文:河野正士/写真:長谷川 徹
ロイヤルエンフィールド「スーパーメテオ 650」開発者インタビュー
EICMA2022 SPECIAL INTERVIEW
スーパーメテオ650とこれからのロイヤルエンフィールド
目指したのはアクティブクルーザー
スーパーメテオ650を発表したEICMA2022の会場には、ロイヤルエンフィールドのプログラムマネージャー/車両開発の責任者であるサイモン・ワーバートン(上写真:左)と、デザインマネージャー/車両設計の責任者であるマーク・ウェルズも同席。彼らにスーパーメテオ650の詳細とともに、ロイヤルエンフィールドのバイク造りについて話を聞いた。
マーク(以下M):我々は1950年代からクルーザーバイクを造ってきました。またインドでは、1990年代からクルーザーを展開しツーリングカルチャーを育ててきました。そして2気筒エンジンを搭載した650モデルのプロジェクトがスタートしたとき、そのエンジンを使って、ロイヤルエンフィールドらしい、新しいクルーザーを造ろうと考えたのです。
サイモン(以下S):またインドでは長距離ツーリングが盛んで、それに適したモデルを望む声も多かった。したがって我々として、クルーザーモデルをラインアップするのは当然の流れだったのです。
M:一般的なクルーザーは、大きく重い車体によって低速域での軽快さが犠牲になっています。しかしスーパーメテオ650は違います。混雑した街中もワインディングも軽快に走る。目指したのは、ロードスターのようなアクティブ・クルーザーです。それを実現するため、フロント周りのジオメトリーを考え抜き、同時にプロファイルを熟考した専用タイヤも開発しました。
S:二輪市場はいま、先進的なテクノロジーが溢れています。対して、我々は必要以上にそれを追求していません。もちろん先進技術の研究も行っています。もしそれらが、ライダーに良好な乗車体験を提供できるなら採用します。しかし使いこなすのが複雑でライダーを困惑させるなら、それは必要のない技術なのです。ライダーにとってどのような技術が必要なのか。我々はそれを注意深く判断しているのです。
M:我々の開発には、重要な3つのキーワードがあります。ひとつ目はオーセンティックであること。そのバイクが造られる理由が明確でストーリーがあることです。ヒマラヤ411が、ヒマラヤを走るために生まれたように。2つ目はディザイアブル(desirable=好ましい、望ましい)であること。乗ってみたい、自分のモノにしてみたいと思う満足度の高いバイクを造ることです。そして3つ目はアクセシビリティ(Accessibility=利用しやすい、便利である)に優れていること。価格を含め、気軽に乗りたくなる、敷居の低いバイクであることです。
S:スーパーメテオ650も、その3つのキーワードから生まれたクルーザーなのです。
文:河野 正士/写真:長谷川 徹