ「YZF-R25 ABS」主なスペック・価格
全長×全幅×全高 | 2090×730×1140mm |
ホイールベース | 1380mm |
シート高 | 780mm |
車両重量 | 169kg |
エンジン形式 | 水冷4ストDOHC4バルブ並列2気筒 |
総排気量 | 249cc |
ボア×ストローク | 60.0×44.1mm |
圧縮比 | 11.6 |
最高出力 | 26kW(35PS)/12000rpm |
最大トルク | 23N・m(2.3kgf・m)/10000rpm |
変速機形式 | 6速リターン |
燃料タンク容量 | 14L |
キャスター角 | 25° |
トレール | 95mm |
タイヤサイズ(前・後) | 110/70-17M/C(54S)・140/70-17M/C(66S) |
ブレーキ形式(前・後) | シングルディスク・シングルディスク |
メーカー希望小売価格 | 69万800円(消費税10%込) |
文:オートバイ編集部/写真:赤松 孝