エックスライト「X-803RS ウルトラカーボン」テスト&レポート
圧倒的フィット性と空力特性を備えたサーキット指向のフルフェイス
NOLANとX-liteはイタリアを代表するヘルメットの兄弟ブランド。街乗り用からツーリング向きの製品まで多彩にラインアップしているが、今回はMotoGPやスーパーバイク世界選手権といったトップカテゴリーレースで多くのライダーが着用している『X-803RS』を紹介しよう。
帽体素材はカーボンと複数の素材を組み合わせたコンポジットファイバーで、強い衝撃に耐える強靱さと、エアロダイナミックスポイラー装着時で1604g(Mサイズ・実測)という軽さを両立する。
驚きだったのは被り心地。頭全体をしっかりホールドして、首を左右に振っても不思議なほどグラつかない。縦に強く振ったときのグラつきもごく僅かで、僕がこれまで被ってきたヘルメットの中で最高のフィット性。220km/hを超えても横ブレや上方向へのリフトがほとんどなく、首への負担が圧倒的に少ない。これは帽体の軽さと強めのフィット性、リアスポイラーの効果だろう。
引き換えに被り脱ぎのスムーズさには欠ける。頭の形や耳の大きさ/位置によって個人差があるだろうが、僕の場合は帽体下から手を入れて耳を押さえないと、耳が内装に引っ掛かかる。ただしヘルメットリムーバーと組み合わせれば格段に楽になるから、サーキット走行専用と割り切って、トップライダーの世界を感じる、という使い方がベストだと思う。
テスター太田安治の欲張りリクエスト
フィット性と空力特性の良さは感動的だが、頻繁に被り脱ぎするような使い方には向かない。いっそヘルメットリムーバーとかフルフェイスマスクを同梱して「サーキットスペシャル」感を演出してもいいかも。
文:太田安治/写真:南 孝幸、森 浩輔/モデル:平嶋夏海