文:宮﨑健太郎(ロレンス編集部)
※この記事は「ロレンス」で2023年2月8日に公開されたものを一部編集し転載しています。
日本でも、電動車 vs 内燃機関搭載車の"ガチ勝負"を楽しめることに!
電動車のみが参加する「トライアルE」が2021年限りで発展的解消されたことにより、昨2022年シーズンは電動車の参戦がトライアルGPで認可された最初の年となりました。なおFIM(国際モーターサイクリズム連盟)が統括する"世界選手権"で、電動車とICE(内燃機関)搭載車がハンデなしのガチ勝負をするのは、この2022年のトライアルGPが初めてのことです。
そして同年、電動車として唯一トライアルGP・トライアル2にフル参戦したEM(エレクトリックモーション)のガエル・シャタヌは、ICE搭載車のライバルたちを相手に、見事ランキング10位の座を獲ています。また、ヤマハは黒山健一選手に電動のTY-2を託し、フランスGP・トライアル2にスポット参戦したことも、大きな話題となったのは記憶に新しいところです。
2023年は、昨年を上回る成績を目指すとともに、カーボンニュートラルに向けての取り組みが世界中で加速するなど、時代が大きな変革期にあることから、全日本でのモータースポーツ活動を中心に、先進技術の開発など新たな価値創造に努めます。
黒山健一選手による、電動車「TY-E 2.1」の全日本トライアル選手権フル参戦は、先進技術の開発の具体例の最たるものといえましょう。TY-Eは2018年、2019年のトライアルEに参戦し、上述のとおり2022年は進化したTY-E 2.0がトライアルGP・トライアル2にスポット参戦しました。今までの参戦はすべて欧州が舞台となりましたが、今年は日本でもTY-E 2.1が戦う姿を見ることができるわけです!
目標は、2025年のIAスーパーでのチャンピオン獲得!
なおTY-E 2.0と黒山選手が2022年にスポット参戦したクラスは、最高峰のトライアルGPを目指す若手たちが主に参加するトライアル2ですが、今年度フル参戦するのは全日本トライアル選手権の最高峰クラスである「IAスーパー」です。
10年連続・通算12回の王者、小川友幸選手が君臨する全日本で、黒山選手とTY-E 2.1がどのような戦いをするのか大変興味深いです。なおヤマハは電動車による全日本挑戦は「長期計画」的に捉えており、3年後の2025年のIAスーパーでのチャンピオン獲得、そして活動をとおしてカーボンニュートラル実現やEV技術修得を目標として掲げています。
2023年度の全日本トライアル選手権は、4月2日の愛知・岡崎大会(キョウセイドライバーランド)で開幕し、IAスーパーは11月12日のCity Trial Japan大会まで全8戦が競われます。そして今年は4年ぶりに、トライアルGPが「もてぎ」にかえってきますが(5月19〜21日)、その場でも電動トライアル車が活躍する勇姿を見ることができるでしょう!
2022年のTY-E 2.0発表時は、最高峰クラスを戦うICE搭載車と戦うことは現時点では難しい・・・と言われていましたが、2025年が訪れたときにはICE搭載車と互角以上に戦える「TY-E 2.4 or 2.5?」が生み出されているのでしょうか? まずは挑戦初年度の戦いぶりに注目したいです!
文:宮﨑健太郎(ロレンス編集部)